GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 79-09-4
名称 プロピオン酸(再分類)
物質ID H26-B-083, R-066
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成21年度   平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点54℃ (closed cup) (ICSC (1997)) に基づいて区分3とした。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性及び自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点が485℃ (ICSC (1997)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、多くの金属を侵すとの記載がある (ICSC (1997))。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- - ラットのLD50値として、351 mg/kg (雌)、426 mg/kg (雄) (SIDS (2008))、2,600 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、JECFA FAS (1973))、3,470 mg/kg (雄、雌) (SIDS (2008))、4,300 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2001)) との5件の報告がある。2件が区分4に、3件が区分外 (国連分類基準の区分5) に該当するため、最も多くのデータが該当する区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P280
P312
P321
P361
P364
P405
P501
ウサギのLD50値として、500 mg/kg (雄、雌) との報告 (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2008)、ACGIH (7th, 2001)) 及びラットのLD50値として、1,669 mg/kg (雌) との報告 (SIDS (2008)) がある。それぞれ区分3及び区分4に該当するため、LD50値の最小値が該当する区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。ラットの8時間飽和蒸気ばく露試験の結果、死亡例がみられなかった (LC0 (8時間) > 3,850 ppm (4時間換算値:> 5,445 ppm)) との報告 (SIDS (2008)、ACGIH (7th, 2001)) があるが、このデータのみではLC50値がどの区分に該当するかを特定できないため、分類できないとした。なお、飽和蒸気による試験であるとの記載に基づき、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。新たな情報源 (SIDS (2008)) を追加し、区分を見直した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。ラットのLC50値 (1時間) として、> 19.7 mg/L (4時間換算値:> 4.9mg/L) との報告 (SIDS (2008)) があるが、区分を特定できないため、分類できないとした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (11.7 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
モルモットに本物質の原液0.5 mLを適用した結果、2時間後に軽度から中等度の浮腫、中等度から重度の紅斑及び壊死がみられ、24時間後及び48時間後に壊死がみられたことから、腐食性ありとされている (SIDS (2008))。また、ウサギに本物質の原液0.01 mLを24時間非閉塞適用した結果、壊死がみられたとの報告がある (SIDS (2008)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))。以上の結果から区分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「C; R34」、EU CLP分類で「Skin Corr. 1B H314」に分類されている。


3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
ウサギに本物質の原液0.005 mLを適用した眼刺激性試験において、重度の眼障害がみられたとの報告 (SIDS (2008)) や、腐食性ありとの報告 (IUCLID (2000)) がある。なお、本物質は皮膚刺激性/腐食性の分類で区分1に分類されている。以上の結果から、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、ヒトにおいて喘息様症状の報告が1例あるが (ACGIH (7th, 2001))、詳細不明であるため区分に用いるには不十分なデータと判断した。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において感作性はみられなかったとの報告があるが (IUCLID (2000))、詳細不明であるため区分に用いるには不十分なデータと判断した。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、チャイニーズハムスターの小核試験で陰性 (SIDS (2008)、PATTY (6th, 2012))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の姉妹染色分体交換試験で陰性である (SIDS (2008)、NTP DB (Access on September 2104)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012))。
なお、旧分類に記載されていたIUCLIDの情報 (in vivoの優性致死試験、in vivo及びin vitro染色体異常試験) については、物質が異なるため分類対象から外した。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 国際評価機関等による発がん分類はない。ラットに本物質を混餌投与した試験において、前胃に腫瘍が認められたとの記載 (PATTY (6th, 2012)) があるが詳細不明であり、データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
ラット、マウス、ハムスター及びウサギを用いたプロピオン酸カルシウムの経口経路 (混餌) での催奇形性試験において、母動物の生存、胎児の生存及び同腹児数に影響がみられず、胎児の骨格の異常も認められていない (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2008))。以上のように催奇形性は認められないが、生殖能に関する十分な情報がないことから分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3 (気道刺激性)


警告
H335 P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
P405
P501
本物質は気道刺激性があり、ヒトの吸入ばく露で気道粘膜を刺激して咳、喘息反応 (喘鳴等)が生じたとの報告がある (SIDS (2008)、ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on August 2014))。実験動物のデータはない。
以上より、区分3 (気道刺激性) とした。
旧分類で「ラットで4時間吸入ばく露後の所見として、呼吸器系の刺激が記載されている (HSDB (2000)) 」と記載していたが、この情報は確認できなかった。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- - 本物質のナトリウム塩を成人男性に1日経口摂取量として6,000 mg まで与えても、尿が僅かにアルカリ性を示す以外に無影響であった (JECFA FAS (1973)、PATTY (6th, 2012))。
実験動物では、ラットに3ヶ月間、又はイヌに約100日間混餌投与した試験において、ラットでは50,000 ppm (約2,500 mg/kg/day (換算はppmの数値を20で除した)) で前胃粘膜に刺激性変化が、イヌでは30,000 ppm (1,832-1,848 mg/kg/day相当) で食道粘膜に過形成がみられ、いずれも局所影響以外に重大な毒性所見はみられなかった (SIDS (2008)、EPA Pesticide (1990)、PATTY (6th, 2012))。
以上、ヒト及び実験動物における知見より、経口経路では区分外相当であるが、他経路での毒性情報がなく、データ不足により「分類できない」とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
甲殻類(オオミジンコ)による48時間EC50=22.7 mg/L (SIDS, 2008)であることから、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
-
- - 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急性毒性は本物質の酸で実施された試験結果で分類したが、慢性毒性については塩のデータを用いて分類する。カルシウム塩を用いた藻類生長阻害試験(セネデスムスを用いた72時間EbC > 500 mg/L)、甲殻類急性遊泳阻害試験(オオミジンコを用いた48時間EC50 > 100 mg/L)、魚類急性毒性試験(ウグイを用いた96時間LC50 > 10000 mg/L)においては、いずれも区分外相当(SIDS, 2008)であり、プロピオン酸(水溶解度=1000000 mg/L、PHYSPROP Database 2009)及びプロピオン酸カルシウム(水溶解度=260 g/L、NITE 2014)ともに難水溶性ではないことから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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