GHS分類結果 (経済産業省・環境省平成20年度事業(注))

ID1-335 N-(4-ヒドロキシフェニル)アセトアミド(CAS番号 103-90-2) 分類実施日 H21.3.31
使用マニュアル 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 火薬類 分類対象外 - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス 分類対象外 - - - 固体である。
3 可燃性/引火性エアゾール 分類対象外 - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス類 分類対象外 - - - 固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - 固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - 固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - データがなく分類できない。
8 自己反応性物質および混合物 分類対象外 - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - 固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点540℃(Merck KGaA data from March 2009))。
11 自己発熱性物質および混合物 分類できない - - - データがなく分類できない。
12 水と接触して可燃性/引火性ガスを発生する物質および混合物 分類対象外 - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - 固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。


健康に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - ラットを用いた経口投与試験のLD50値3,700 mg/kg(IARC 73(1999))は国連GHS急性毒性区分5に該当するが、国内では、不採用区分につき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - データがないので分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - List 2の情報源であるIUCLID (2000)に、ウサギを用いた皮膚刺激性/腐食性試験(OECD TG 404、GLP)で「not irritating」との記述があるが、List 1には情報がなく、他に陰性の試験結果も得られていないので、データ不足のため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - List 2の情報源であるIUCLID (2000)に、ウサギを用いた眼刺激性/腐食性試験(OECD TG 405, GLP)で「not irritating」との記述があるが、List 1には情報がなく、他に陰性の試験結果も得られていないので、データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性又は皮膚感作性 呼吸器感作性:分類できない
皮膚感作性:分類できない
- - - 呼吸器感作性:データがないので分類できない。
皮膚感作性:データがないので分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2
警告 遺伝性疾患のおそれの疑い 生殖細胞in vivo変異原性試験(マウスの精母細胞を用いた染色体異常試験)で「陰性」 (IARC 73 (1999))、体細胞in vivo 変異原性試験として、ヒトの末梢リンパ球を用いた染色体異常試験で「陽性」(IARC 73 (1999)、NTP TR394 (1993))、ヒトの頬粘膜細胞を用いた小核試験で「陽性」(IARC 73 (1999)、NTP TR394 (1993))、マウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で「陽性」(IARC 73 (1999))、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で「陰性」(IARC 73 (1999) )、体細胞in vivo遺伝毒性試験(ヒトの血液を用いた姉妹染色分体交換試験)で「陽性」(IARC 73 (1999))との記述がある。以上、複数の体細胞in vivo 変異原性試験のデータがあるが、生殖細胞in vivo遺伝毒性試験の陽性データはないので、区分2とした。
なお、in vitro変異原性試験として複数のネズミチフス菌を用いた復帰突然変異試験で「陰性」(IARC 73 (1999)、IUCLID (2000))、大腸菌を用いた復帰突然変異試験で「陰性」(IUCLID (2000))との記述がある。
6 発がん性 区分外 - - - IARCでグループ3 (IARC 73 (1999))と評価されているので、ガイダンスに従い区分外とした。
なお、雌雄ラット及び雌雄マウスを用いた2年間経口投与試験で「雌雄マウス及び雄ラットに発がん所見は認められなかったが、高用量投与群雌ラットに単核球性白血病の発症率増加が見られた」((IARC 73 (1999)、NTP TR 394 (1993))旨の記述がある。
