項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 141-32-2 |
名称 | アクリル酸ノルマル-ブチル (再分類) |
物質ID | H26-B-002, - |
分類実施年度 | 平成26年度 |
分類実施者 | 厚生労働省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成21年度 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 政府向けGHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分3 |
警告 |
H226 | P303+P361+P353 P370+P378 P403+P235 P210 P233 P240 P241 P242 P243 P280 P501 |
引火点36.5℃ (closed cup) (SIDS (2004)) に基づいて区分3とした。 なお、国連分類はUN2348、クラス8、副次危険クラス3、PGⅢ (安定剤入りのもの) である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | タイプG |
- |
- | - | 分子内に自己反応性に関わる原子団 (不飽和結合) を含む。安定剤入りのものはタイプG。純物質及び安定剤含有量の少ない混合物については情報がなく、分類できない。安定剤としてはp-メトキシフェノール15 ppmが使用される (ECETOC JACC (1994))。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点が267℃ (SIDS (2004)) であり、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属及び半金属 (B,Si,P,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Bi,Po,At) を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 |
- |
- | - | ラットのLD50値として、900 mg/kg (SIDS (2004)、環境省リスク評価第11巻 (2013)、PATTY (6th, 2012))、約3,143 mg/kg (SIDS (2004))、3,700 mg/kg、4,900 mg/kg (雌)、6,200 mg/kg (雄) (ECETOC JACC 27 (1994))、6,200 mg/kg (ECETOC JACC 27 (1994)、SIDS (2004))、8,125 mg/kg (IARC 39 (1986))、9,050 mg/kg (SIDS (2004))、9,100 mg/kg (ECETOC JACC 27 (1994))、2,680-9,100 mg/kg (ACGIH (7th, 2003))、3,700-8,100 mg/kg (IARC 39 (1986))、3,730-9,050 mg/kg (DFGOT vol. 5 (1993)) の12件の報告がある。分類ガイダンスに基づき、最も多くのデータが該当する区分外とした。(1件が区分4に、8件が区分外 (うち3件は国連分類基準の区分5に該当) に該当する。また、3件は複数データの集約であるため該当数に含めなかった。) 今回の調査で入手した環境省リスク評価第11巻 (2013)、PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2003)、IARC 39 (1986)、DFGOT vol. 5 (1993) の情報を追加し、分類ガイダンスに基づき、最も多くのデータが該当する区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分4 |
警告 |
H312 | P302+P352 P280 P312 P321 P362 P364 P501 |
ラットのLD50値として、1,700 mg/kg との報告 (ACGIH (7th, 2003)) と共に、ウサギのLD50値として、1,780-5,700 mg/kgの範囲内で複数件 (環境省リスク評価第11巻 (2013)、PATTY (6th, 2012)、SIDS (2004)、ACGIH (7th, 2003)、IARC 39 (1986)、ECETOC JACC 27 (1994)、DFGOT vol. 5 (1993)) の報告がある。ガイダンスの改訂により、最も多くのデータ (ラット:1,700 mg/kg (ACGIH (7th, 2003)、ウサギ:2,000 mg/kg (SIDS (2004))、2 mL/kg (=1,780mg/kg) (環境省リスク評価第11巻 (2013)、PATTY (6th, 2012)、ECETOC JACC 27 (1994)、IARC 39 (1986)) が該当する区分4とした。新たな情報源 (環境省リスク評価第11巻 (2013)、PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2003)、IARC 39 (1986)、 DFGOT vol. 5 (1993)) を追加し、区分を見直した。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分3 |
危険 |
H331 | P304+P340 P403+P233 P261 P271 P311 P321 P405 P501 |
ラットのLC50値 (4時間) として、1,970-2,730 ppm の範囲内で6件の報告がある。ガイダンスの改訂に基づき、最も多くのデータ (3件) (1,970 ppm (ECETOC JACC 27 (1994)、DFGOT vol. 5 (1993)、SIDS (2004))、2,199 ppm、2,270 ppm (SIDS (2004)) が該当する区分3とした。なお、2件が区分4に該当し、1件は複数データの集約であるため該当数に含めなかった。LC50値が飽和蒸気圧濃度 (7,145 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 | P302+P352 P332+P313 P362+P364 P264 P280 P321 |
ウサギに試験物質原液を20時間閉塞適用した試験において、24時間後に紅斑と浮腫及び軽度の壊死が認められたが、8日後にほぼ回復したとの報告がある (SIDS (2004))。その他に、ウサギに試験物質原液を適用した試験において、軽度の刺激性ありとの報告がある (SIDS (2004)、PATTY (6th, 2012)、DFGOT vol. 5 (1993))。以上の結果より、区分2とした。なお、本物質は、EU DSD分類において「Xi; R36/R38」、EU CLP分類において「Skin. Irrit. 2 H315」に分類されている。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A |
警告 |
H319 | P305+P351+P338 P337+P313 P264 P280 |
ウサギに本物質の原液を適用した試験において、軽度から重度の刺激性が報告されており (SIDS (2004)、ECETOC JACC (1994))、角膜混濁 (SIDS (2004)、DFGOT vol. 5 (1993)) や虹彩炎 (SIDS (2004))、角膜に回復性の小斑点が生じた (ACGIH (7th, 2003)) と報告されている。以上の重度の刺激性との結果から区分2Aとした。なお、本物質は、EU DSD分類において「Xi; R36/R38」、EU CLP分類において「Eye. Irrit. 2 H319」に分類されている。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1A |
警告 |
H317 | P302+P352 P333+P313 P362+P364 P261 P272 P280 P321 P501 |
