項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 1338-23-4 |
名称 | エチルメチルケトンペルオキシド (再分類) |
物質ID | H26-B-015, R-005 |
分類実施年度 | 平成26年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類できない |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団 (隣接した酸素原子) を含んでおり、酸素収支は-182と判定基準の-200より高いが、分解開始温度及び分解エネルギーの情報がなく分類できない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義による液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義による液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義による液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分4 |
警告 |
H227 | P370+P378 P403+P235 P210 P280 P501 |
引火点75℃ (測定方法不明) (NITE総合検索 (Access on July 2014)) というデータがあり、所定の密閉式引火点測定法でも60-93℃に入ると考えられるので区分4とした。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義による液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 有機過酸化物に分類されている。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 国連分類UN3101、クラス5.2、タイプBに分類されている。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義による液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類できない |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素及び水素以外の元素 (O) と結合しているが、データがなく分類できない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義による液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | タイプB |
危険 |
H241 | P411+P235 P210 P220 P234 P280 P410 P420 P501 |
国連分類UN3101、クラス5.2、タイプBに分類されている (NITE総合検索 (Access on July 2014))。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 | P301+P312 P362+P364 P264 P270 P330 P501 |
本物質と希釈剤とからなる一般流通品におけるラットのLD50値として、484-5,000 mg/kg の範囲内で9件の報告がある。ガイダンスの改訂により、最も多くのデータ (7件) (484 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、484 mg/kg、681 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、681 mg/kg (雌)、926 mg/kg (雌) (SIDS (2009))、1,017 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、1,017 mg/kg (SIDS (2009)) が該当する区分4とした。なお2件は区分を特定できないデータであるため該当数に含めずに分類した。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 |
- |
- | - | 本物質と希釈剤とからなる一般流通品におけるラットのLD50値として、4,000 mg/kg (PATTY (6th, 2012))、ウサギのLD50値として、4,000 mg/kg (SIDS (2009)) との報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分2 |
危険 |
H330 | P304+P340 P403+P233 P260 P271 P284 P310 P320 P405 P501 |
一般流通品 (単量体、二量体、三量体混合物) のラットのLC50値 (4時間) として、200 ppm (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 3 (1992)) との報告に基づき、区分2とした。なお、LC50値が単量体の飽和蒸気圧濃度 (727 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 |
- |
- | - | ラットのLC50値 (4時間) として、15.4 mg/Lから> 200 mg/Lの範囲内での7件の報告 (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2009)) に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (0.014 mg/L (二量体) 及び52.3 mg/L (単量体)) のいずれもよりも高いため、ミストの基準値を適用した。新たな情報 (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2009)) を追加し、分類を見直した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 | P302+P352 P332+P313 P362+P364 P264 P280 P321 |
ウサギを用いた本物質の一般流通品の皮膚刺激性試験が2件報告されており、それぞれ中等度の刺激性と刺激性がみられている。前者の一次刺激スコアは4.5であり、軽度-中等度の浮腫、出血及び蒼白化が72時間後も観察された (SIDS (2009))。後者の一次刺激スコアは6.4であり、軽度-中等度の浮腫、軽度-中等度の出血、虚血、重度の浮腫が観察され、7日後まで持続した(SIDS (2009))。以上、一次刺激スコアや所見から重度の刺激性と判断されるが、非可逆的影響は観察されていないため区分2とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
危険 |
H318 | P305+P351+P338 P280 P310 |
