GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 95-47-6
名称 o-キシレン (再分類)
物質ID H26-B-028, R-011
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点32℃ (closed cup) (ICSC (2002)) に基づいて区分3とした。
なお、国連分類はUN1307、クラス3、PGII、IIIである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点が463℃ (ICSC (2002)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 区分外
-
-
- - 鋼と大部分のその他の金属は容器として耐久性がある (ホンメル (1991))。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外
-
-
- - ラットのLD50値として、3,600 mg/kg (NITE有害性評価書 (2008))、3,608 mg/kg (EHC 190 (1997)) との報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ウサギのLD50値として、> 3,160 mg/kg (HSDB (Access on June 2014)) に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
ラットのLC50値 (6時間) として、4,330 ppm (4時間換算値:5,303 ppm) (EHC 190 (1997))、約4,000 ppm (4時間換算値:4,899 ppm) (NITE有害性評価書 (2008)) との報告に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (6,910 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。新たな情報源 (NITE有害性評価書 (2008)) を追加し、区分を見直した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、本物質を含むキシレン混合物をウサギの皮膚に適用した試験で、紅斑、浮腫、落屑及び壊死が観察され、中等度から強度の皮膚刺激性を有すると評価されたとの報告がある (NITE有害性評価書 (2008))。旧分類のデータは混合物のデータであるため分類に用いなかった。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。なお、本物質を含むキシレン混合物をウサギの眼に適用した試験で軽度の刺激性を示したとの報告がある (NITE有害性評価書 (2008))。旧分類のデータは混合物のデータであるため分類に用いなかった。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウス骨髄細胞の小核試験で陰性 (NITE有害性評価書 (2008)、ATSDR (2007)、IARC 47 (1989))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、染色体異常試験で陰性(NTP DB (Access on July 2014)、NITE有害性評価書 (2008)、IARC 47 (1989)、ACGIH (7th, 2001)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2001)) である。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - IARC 71 (1989) でグループ3、ACGIH (7th, 2001) でA4に分類されていることから、「分類できない」とした。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - マウス、ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験において、母動物毒性がみられる用量、あるいは母動物毒性がみられない用量で胎児へのわずかな影響 (胎児体重の減少、骨化遅延) がみられた (NITE有害性評価書 (2008))。
なお、既存分類の根拠として用いていた、マウスを用いた経口経路での催奇形性試験において母動物毒性と胎児に死亡、口蓋裂がみられたとの報告は、情報源が講演要旨であり信頼性が十分でないため分類根拠の情報として用いないこととした。
したがって、母動物毒性の有無に関わらず、胎児にみられる影響はわずかな影響であることから催奇形性については区分外に相当するが、生殖能に関する十分な情報がないことから分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用)



危険
警告
H370
H335
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
エチルベンゼンを含む異性体混合物 (工業用キシレン) についてのデータは存在するが、o-キシレンに関するヒト影響のデータは見当たらない。
実験動物では、本物質のマウスの4,600 ppm吸入ばく露で、自発運動の増加、呼吸数減少、二相性 (抑制及び興奮) の中枢神経系反応、死亡、1,450 ppmで呼吸率の50%減少 (NITE有害性評価書 (2008)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2007)、EHC 190 (1997))、神経行動学的試験でマウスの5,179 ppm吸入ばく露でオペラント行動の障害、1,010 ppmでは行動絶望遊泳試験で不動反応、320 ppmで伸展反応時間の11%短縮、ラットの230 ppm吸入試験で、電気ショックによる後肢の伸展反応時間の18.8%短縮 (ATSDR (2007)) がそれぞれ認められている。また、マウスの吸入ばく露では低用量では中枢神経系の興奮、高用量では中枢神経系の抑制が生じた (EHC 190 (1997)) との報告がある。これらの中枢神経系への影響の所見は、区分1に相当するガイダンス値の範囲であった。
SIAP (2003) (SIARは掲載なし) ではキシレン異性体共通の影響として中枢神経系の抑制、非協調運動、横たわり、昏睡の記載がある。また、ACGIH (7th, 2001) ではキシレン異性体に気道刺激性があるとの記載がある。
したがって、区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- - ヒトにおける本物質単独ばく露による影響についての報告はないが、高濃度のキシレン混合物 (一部ベンゼン、トルエンの同時ばく露含む) への吸入ばく露により、キシレンの職業ばく露影響として、神経系への影響 (頭痛、めまい、錯乱、筋協調性欠如など) 及び血液系への影響 (貧血、白血球数減少など) が知られている(ATSDR (2007)、NITE有害性評価書 (2008))。また、m-キシレン又はp-キシレンをヒトボランティアに短期間 (多くは5日間以内) 吸入ばく露した実験で、反応性低下、平衡感覚の低下、頭痛など神経症状がみられたとする報告とみられなかったとする両方の報告がある(NITE有害性評価書 (2008))。
一方、実験動物についても本物質単独ばく露による報告は極めて限定的であり、唯一、イヌに本物質蒸気を6週間吸入ばく露した試験において、区分2の上限を超える濃度 (3.358 mg/L: 1.55 mg/L/6 hr (90日換算)) で振戦が1/3例にみられた (ATSDR (2007)、 NITE有害性評価書 (2008))。以上より、本物質単独ばく露による影響として、神経系への影響ありとして分類するには証拠が不十分であり、データ不足のため分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分1


危険
H304 P301+P310
P331
P405
P501
炭化水素であり、動粘性率は0.86 mm2/s (25℃、CERI計算値) である。よって区分1と分類した。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
藻類(セネデスムス)の72時間ErC50 = 0.799 mg/L (環境庁生態影響試験, 1996、環境省リスク評価第10巻, 2012)であることから、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2


-
H411 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性が不明であり、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.407 mg/L(環境省リスク評価第10巻, 2012)であることから、区分2となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性が不明であり、魚類(メダカ)の96時間LC50 = 7.424 mg/L(環境庁生態影響試験, 1996、環境省リスク評価第10巻, 2012、NITE 初期リスク評価書, 2005)であるが、急速分解性があり(BODによる分解度=67.8%(既存点検, 1975))であることから、区分2となる。
以上の結果を比較し、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
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