GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 78-10-4
名称 テトラエトキシシラン (再分類)
物質ID H26-B-065, R-026
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点37℃ (Closed cup) (ICSC (1998)) に基づいて区分3とした。
なお、国連分類はUN1292、クラス3、PGⅢである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性及び自己反応性に関する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点230℃ (GESTIS (Access on August 2014)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
13 酸化性液体 分類できない
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (Si) と結合しているが、データがなく、分類できない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- - ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg (OECD TG 401) (SIDS (2010)) 及び6,270 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) との報告に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ウサギのLD50値として、6,300 μL/kg (=5,859 mg/kg) との報告 (PATTY (6th, 2012)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外
-
-
- - ラットのLC50値 (4時間) (OECD TG 403) (エアロゾル) として、10.0 mg/L (雄)、16.8 mg/L (雌)、 > 5.03 mg/L との報告 (SIDS (2010)) に基づき、区分外とした。なお、試験はエアロゾル使用と明記されているため、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (16.8 mg/L) より低いが、ミストの基準値を適用した。新たな情報源 (SIDS (2010)) を追加し、区分を見直した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) において、紅斑及び痂皮の適用後24、48、72時間平均スコアはそれぞれ、3.00、1.67、2.22、浮腫の平均スコアはそれぞれ、3.00、2.00、2.33であり中等度の刺激性と判断された (SIDS (2010))。以上の結果から区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405) において、刺激性はみられなかったとの記載がある (SIDS (2010))。また、ヒトにおいて眼に重度の刺激性を持つとの報告が複数ある (PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on July 2014))。その他に、ヒトの眼に対してわずかな刺激性を生じる (ACGIH (7th, 2001)) との記載がある。以上の結果から、動物の結果では刺激性なしとの結果があるが、ヒトにおいて「重度の刺激性」との記載が複数あることから、区分2とした。なお、本物質はEU DSD分類において「Xi; R36」、CLP分類において「Eye Irrit. 2 H319」に分類されている。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いた感作性試験 (OECD TG 406) において、ごく軽度の紅斑が感作誘導期 (Ⅰ及びⅡ期) にそれぞれ2/10匹、3/10匹にみられたが、感作誘導期Ⅲ期及び感作誘発期では刺激性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2010))。しかし、例数が区分外判定に関するガイダンスの基準をみたしていないため区分に用いるには不十分なデータと判断した。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性である (SIDS (2010)、DFGOT vol. 3 (1992))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (血液系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用)



危険
警告
H370
H335
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
本物質はヒト及び実験動物に気道刺激性がある (ACGIH (7th, 2001)、SIDS (2010)、HSDB (Access on August 2014)、DFGOT vol. 3 (1992)、PATTY (6th, 2012))。
実験動物 (モルモット) の3,070 ppm (26.158 mg/L) 吸入ばく露 (30分間、4時間換算値: 9.24 mg/L)で、重度の貧血 (DFGOT vol. 3 (1992))、2,530 ppm (21.56 mg/L) 吸入ばく露 (4時間) で、呼吸困難、振戦、中枢神経系抑制、重度の遅延性貧血 (PATTY (6th, 2012))、また、高濃度で麻酔作用の報告がある (PATTY (6th, 2012))。また、マウスの1000 ppm (8.52 mg/L) の吸入ばく露で生存個体に急性脾臓萎縮、尿細管間質性腎炎がみられたが、血液生化学検査では腎臓の障害を示す所見は得られなかった (SIDS (2010))。
モルモットにおける重度の貧血の所見は、区分1に相当するガイダンス値の範囲で、また、中枢神経系抑制並びに脾臓、腎臓の所見は、区分2を超える濃度でみられた。
以上より、区分1 (血液系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (呼吸器)、区分2 (腎臓)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
ヒトでの有害性知見はない。実験動物では、ラットに少なくとも28日間強制経口投与した試験で、50 mg/kg/day (90日換算: 15.4 mg/kg/day (区分2相当)) 以上で、腎尿細管の変性/壊死性腎症がみられた (SIDS (2010)。
吸入経路では本物質 (蒸気と推定) をマウスに4週間吸入ばく露した試験では、50 ppm (425 mg/m3: ガイダンス値換算: 0.13 mg/L/6 時間 (区分1相当)) で鼻粘膜の炎症、100 ppm (850 mg/m3: 同 0.26 mg/L/6 時間 (区分2相当)) で腎臓尿細管及び間質の炎症が認められた (SIDS (2010)、PATTY (6th, 2012))。
この他、ACGIH、DFGOT及びPATTYには、ラットに400 ppm を30日間吸入ばく露した試験で、30例中11例が死亡し、生存例では肝臓及び腎臓の重量増加と共に肝臓、腎臓、肺に損傷がみられた (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1992)、PATTY (6th, 2012)) との記述があるが、結果の詳細は不明である。著者らは同時にラット、モルモット、マウスに最大 88 ppm を90日間吸入ばく露した試験を実施しており、88 ppm までの濃度ではマウスに腎臓重量の減少 (組織変化はなく、毒性学的意義は不明) がみられた以外、いずれの動物種にも影響はみられていない (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 3 (1992)、PATTY (6th, 2012))。原著の報告年は1951年と古く、SIDS (2010) ではこのラットなどの反復吸入試験報告を信頼性ありとするには十分な記載がないとして、有害性評価に用いていない。すなわち、旧分類が分類根拠の一つとしたラットを用いた吸入毒性試験結果は分類に利用するには適切とは言えず、「肝臓」は標的臓器から除外すべきと考えられた。
以上より、区分1 (呼吸器)、区分2 (腎臓) に分類した。なお、今回は旧分類実施以後に発行されたSIDS (2010) に記載されたマウスの吸入ばく露試験結果に基づき、標的臓器としての「呼吸器」の区分は「1」に変更した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
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- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外
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- - 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間ErC50 > 100 mg/L、 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 > 75 mg/L 、魚類(メダカ)の96時間LC0 = 245 mg/L (いずれもSIDS, 2008) であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
-
-
- - 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(28日後のDOCによる分解度=98%(SIDS, 2008))、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間NOEC(生長速度) = 100 mg/L(SIDS, 2008)であることから、区分外となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、甲殻類、魚類の急性毒性は区分外相当であり、難水溶性ではない(水溶解度=36910mg/L、PHYSPROP Database, 2009)ことから、区分外となる。
以上より、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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