項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 1319-77-3 |
名称 | クレゾール (再分類) |
物質ID | H26-B-034, - |
分類実施年度 | 平成26年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
---|---|
分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分4 |
警告 |
H227 |
P370+P378
P403+P235 P210 P280 P501 |
引火点82℃ (closed cup) (ACGIH (7th, 2001)) に基づいて区分4とした。 なお、国連分類はUN2076、クラス6.1、副次8、PGIIである。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点が555℃ (GESTIS (Access on July 2014)) であり、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 |
P301+P312
P362+P364 P264 P270 P330 P501 |
ラットのLD50値として、1,454 mg/kg (HSDB (Access on July 2014)、IUCLID (2000)) との報告に基づき、区分4とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 |
危険 |
H311 |
P302+P352
P280 P312 P321 P361 P364 P405 P501 |
ラットのLD50値として、242 mg/kg、825 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007))、ウサギのLD50値として、2,000 mg/kg (ATSDR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 168 (1995)) の3件の報告がある。分類ガイダンスに従い、最も多くのデータが該当する区分3とした。新たな情報源 ((ATSDR (2008)、NITE初期リスク評価書 (2007)) を追加し、区分を見直した。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 |
危険 |
H314 |
P301+P330+P331
P303+P361+P353 P305+P351+P338 P304+P340 P260 P264 P280 P310 P321 P363 P405 P501 |
ウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果、非可逆性の組織破壊がみられた (EHC 168 (1995)) との記載や、強度の刺激性がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)) との記載がある。また、本物質は皮膚に対して強い刺激性又は腐食性を示す (DFGOT vol.14 (2000)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1986)) との記載がある。以上より、区分1とした。また、本物質はEU DSD分類により「C;R34」、EU CLP分類により「H314 Skin Corr. 1B」に分類されている。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
危険 |
H318 |
P305+P351+P338
P280 P310 |
ウサギの眼に本物質 0.1 mL を適用した試験で、強度の刺激性がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)) との報告や、ウサギやマウスに対して強度の刺激性を示した (EHC 168 (1995)) との報告がある。また、本物質は眼に対して強い刺激性又は腐食性を示すとの記載がある (DFG vol.14 (2000)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1986))。以上から、区分1とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、モルモットに本物質 (m-クレゾールとp-クレゾールの混合物) を適用した結果、感作性はみられなかった (DFGOT vol. 14 (2000)) との報告があるが、試験法等の詳細不明であるため、分類に用いるには不十分なデータと判断した。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。In vivoでは、m-及び p-クレゾール (60:40) 混合物を用いたマウス末梢血の小核試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008)、EHC 168 (1995)、NTP TR 550 (2008))。In vitroでは、o-、m-及び p-クレゾール (1:1:1) の混合物を用いた細菌の復帰突然変異試験で陰性 (NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 168 (1995)、ATSDR (2008))、m-及び p-クレゾール (60:40) 混合物を用いた細菌の復帰突然変異試験で陰性 (NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 168 (1995)、NTP TR 550 (2008))、o-、m-及び p-クレゾール (1:1:1) の混合物を用いた哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、姉妹染色分体交換試験、不定期DNA合成試験で陽性の結果が示されている (NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 168 (1995)、ATSDR (2008))。 以上より、m-及び p-クレゾール混合物を用いたin vivo試験データの陰性結果はあるが、o-、m-及び p-クレゾールの混合物を用いたin vivo試験データがないことから、異性体混合物の十分なデータがないと判断した。 |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
クレゾール (CAS No. 1319-77-3) としての国際機関等による発がん性分類はないが、当該物質の各異性体 (o-、m-、p-クレゾール) について、同一の既存分類 ((EPA (1991) でグループCに分類) が存在しているため、それらの分類結果を用いてGHS分類を行い、区分2とした。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - |
