GHS分類結果 (経済産業省・環境省平成20年度事業(注))

ID1-377 フラン(CAS番号 110-00-9) 分類実施日 H21.3.31
使用マニュアル 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 火薬類 分類対象外 - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス 分類対象外 - - - 液体である。
3 可燃性/引火性エアゾール 分類対象外 - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス類 分類対象外 - - - 液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - 液体である。
6 引火性液体 区分1
危険 極めて引火性の高い液体及び蒸気 Merck(14th,2006)による引火点は-35℃(密閉式)、沸点は31.36℃であるので、区分1に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - 液体である。
8 自己反応性物質および混合物 分類対象外 - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点390℃(Merck KGaA data from March 2009))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - 液体である。
11 自己発熱性物質および混合物 分類できない - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水と接触して可燃性/引火性ガスを発生する物質および混合物 分類対象外 - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - 液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - データがなく分類できない。


健康に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - データがないので分類できない。
なお、EU分類はXn; R22(EU-Annex I)である。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - GHS定義上の液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3
危険 吸入すると有毒 本物質の飽和蒸気圧濃度(20℃)は650,000 ppmであり、ラットを用いた1時間吸入暴露試験におけるLC50値は3,464 ppm (HSDB(2003))との記述から、気体基準を適用する。4時間換算LC50値1,732 ppmから、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - データがないので分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - HSDB(2003)に、モルモットを用いた試験で「皮膚刺激性」との記述があるが、この引用文献(Gig. Sanit. 6(1974))を調査したところ、「フランは揮発性が強い(沸点32℃)ため、刺激性は検討しなかった」と記述されていたので、このデータは採用しない。この他、RTECS(2008)にはウサギを用いた経皮投与試験で「primary irritation」との記述があるが、List3の情報源であり、詳細も不明である。よって、データ不足のため分類できない。
なお、EU分類はXi; R38(EU-Annex I)である。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - 「眼への接触により、刺激とやけどを生じ得る」(HSFS(2008))との記述があるが、これはList3の情報源であり、詳細も不明である。よって、データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:分類できない
皮膚感作性:分類できない
- - - 呼吸器感作性:ラットを用いた吸入暴露試験において、アレルギー反応を含む免疫系への影響を示す(RTECS(2008))との記述があるが、データ不足のため分類できない。
皮膚感作性:モルモットを用いた皮膚塗布試験において、アレルギー反応がみられた(HSDB(2003))との記述があるが、データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2
警告 遺伝性疾患のおそれの疑い 体細胞in vivo 変異原性試験(マウス骨髄細胞を用いた染色体異常試験)が陽性(IARC 63 (1995) 、NTP DB (Access on November 2008))との記述があるが、生殖細胞を用いたin vivo 遺伝毒性試験の結果はないので、区分2とした。
なお、EU分類はMuta. Cat. 3; R68(EU-Annex I)である。
6 発がん性 区分2
警告 発がんのおそれの疑い IARCにおいてグループ2B(IARC 63(1995))と評価されているので、区分2とした。
なお、マウスにおいて肝細胞腺腫、腺癌、ラットにおいては雌雄で肝細胞腺腫、胆管細胞癌、単核細胞白血病、雄で肝細胞癌(IARC 63(1995)、NTP TR402(1993)、NTP Roc(11th, 2005))が記述されている。
なお、EU分類はCarc. Cat. 2; R45(EU-Annex I)である。
7 生殖毒性 分類できない - - - データがないので分類できない。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴露) 区分2(中枢神経系、消化器系、肝臓)、区分3(気道刺激性)

警告 臓器(中枢神経系、消化器系、肝臓)の障害のおそれ
(気道刺激性)呼吸器への刺激のおそれ
ヒトについては、HSDB (2003)に、吸入暴露による症状として「中枢神経系の抑制、消化器の鬱血、肝臓損傷、低血圧、疲労、頭痛」との記述がある。また、ICSC(1995)に「気道刺激性がある」と記述されている。よって、区分2(中枢神経系、消化器系、肝臓)、区分3(気道刺激性)とした。
なお、HSDB (2003)の一次文献(NTP Executive Summary: Furan (Draft) (1986))を入手できず、詳細は確認できなかった。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、腎臓、呼吸器系)、区分2(精巣、卵巣)
危険 長期又は反復暴露による臓器(肝臓、腎臓、呼吸器系)の障害
長期又は反復暴露による臓器(精巣、卵巣)の障害のおそれ
マウスとラットを用いた2年間経口投与試験(最高投与量:8 mg/kg)で「肝臓障害(過形成、慢性炎症、胆管線維化、空胞変性や変性、壊死等)及び腎臓障害(尿細管の拡張、上皮壊死)」(NTP TR402 (1993))の記述がある。また、ラットを用いた13週間経口投与試験において、60 mg/kg投与群で「精巣と卵巣の萎縮が見られた」(NTP TR402 (1993))との記述がある。さらに、RTECS (2008)にはラットを用いた60日間吸入暴露試験において「気管、気管支の構造異常または機能異常」、ラットを用いた26週間吸入暴露試験において「中枢神経系に異常」の記述があり、これらの一次文献(Toksikologiya Novykh Promyshlennykh Khimicheskikh Veshchestv. 9(1967)、Toksikologiya Novykh Promyshlennykh Khimicheskikh Veshchestv. 10 (1968))を確認したところ、前者の気管または気管支の異常は、区分1のガイダンス値範囲内の用量で、局所的な肺気腫を伴い認められた症状であったが、後者の中枢神経系の異常は、致死用量における症状と考えられたため、採用しない。以上から、区分1(肝臓、腎臓、呼吸器系)、区分2(精巣、卵巣)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - データがないので分類できない。


環境に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - 水生生物に有害 魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50 = 61mg/L(AQUIRE, 2008)から区分3とした。
11 水生環境有害性(慢性) 区分外 - - - 急性毒性区分3であり、急速分解性がない(難分解性、BODによる分解度:4%(既存点検, 1983))が、魚類(ファットヘッドミノー)の31-33日間NOEC = 8.27 mg/L(AQUIRE, 2008)であり、長期毒性が > 1mg/Lであることから区分外とした。

(注)
「物理化学的危険性」及び「健康に対する有害性」:平成20年度経済産業省委託事業による分類結果
「環境に対する有害性」:平成20年度環境省委託事業による分類結果


参考資料

政府向けGHS分類ガイダンス

解説・用語集(エクセルファイル(64KB))


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