GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 111-76-2
名称 エチレングリコールモノ-ノルマル-ブチルエーテル【ブチルセロソルブ】 (再分類)
物質ID H26-B-021, -
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成21年度   平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分4
-
警告
H227 P370+P378
P403+P235
P210
P280
P501
引火点62℃ (closed cup) (SIDS (2006)) に基づいて区分4とした。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点が238℃ (ICSC (2003)) であり、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P362+P364
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として、470-3,000 mg/kg の範囲内で10件の報告がある。ガイダンスの改訂により、最も多くのデータ (4件) (470 mg/kg、917 mg/kg (環境省リスク評価第6巻 (2008))、約1,500 mg/kg (NTP TR484 (2000))、1,746 mg/kg (SIDS (1997)、NICNAS (1996)) が該当する区分4とした。なお、2件が区分外 (国連分類基準の区分5)、4件が区分4又は区分5に該当する。
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P280
P312
P321
P361
P364
P405
P501
ラットのLD50値として、> 2,000 mg/kg の範囲で3件の報告がある。ウサギのLD50値として、72 mg/kgから> 2,000 mg/kg の範囲内で16件の報告があり、合計19件の報告がある。ガイダンスの改訂により、最も多くのデータ (9件) (220 mg/kg (ATSDR (1998))、220 mg/kg (環境省リスク評価第6巻 (2008))、約400 mg/kg (ACGIH (7th, 2003))、435 mg/kg (SIDS (2007)、NICNAS (1996))、404-502 mg/kg (CICAD 67 (2010))、405-504 mg/kg (DFGOT vol. 6 (1994)、ECETOC TR95 (2005))、567 mg/kg (雄)、636 mg/kg (雌) (NICNAS (1996))、612 mg/kg (DFGOT vol. 6 (1994))、841 mg/kg (1,060 mg/kg (雄)、667 mg/kg (雌)) (EU-RAR (2006)、ECETOC TR95 (2005)) が該当する区分3とした。なお、2件が区分2に、2件が区分2又は区分3に、1件が区分3又は区分4に、2件が区分外に該当する。新たな情報源 (ACGIH (7th, 2003)、ATSDR (1998)、CICAD 67 (2010)、DFGOT vol. 6 (1994)、ECETOC TR95 (2005)、EU-RAR (2006)、NICNAS (1996)、NTP TR484 (2000)、SIDS (2006)、SIDS (2007)、環境省リスク評価第6巻 (2008)) を追加し、分類を見直した。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
ラットのLC50値 (4時間) として、450 ppm (SIDS (2007)、環境省リスク評価第6巻 (2008))、486 ppm (雄)、450 ppm (雌) (ACGIH (7th, 2003)、ATSDR (1998)、CICAD 67 (2010)、ECETO TR95 (2005)、NICNAS (1996)、NTP TR484 (2000)、SIDS (2006))、500 ppm (ATSDR (1998)) との報告に基づき、区分2とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P362+P364
P264
P280
P321
ウサギを用いた皮膚刺激性試験の報告が複数あり、OECD TG 404相当の2試験では「刺激性あり」 (SIDS (2006)、ECETOC TR95 (2005)、NICNAS (1996))、所見として重度の持続的な紅斑及び重度の浮腫がみられたが7日後には回復したと報告されている (SIDS (2006))。他の4時間適用をおこなった皮膚刺激性試験では「軽度の刺激性あり」、あるいは「刺激性あり」と報告されている (SIDS (2006)、ECETOC TR95 (2005)、EU-RAR (2006))。また、ウサギに24時間、半閉塞条件下で適用した結果、適用直後に軽度から中等度の紅斑 (5/6匹)、軽度の浮腫 (4/6匹) がみられ、適用48時間後には軽度から中等度の紅斑 (4/6匹)、軽度の浮腫 (3/6匹) がみられた (EU-RAR (2006))。本試験における一次刺激スコアは1.5であった。また、モルモットを用いた皮膚刺激性試験においても「刺激性あり」との結果がある (SIDS (2006)、EU-RAR (2006))。以上の結果から区分2とした。なお、本物質はEU DSD分類で「R38」、EU CLP分類で「H315 Skin Irrit. 2」に分類されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405、GLP準拠) において、投与後24-27時間後の角膜混濁のスコア 0.9 、虹彩炎のスコア0.6、 結膜炎のスコア2.6、 結膜浮腫のスコア1.8 であり、21日後までに回復したとの報告がある (ECETOC TR95 (2005)、EU-RAR (2006))。また、他にもウサギ用いた眼刺激性試験の報告が複数あり、ドレイズ試験法で強度の刺激性を示した (SIDS (2006)、EU-RAR (2006)) との報告がある。また、ヒトでは痛みを伴う刺激とともに時に角膜混濁も起こすが、その症状は一般に数日以内に回復すると記述されている (DFGOT vol. 6 (1994))。以上の結果から区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分外
-
-