ウサギを用いた眼刺激性試験が3件あり、本物質の一般流通品の適用によりいずれも極度の刺激性及び腐食性と判断されている (SIDS (2009))。本物質の5分間又は24時間適用した試験においては、両グループで角膜混濁及び虹彩炎の最高スコアが21日間持続し、その他に潰瘍形成、角膜上皮消失、結膜浮腫、結膜炎等が観察された (SIDS (2009))。また、洗浄なしで本物質の適用した試験においては、角膜混濁及び虹彩炎の最高スコアが7日間持続し、角膜上皮消失、結膜浮腫、結膜炎等がみられた (SIDS (2009))。その他の眼刺激性試験において、視力の欠如、眼球の白濁化、角膜の血管新生、瞼の腫れ、虹彩炎、角膜混濁、パンヌス形成等がみられた (SIDS (2009))。以上の結果より区分1とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。なお、モルモット34匹を用いたフロイント完全アジュバント法の試験 (OECD TG 406) において、回復性の紅斑がみられたが、感作性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2009))。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウス末梢血赤血球の小核試験で陰性である (SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2001))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性及び陽性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陽性の結果 (SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2001)、NTP DB (Access on July 2014)) である。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - | ラットを用いた経口経路 (強制) での簡易生殖毒性試験 (OECD TG 421) において、親動物毒性 (体重増加抑制) がみられる用量 (100/75 mg/kg bw/day) で生殖能に対する影響はみられず、新生児では体重低値、体重増加抑制がみられた (SIDS (2009))。 簡易生殖毒性試験の結果が得られたため情報を追加した。その結果、明確な生殖毒性は認められていないが、簡易生殖毒性試験であることから、情報が十分でなく分類できないとした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) |
危険 警告 |
H370 H335 H336 |
P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
ヒトにおいては、本物質は呼吸器刺激性があり、また、30-40gの経口ばく露で、悪心、嘔吐、胃痛、他の情報で食道炎、胃炎、食道の瘢痕、狭窄の記載がある (ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2014))。 ラットでは、200 mg/L (ca. 28,080 ppm)、4時間の吸入ばく露で、呼吸困難、流涎、流涙、呼吸数減少、自発運動低下、呼吸器の鬱血、25 mg/L (ca. 3510 ppm) 以上の用量で、呼吸器刺激性、呼吸困難、呼吸器鬱血、低体温、衰弱、チアノーゼ、自発運動低下がみられている。死亡個体の剖検で、肺の鬱血、肺の散在性局所出血、肝臓、脾臓の暗赤色化、腎臓の黄色巣の報告がある。また、経口経路では、215 mg/kg以上で、散瞳、緩徐呼吸、呼吸困難、自発運動抑制、無気力、運動失調、鎮静、低体温、衰弱、死亡が認められている (SIDS (2009))。これらの影響は、区分1又は2に相当するガイダンス値の範囲でみられた。 以上より、区分1 (中枢神経系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない |
- |
- | - | ラットに交配前14日間を含み雄には28-29日間、雌には哺育4日までの最長52日間、本物質を強制経口投与した簡易生殖毒性試験 (OECD TG 421) において、50 mg/kg/day以下の用量では無毒性であったが、100 mg/kg/dayでは消化管への刺激性影響 (胃の赤斑、腺胃の潰瘍、壊死)、及びそれによる死亡例の発現、体重増加抑制がみられた (SIDS (2009))。また、ラット及びマウスに13週間経皮適用した試験では、最低適用量 (2.96-10.09 mg/kg/day相当 (ラット)、10.63-17.85 mg/kg/day相当 (マウス)) から適用部位局所に皮膚の過角化、肥厚、痂皮などの症状がみられ、用量が増すにつれ、凝固壊死、炎症が重篤化した。皮膚傷害に対する二次的影響として、脾臓に髄外造血亢進、骨髄に骨髄球増生がみられた (SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2001))。 以上、経口及び経皮経路での試験結果より、区分1~2に該当する用量から、本物質の刺激性に起因する直接ないし二次的影響が認められたが、刺激性影響が軽微な用量における本物質特異的な標的臓器の有無は現時点では明らかでない。よって、分類するにはデータが不十分と判断し、分類できないとした。 なお、ラットに7週間経口投与 (3日/週) した試験で、肝臓及び腎臓への影響がみられた (ACGIH (7th, 2001)) との記述があり、旧分類ではこれに基づき分類された。しかし、原報 (Floyd and Stokinger (1958)) は古く、記述も不十分であるため、信頼性が低いとして、SIDS (2009) は評価に含めていない。今回の分類に際しても、この旧分類での根拠データを利用しなかったため、分類結果が異なった。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 |
- |
H401 | P273 P501 |
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間ErC50 = 5.6 mg/L (SIDS, 2007)であることから、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 |
- |
- | - | 信頼性のある慢性毒性データが得られていない。 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間ErC50 = 5.6 mg/L (SIDS, 2007)であるが、急速分解性があり(28日間で85%が生分解(SIDS, 2007))、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow= -0.43(PHYSPROP Database, 2009))ことから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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