実験動物において、クレゾール (o-、m-、p-の混合物) を用いた生殖毒性試験の情報は得られなかった。 ヒトの疫学において、クレゾールとクロロベンゼンあるいは塩化ホスホリルを使う工場で働く女性で女性ホルモン量変化と月経の異常、周産期死亡率と奇形発生率の増加したとの報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第5巻 (2006))。しかし、みられた変化はクレゾールばく露との関連性が明らかでないため分類に用いるには適当でない。 なお、生殖毒性試験ではないが、ラットを用いた4ヶ月間の吸入毒性試験において発情周期及び発情期の延長と発情間期の短縮、卵巣で一次卵胞の減少、閉鎖卵胞の増加を認めたとした報告がある (環境省リスク評価第5巻 (2006)、EHC 168 (1995))。この情報については詳細が不明である。 したがって、データ不足により分類できないとした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓)、区分3 (麻酔作用) |
危険 警告 |
H370
H336 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
ヒトにおいては、経口経路による嚥下の例で、呼吸困難、昏睡、心室性期外収縮を伴う頻脈がみられ、急性心不全により死亡した。病理学検査では、腎臓の近位尿細管の好酸性壊死、気管支上皮のび漫性壊死が認められた。経皮経路では、めまい、嘔吐、意識障害、無呼吸を伴うてんかん、昏睡、脈拍数減少、乏尿、重篤な腎症、急性腎不全、尿細管壊死、肺水腫、溶血、ヘモグロビン尿症、死亡が報告され、病理学検査で、肺に出血性水腫、肝臓小葉壊死、腎臓のうっ血、腫大、脳うっ血、腫大がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008)、EHC 168 (1995))。その他の情報として、メトヘモグロビン血症、ハインツ小体形成、溶血性貧血の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2007)、EHC 168 (1995))。 実験動物では、ラットに吸入ばく露した試験で、強い気道刺激性、神経興奮、痙攣、間代性痙攣、死亡がみられている。経口経路では、気道刺激性、腐食性、出血、経路不詳であるが、気道刺激性、血尿、腎尿細管損傷、結節性肺炎、蒼白を伴う肝臓の鬱血、肝細胞壊死が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2007)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2008)、DFGOT vol. 14 (2000))。実験動物の知見については、ばく露用量の記載が不足している。以上より、クレゾールの主な標的器官は、中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓と考えられた。 本分類では、以上の異性体混合物による動物試験結果による分類と、o-異性体 (ID: 32)、m-異性体、及びp-異性体 (ID: 33) の動物試験結果による分類結果、ヒトでの混合物による知見を併せて、「クレゾール」の分類結果とみなすこととし、未だ分類結果が示されていない「m-異性体」についての毒性情報を記述する。m-クレゾールについては、o-異性体、p-異性体と同様、マウス及びラットへの経口投与で自発運動低下、流涎、協調運動失調、筋収縮、振戦、けいれん、呼吸困難、衰弱、嗜眠、昏睡、死亡がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008))。これらm-異性体単独の中枢神経系への影響を示す知見は、区分1に相当するガイダンス値の範囲であった。 以上より、ヒト (混合物) 及び実験動物 (異性体混合物、並びに各異性体単体) での知見に基づき、区分1 (中枢神経系、呼吸器、心血管系、血液系、肝臓、腎臓)、区分3 (麻酔作用) とした。 なお、今回はList 1の情報源を基に、かつ、他の異性体に対する分類との整合性も勘案し分類結果を見直した。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (中枢神経系、心血管系、血液系、呼吸器、肝臓、腎臓) |
危険 |
H372 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
ヒトでは、クレゾール混合物の蒸気 (濃度不明) に1.5-3ヶ月間、吸入ばく露された作業者7名に吐き気と嘔吐を伴う頭痛、うち4名には加えて血圧上昇、腎機能障害、血中カルシウム濃度異常、及び顕著な振戦が認められた (ACGIH (7th, 2001)、 DFGOT vol. 14 (2000)、PATTY (6th, 2012)) との記述がある。 実験動物ではo-、m-、p-の各異性体以外の混合物の情報としては、クレゾール混合物 (m-/p-: 60%:40%) をラット又はマウスに4週間及び13週間混餌投与した試験のみが利用可能なデータであると判断した。このうち、ラットの4週間混餌投与試験において、区分2相当の用量 (90-95 mg/kg/日 (28-30 mg/kg/day (90日換算)) で肝臓相対重量の増加及び鼻腔に呼吸上皮の過形成が認められ、他の3試験でも区分外の高用量では鼻腔の組織変化、肝臓重量増加に加え、中枢神経症状 (嗜眠、不動、振戦)、骨髄の低形成、腎臓重量増加がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008))。 この異性体混合物による動物試験結果による分類と、o-異性体 (ID: 32)、m-異性体、及びp-異性体 (ID: 33) の動物試験結果による分類結果、ヒトでの混合物による知見を併せて、「クレゾール」の分類結果とみなすこととし、未だ分類結果が示されていない「m-異性体」についての毒性情報を記述する。m-クレゾールについては、ラット又はマウスを用いた28日間又は13週間混餌投与による複数の試験結果では、区分外の高用量で中枢神経系、呼吸系への影響がみられたが、区分2までの用量範囲で特定の標的臓器はみられなかった。また、他の経路での毒性情報はない (NITE初期リスク評価書 (2007)、ATSDR (2008))。したがって、m-異性体単独の分類結果は、ヒト (混合物) の知見を実験動物での知見 (m-異性体) で裏付けることができず、情報不足のため、「分類できない」とするのが妥当と考えられる。 以上より、ヒト (混合物) 及び実験動物 (異性体混合物、並びにo-、及びp-異性体) での知見に基づき、区分1 (中枢神経系、心血管系、血液系、呼吸器、肝臓、腎臓) に分類した。なお、旧分類はList 3の情報源からの分類結果であり、今回はList 1の情報源を基に、かつ他の異性体に対する分類との整合性も勘案し、分類結果を見直した。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | - |
- |
- | - | - |
11 | 水生環境有害性(長期間) | - |
- |
- | - | - |
12 | オゾン層への有害性 | - |
- |
- | - | - |
|