- - モルモットを用いたマキシマイゼーション試験 (OECD TG 406、GLP) において、陰性との報告があり (SIDS (2006)、ECETOC TR95 (2005)、NICNAS (1996))、別のマキシマイゼーション試験においても、陰性を示したとの報告がある (SIDS (2006)、ATSDR (1998)、NICNAS (1996))。また、ボランティア200名に対して本物質10%水溶液のパッチテスト (GLP準拠) を実施した結果、陰性を示したとの報告がある (SIDS (2006))。またボランティア214名に対するパッチテストにおいても、陰性を示したとの報告がある (ATSDR (1998)、ECETOC TR95 (2005))。以上の結果より区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラット、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性 (環境省リスク評価第6巻 (2008)、SIDS (2007)、EU-RAR (2006)、NICNAS (1996)) である。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、姉妹染色分体交換試験で陰性、陽性の結果が存在し、染色体異常試験、小核試験では陰性の結果となっている (EU-RAR (2006)、NICNAS (1996)、SIDS (2007)、環境省リスク評価第6巻 (2008))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - IARCではグループ3 (IARC 88 (2006))、ACGIHではA3 (ACGIH (7th, 2003))、EPAではグループC (IRIS (1999)) と分類され発がん性の評価が異なった。しかし、EPAはその後の評価で、本物質はヒトに対して発がん性物質ではなさそうであるとの見解を示し (IRIS TR (2010))、SIDS (2007) においても、同様に発がん物質であるとの根拠はないとしている。以上より、ガイダンスの改訂により「分類できない」とした。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験、ウサギを用いた吸入経路での催奇形性試験 (OECD TG 414)、ラットを用いた経口経路 (強制) での催奇形性試験 (OECD TG 414) において、母動物毒性 (体重増加抑制、臓器重量の変化、血液パラメータの変化) がみられる用量 (吸入では200 ppm (970 mg/m3)、経口では200 mg/kg bw/day) で発生影響 (着床数の減少、吸収胚の増加など) がみられた (SIDS (2006))。したがって、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (血液系、呼吸器、肝臓、腎臓)、区分3 (麻酔作用)



危険
警告
H370
H336
P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
P304+P340
P403+P233
P261
P271
P312
ヒトにおいては、吸入経路及び経口経路で気道の刺激性、嘔吐、眩暈、嗜眠、昏睡、呼吸困難、散瞳、代謝性アシドーシス、ヘモグロビン低下、血尿、経口摂取で、低カリウム血症、血清クレアチニン濃度の上昇、シュウ酸エステル結晶の尿中排泄量の著しい増加、低酸素血症、肺水腫、成人呼吸窮迫症候群 (ARDS)、血小板減少を伴う非溶血性低色素性貧血が報告されている (EU-RAR (2006)、SIDS (2007)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、ACGIH (7th, 2003))。
ラットの450 ppmの吸入ばく露で、浅速呼吸、協調運動の喪失、泌尿生殖器周囲の赤色化、腎臓の肥大及び脱色、膀胱の赤色液 (SIDS (2007))、486 ppmで重度のヘモグロビン尿、呼吸困難、肺、腎臓、肝臓、脾臓の変化 (具体的な記載なし) (ACGIH (7th, 2003))、475 ppmで血尿、協調運動不良、マウスの吸入ばく露では、560 ppm以上で、呼吸困難、重度のヘモグロビン尿、脾臓の濾胞での貪食像及び静脈鬱血、限局性壊死、リンパ過形成、間質性腎炎、気管支肺炎 (EU-RAR (2006)) が見られた。経口ばく露では、ラットの1,120-1,420 mg/kgで不活発、衰弱、昏睡、肺の出血、腎臓の重度の鬱血、ヘモグロビン尿、血尿、斑状肝、マウスの1,519-2,005 mg/kgで活動低下、努力呼吸、呼吸困難、無食欲、振戦、高用量で血尿、死亡動物で胃腸の出血 (EU-RAR (2006)) の報告がある。経皮適用では、ウサギの72-225 mg/kgで衰弱、低体温、ヘモグロビン尿、昏睡、呼吸不全、腎傷害、肺の変化 (詳細記載なし)、肝臓の鬱血、間葉系の反応を伴う壊死巣、不定脂肪変性、脾臓の鬱血、ヘモグロビン血症性ネフローゼを伴う腎臓肥大、壊死を伴う皮膚病変 (EU-RAR (2006)) の報告がある。なお、これらの所見は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。
以上より、区分1 (血液系、呼吸器、肝臓、腎臓)、区分3 (麻酔作用) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (血液系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ヒトでの知見は反復ばく露影響に関して利用可能な情報はない (SIDS (2007)、CICAD 67 (2010))。実験動物ではラットに13週間飲水投与した試験で、区分2相当の用量 (約70 mg/kg/day) で、血液系への影響 (赤血球数減少など)、精子濃度の減少がみられた (CICAD 67 (2010))。
吸入経路ではラット及びマウスにおける14週間及び2年間吸入ばく露試験において、区分1に該当する低濃度 (0.15 mg/L/6 hr) から、貧血所見 (赤血球、ヘモグロビン濃度及びヘマトクリット値の減少、網赤血球比率の増加など) がみられており (SIDS (2007)、CICAD 67 (2010))、影響はマウスよりラットで強く、雄より雌で強く発現する傾向がみられた (CICAD 67 (2010))。ラット、マウスともに14週間吸入ばく露試験では、区分外の高濃度で脾臓の髄外造血亢進、脾臓、肝臓、腎臓におけるヘモジデリン沈着、骨髄での造血細胞増生など血液影響に関連した二次的変化が認められている (CICAD 67 (2010))。なお、本物質ばく露ではヒト、実験動物のいずれにも精巣への明らかな影響を生じなかった。以上より、区分1 (血液系) に分類した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) -
-
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- - -
11 水生環境有害性(長期間) -
-
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- - -
12 オゾン層への有害性 -
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分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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