モルモットを用いたマキシマイゼーション及びフロイント完全アジュバント法の試験において陽性を示し、陽性率はそれぞれ7/10 (70%) 及び8/8 (100%) であった (SIDS (2004))。また、マウスを用いたLLNA試験においても陽性結果が得られた (SIDS (2004))。ヒトにおいてはパッチテストで本物質に陽性反応を示した症例が報告されている (SIDS (2004)、DFGOT vol. 5 (1993)、DEFGOT vol. 16 (2001))。なお、本物質は、EU DSD分類において「R43」、EU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」、日本産業衛生学会において感作性物質第2群、ACGIHにおいてSENに分類されている。以上の結果から区分1Aとした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない |
- |
- | - | ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラット及びチャイニーズハムスターの吸入ばく露による骨髄細胞を用いる染色体異常試験でいずれも陰性結果が報告されている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、SIDS (2004)、ACGIH (7th, 2003)、ECETOC JACC (1994)、IARC 71 (1999))。なお、ラットの腹腔内単回投与による骨髄細胞染色体異常試験で陽性の報告 (原著は1991年ロシア語) がある (IARC 71 (1999)) が、このデータはIARC以外の情報源では記載されていない。in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の小核試験で陰性である (環境省リスク評価第11巻 (2013)、SIDS (2004)、ACGIH (7th, 2003)、ECETOC JACC (1994)、IARC 71 (1999))。哺乳類培養細胞の染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験で陽性結果があるが、細胞毒性による誘発と評価されている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、SIDS (2004)、ACGIH (7th, 2003)、ECETOC JACC (1994))。なお、SIDS (2004) では、本物質はin vivo、in vitroともに遺伝毒性はないと結論されている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | IARCでグループ3 (IARC 71 (1999))、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2003)) に分類されていることから「分類できない」とした。なお、SIDS (2004) で、本物質はラットの吸入ばく露試験において最高用量である135 ppm (0.773 mg/L/day) 以下の用量で発がん性がみられないとの報告がある。ガイダンスの改訂により区分を変更した。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - | マウスを用いた経口経路での催奇形性試験では、母動物に死亡を含む毒性がみられる非常に高い用量 (2,500 mg/kg/day) において、胚、胎児の死亡、催奇形性 (口蓋裂、外脳、眼瞼開存、椎弓の融合、融合肋骨) がみられた (SIDS (2004))。 ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験については、母動物毒性 (体重増加抑制、眼、鼻への刺激) のみられる用量 (135 ppm) で胎児体重の減少、着床後胚吸収の増加、生存胎児の減少傾向がみられたとの報告、母動物毒性 (体重減少) がみられる用量 (300 ppm) において胎児体重の減少以外の影響はみられていないとの報告がある (SIDS (2004))。 上記のとおり、旧分類の区分2の分類根拠の1つである、マウスの経口経路での催奇形性は2,500 mg/kg/dayという極めて高い用量であったので分類根拠として採用しない。また、もう1つの根拠であるラットの吸入経路での催奇形性試験でみられた母動物毒性がみられる用量での胎児への影響 (胎児体重の減少、着床後胚吸収の増加、生存胎児の減少傾向) については、ラットを用いた同様の催奇形性試験において母動物毒性がみられる用量においても胎児にわずかな影響 (胎児体重の減少) しか認められなかったとの報告があるため採用しなかった。したがって、分類できないとした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1 (呼吸器) |
危険 |
H370 | P308+P311 P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
ラットでは、吸入経路において3.6 mg/L、4.9 mg/Lあるいは12.1 mg/Lで興奮、呼吸困難、痙性呼吸、横臥位、鼻粘膜の充血、鼻からの分泌液、喘鳴、立毛、呼吸困難、振せん、閉眼、肺炎、肺出血、肺浮腫、肺気腫、肺のうっ血が観察されている (SIDS (2004)、ECETOC JACC 27 (1994))。経口経路の場合も、ラットで努力呼吸と横臥位がみられ、死亡例の剖検で肺の出血が報告されている (SIDS (2004))。 以上の所見は、主に肺と気道への毒性影響と考えられ、区分1と区分2に相当するガイダンス値の範囲で認められていることから、区分1 (呼吸器) とした。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1 (呼吸器) |
危険 |
H372 | P260 P264 P270 P314 P501 |
ラットに本物質を13週間飲水投与した試験において、区分1の範囲をほぼカバーする用量 (15,000 ppm: 84 (雄) -111 (雌) mg/kg/day相当) まで、特定の臓器に有害影響は認められておらず (SIDS (2004)、環境省リスク評価第11巻 (2013))、経口経路では区分外相当と考えられる。 一方、吸入経路では、ラットに本物質蒸気を2年間吸入ばく露した結果、区分1の濃度 (15 ppm: 0.086 mg/L/6hr/day) から鼻腔の組織変化 (嗅上皮の萎縮、嗅細胞又は線毛細胞の部分的消失、基底細胞の過形成) が認められ、区分2相当の濃度 (135 ppm; 0.775 mg/L/6hr/day) では眼の傷害 (角膜の混濁、実質の変性、新生血管形成) が認められた (DFGOT vol. 12 (1999)、SIDS (2004)、環境省リスク評価第11巻 (2013))。なお、ラットの13週間吸入ばく露試験においても、高濃度群では眼及び鼻腔に影響がみられている (SIDS (2004)、環境省リスク評価第11巻 (2013)) が、眼への影響は刺激性によるものと判断されるため、本分類には含めない。よって、本物質は区分1 (呼吸器) に分類した。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データ不足のため分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | 絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | - |
- |
- | - | - |
11 | 水生環境有害性(長期間) | - |
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12 | オゾン層への有害性 | - |
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- | - | - |
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