GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 50-78-2
名称 アセチルサリチル酸 (再分類)
物質ID H26-B-005, -
分類実施年度 平成26年度
分類実施者 厚生労働省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性、自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - 発火点が500℃ (GESTIS (Access on June 2014)) であり、常温で発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P362+P364
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として、1,500 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)) に基づき、区分4とした。
なお、ヒトでの潜在的致死量として、> 500 mg/kg (成人)、480 mg/kg (子供) との報告がある (IPCS, PIM 006 (1991))。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- - ウサギを用いた皮膚刺激性試験においてわずかな刺激性を示した (IUCLID (2000)) との報告が2件あることから区分外 (国連分類基準の区分3) とした。なお、詳細不明ではあるがヒトの皮膚に対して刺激性を示すとの報告がある (ACGIH (7th, 2001)、IUCLID (2000))。ガイダンスの改訂に伴い区分を変更した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ウサギを用いた眼刺激性試験において、中等度の刺激性及び軽度の刺激性を示すとの報告がある (IUCLID (2000))。以上の結果から区分2Aとした。なお、詳細不明ではあるがヒトの眼に対して刺激性を示すとの報告がある (ACGIH (7th, 2001)、IUCLID (2000))。
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
ヒトにおいて呼吸器感作性を示すとの報告や (ACGIH (2001)、IUCLID (2001))、アスピリン喘息を発症する事例がある (HSDB (Access on June 2014)) ことから区分1とした。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。in vivoのデータはなく、in vitroでは細菌を用いる復帰突然変異試験で陰性である (HSDB (Access on June 2014)、IUCLID (2000)、NTP DB (Access on June 2014))。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - 国際機関等による発がん分類はない。その他、発がん性に関するデータはない。
以上より、データ不足のため「分類できない」とした。
7 生殖毒性 区分1B、追加区分:授乳に対する又は授乳を介した影響


危険
H360
H362
P201
P202
P260
P263
P264
P270
P280
P308+P313
P405
P501
IPCS, PIM 006 (1991) には、胚の培養系では、単回投与のサリチル酸の血漿中濃度付近で奇形がみられること、ラットはサリチル酸の催奇形性影響に対して感受性が高く、一方、ヒト及びヒト以外の霊長類は抵抗性があると考えられていることが記載されている。また、サリチル酸塩中毒が経胎盤、経乳汁で生じる可能性があることが記載されている。
HSDB (Access on June 2014) には、実験動物においては、妊娠初期の投与で様々な奇形 (顔面裂、中枢神経系及び眼の欠損、内臓及び骨格奇形) を引き起こすが、ヒトの対照試験では奇形はみられていない。妊娠の最終週に長期間、高用量のサリチル酸の処置は妊娠期間の延長、出生後の胎児、新生児の出血のリスクの増加を引き起こす場合があり、理論的には妊娠末期の定常的な使用は胎児の動脈管の早期の閉鎖、収縮を引き起こすおそれがある。治療量での出生児体重の減少、死産の増加は報告されていない。サリチル酸はFDAの妊娠カテゴリーC (動物の生殖試験では胎仔に催奇形性、胎仔毒性、その他の有害作用があることが証明されており、ヒトでの対照試験が実施されていないもの。あるいは、ヒト、動物ともに試験は実施されていないもの。注意が必要であるが投薬のベネフィットがリスクを上回る可能性はある) に分類されている。
上記のとおり、実験動物において催奇形性を示すが、ヒトにおいては治療量での発生毒性の報告がないことから、区分1Bに分類する。また、乳汁移行の可能性が報告されていることから、「追加区分:授乳に対する又は授乳を介した影響」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1 (中枢神経系、胃、肝臓、肺、感覚器 (聴覚))


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
ヒトへの経口経路による主な影響は、耳鳴り、聴力損失、痙攣、昏睡、混乱、せん妄、昏迷、振戦、脳浮腫など中枢神経毒性、肝毒性、肺浮腫が報告されている。その他、嘔吐、上腹部不快感、胃腸の出血、頻呼吸あるいは過呼吸、発汗、血管拡張などが報告されている (HSDB (Access on June 2014)、IPCS, PIM 006 (1991))。アスピリンの臨床知見から胃粘膜刺激性が知られており、嘔吐、心窩部不快感、潰瘍、吐血や下血、潜失血の報告がある (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on June 2014)、IPCS, PIM 006 (1991))。以上より、主な標的臓器は中枢神経系、胃、肝臓、肺、感覚器 (聴覚) と考えられ、区分1 (中枢神経系、胃、肝臓、肺、感覚器 (聴覚)) とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1 (血液系、中枢神経系、胃、肝臓、腎臓、肺、感覚器 (聴覚))


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
本物質 (アスピリン) の内服により、血小板凝集阻害の機序による出血傾向 (凝固時間の延長) を生じ、治療のための常用量 (600 mg) を5日以上服用すると血液凝固異常をきたす (ACGIH (7th, 2001)) との記述より、区分1 (血液系) とした。また、情報源の信頼性ランクとしてはList 1相当と判断した IPCS, PIM 006 (1991) には、慢性サリチル酸塩中毒症として、成人では神経症状、吐き気、嘔吐、胃出血 (急性症状としては稀で、典型的な慢性中毒症状)、高齢者では呼吸不全、肺浮腫が高頻度にみられ、その他、過呼吸、脱水症、重度の中枢神経症状も多発するとの記述、さらに、標的器官は細胞代謝を受ける全組織であるが、特に、肝臓 (肝機能障害)、腎臓 (急性腎不全)、肺、内耳神経であるとの記述がある。したがって、区分1 (中枢神経系、胃、肝臓、腎臓、肺、感覚器 (聴覚)) を追加することとした。なお、旧分類 (List外の情報源による分類) とは情報源が異なるため、分類結果が変わった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) -
-
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- - -
11 水生環境有害性(長期間) -
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- - -
12 オゾン層への有害性 -
-
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- - -


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
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