7 生殖毒性 分類できない - - - 大規模コホート研究とケース事例から、ヒトで「本物質による催奇形性の報告はない」(IARC 73 (1999))との記述がある。また、マウスを用いた経口投与による継続的な繁殖研究による生殖評価試験で「出生時に投与群の児動物の低体重及び体重減少が見られ、高用量投与群の児動物で精子異常の出現率に増加が見られたが、生殖機能に影響なし」(NTP TR394 (1993))旨の記述がある。一方、雌マウスに妊娠6-15日の間経口投与した試験で「用量に依存して、児に口蓋裂、骨格奇形及び水腎症発生数が増加した」(IUCLID (2000))との記述もあることから、分類できない。
8 標的臓器/全身毒性(単回暴露) 区分1(肝臓、腎臓、中枢神経系、心臓、消化器系) 、区分2(呼吸器系、精巣)
危険 臓器(肝臓、腎臓、中枢神経系、心臓、消化器系)の障害
臓器(呼吸器系、精巣)の障害のおそれ
IARC 73 (1999)及びNTP TR394 (1993)に、複数のヒト症例及び動物(ラット、マウス、イヌ)を用いた経口投与試験で「肝毒性及び腎毒性が見られた」との報告がある。また、HSDB (2007)に、症状として「昏迷、体温低下、不活発、浅呼吸、不整脈、血圧低下、循環不全に続き、興奮、精神錯乱が起こる可能性がある」、「症状は4段階で進行し、第1期:食欲不振、吐き気、嘔吐、不快感、発汗、第2期:腹痛、圧痛、肝臓肥大、ビリルビン上昇、肝臓酵素濃度の上昇、プロトロンビン時間の延長、場合により乏尿、第3期:食欲不振、吐き気、嘔吐、不快感の再発、肝不全、腎不全、心筋症、第4期:回復又は致死に至る肝不全をおこす場合がある」、「疫学調査で、過剰投薬により胃腸の潰瘍及び出血リスクが増加する可能性がある」旨の記述がある。一方、動物試験において、マウスを用いた経口投与試験で「肝臓及び腎臓への影響に加え、気管支上皮及び精巣に壊死が見られた」(IARC 73 (1999))旨の記述があり、これらの症状は区分2のガイダンス値の範囲内で見られた。以上より、区分1(肝臓、腎臓、中枢神経系、心臓、消化器系)、区分2(呼吸器系、精巣)とした。
なお、HSDB (2007)に警告として、投薬により「掻痒感を伴う斑状丘疹、蕁麻疹を含む皮膚反応が起こる」との報告、感作性反応として「咽頭部浮腫、血管性浮腫、アナフィラキシー様の反応が稀に起こることがある」旨の記述がある。
9 標的臓器/全身毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、腎臓、血液系) 、区分2(甲状腺)
危険 長期又は反復暴露による臓器(肝臓、腎臓、血液系) の障害
長期又は反復暴露による臓器(甲状腺)の障害のおそれ
ヒトについて、「慢性摂取により慢性活動性肝炎を伴い、長期使用は慢性腎臓疾患を伴う」(NTP TR394 (1993))旨の記述がある。また、ヒト疫学調査より「腎毒性が認められた」(IARC 73 (1999))旨の記述、「長期過剰摂取により、腎臓にリポフスチン沈着の増加、慢性腎臓疾患、溶血性貧血が見られた」(Patty (5th, 2001))旨の記述、「好中球減少、 血小板減少性疾患が見られた」(HSDB (2007))旨の記述がある。よって、肝臓、腎臓、血液系が標的臓器として考えられる。さらに、ラット及びマウスを用いた2年間経口投与試験(21 CFR Part 58、GLP)で「雌雄ラットに腎症の重篤度増加、雄ラットに限局性の尿細管過形成頻度の増加及び腎性副甲状腺機能亢進、雌雄マウスに甲状腺濾胞上皮細胞過形成の増加が見られた」(NTP TR394 (1993)旨の記述があり、これらの影響は区分2のガイダンス値の範囲内で見られた。以上より、区分1(肝臓、腎臓、血液系)及び区分2(甲状腺)とした。
なお、区分2のガイダンス値の範囲外でみられた影響であるが、ラットを用いた13週間経口投与試験で「12,500 ppm(換算値:625 mg/kg)以上で精巣萎縮、25,000 ppm(換算値:1,250 mg/kg)で卵巣及び子宮の萎縮が見られた」(NTP TR 394 (1993))旨の記述がある。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - データがないので分類できない。


環境に対する有害性

危険・有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起用語 危険有害性情報 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - 水生生物に毒性 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 3.5mg/L(環境庁生態影響試験, 1998)から区分2とした。
11 水生環境有害性(慢性) 区分2
- 長期的影響により水生生物に毒性 急性毒性区分2であるが、急速分解性に関するデータがないため、区分2とした。

(注)
「物理化学的危険性」及び「健康に対する有害性」:平成20年度経済産業省委託事業による分類結果
「環境に対する有害性」:平成20年度環境省委託事業による分類結果


参考資料

政府向けGHS分類ガイダンス

解説・用語集(エクセルファイル(64KB))


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