GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 7782-50-5
名称 塩素
物質ID 25B0045
分類実施年度 平成25年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分外
-
-
- - 不燃性(HSDB(Access on September 2013))
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分1


危険
H270 P370+P376
P220
P244
P403
本物質は ISO 10156-2010 に記載されている酸化性ガスである。国連分類UN1017、クラス2.3(副次危険5.1,8)。
5 高圧ガス 液化ガス


警告
H280 P410+P403 臨界温度(144℃(HSDB(Access on September 2013))は+65℃を超えるため、液化ガス(低圧液化ガス)とした。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
11 自己発熱性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(経皮) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
ラットの1時間LC50値として、293-1,000 ppm(4時間換算値: 147-500 ppm)(PATTY(6th, 2012))、850 mg/m3(293 ppm)(4時間換算値: 146 ppm)(EHC 21(1982)、 ATSDR(2010)、ACGIH(7th, 2001))、447 ppm(4時間換算値: 224 ppm)(ATSDR(2010)、EU-RAR(2007))の報告がある。ラットの53分ばく露LC50値として、1000 ppm(4時間換算値: 470 ppm)(ATSDR(2010))、ラットの30分ばく露LC50値として、688 ppm(4時間換算値: 243 ppm)(ATSDR(2010))、ラットの440分ばく露LC50値として、250 ppm(4時間換算値: 339 ppm)(ATSDR(2010))の報告がある。これらのLC50値はいずれも区分2に該当することに基づき、区分2とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義におけるガスである。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
ヒトで塩素ガスへのばく露により顔面に軽度の火傷を生じた事例(EHC 21(1982))、皮膚に腐食性を示す可能性がある HSDB(Access on September 2013))との記載がある。また、液化塩素は凍瘡、火傷を起こすとの記載(HSDB(Access on September 2013))があることから、液化塩素への接触には特に注意を要する。EU-RAR(2007)では、皮膚腐食性があることにより区分1を提案している。したがって、これらの情報に基づき、区分1とした。なお、本物質は、EU DSD分類において「Xi; R36/37/38」、EU CLP分類において「Skin Irrit. 2 H315」に分類されている。今回の調査で入手した EU-RAR、EU DSD分類及びEU CLP分類を追加した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
本物質は、眼へのばく露で重篤な影響があると記載されている(詳細不記載)(SIDS-SIAP(2003))。また、サルで眼に刺激性を認めたとの記載(PATTY(6th, 2012))、ヒトで濃度により軽度から重度の刺激があるが、いずれも短時間で回復するとの記載(EHC 21(1982))、及びヒトで眼に腐食性や火傷を引き起こす危険があり、重篤なあるいは永続的な障害を及ぼすことがあるとの記載(HSDB(Access on September 2013))がある。すなわち、SIDS(2003)における眼へのばく露で重篤な影響と、HSDB(Access on September 2013)のヒトで眼に腐食性や火傷を引き起こす危険があり、重篤なあるいは永続的な障害を及ぼすとの情報は、区分1に該当する。なお、本物質はEU DSD分類で「Xi; R36/37/38」、EU CLP分類において「Eye Irrit. 2 H319」に分類されている。今回の調査で入手したSIDS-SIAP、EU DSD分類及びEU CLP分類の情報を追加した。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - 分類ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いる小核試験、染色体異常試験で陰性である(ATSDR(2010)、IUCLID(2000))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、染色体異常試験で陽性、陰性の結果が存在する(ATSDR(2010)、IUCLID(2000))。塩素(次亜塩素酸ナトリウム)は、in vitro変異原性を示す可能性があるが、in vivoでは変異原性を示さないと考えられている(SIDS(2003)、EU-RAR(2007))。なお、試験は次亜塩素酸ナトリウムを使って実施されていることが多いが、塩素の変異原性評価には妥当と考えられている(EU-RAR(2007))。
6 発がん性 分類できない
-
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- - ACGIH(1995)でA4に、IARC(1991)でグループ 3(塩素消毒した飲料水として)に、IRIS(1994)でグループDに分類されていることにより、「分類できない」とした。分類ガイダンスの改訂により分類区分を変更した。
7 生殖毒性 区分外
-
-
- - ラット及びマウスの試験において、親の生殖能力、児の発生発育に対する影響が見られないこと(EHC 21(1982)、EU-RAR(2007)、IRIS(1994)、IUCLID(2000))、及び塩素工場従業員において妊娠から授乳に至るまで影響がなかったとの記載(EHC 21(1982))に基づいて区分外とした。EU-RAR(2007)を追加した。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
マウス、ウサギ、イヌの吸入ばく露において、区分1のガイダンス値範囲内のばく露量に相当する用量(< 2,500 ppm)で肺水腫、肺出血、肺機能低下、気管支炎、気管上皮の壊死など呼吸器系への障害が見られ、ラットでも用量の記載はないが同様の障害が見られる(EHC 21(1982)、EU-RAR(2007))。また、マウス、ネコ、ウサギ及びモルモットでは気道粘膜の炎症、息詰まり、呼吸数減少、上部気道刺激の記載(EHC 21(1982)、ACGIH(7th, 2001)、PATTY(6th, 2012)、EU-RAR(2007))もある。ヒトにおいては、肺炎、肺水腫、気管支炎、気管気管支の潰瘍、肺機能の低下、喘息及び喘息様症状(RADS)、喉や鼻への刺激、咳、呼吸困難など呼吸器系への障害及び刺激性を示す記載(EHC 21(1982)、ACGIH(7th, 2001)、PATTY(6th, 2012))がある。これらの情報に基づいて区分1(呼吸器)とした。

9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器、肝臓、腎臓)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ラットに6週間、マウスに2年間ガスを吸入ばく露した試験において、区分1のガイダンス値範囲内の濃度 0.41-3 ppm)で、気道や肺に障害を及ぼすとの記載や、気道上皮の炎症及び組織学的変化を認めたとの記載(EHC 21(1982)、 PATTY(6th, 2012)、IUCLID(2000))がある。ヒトで気管支疾患、肺出血を起こす可能性が指摘され(EHC 21(1982))、咳、喉の痛み、喀血、胸痛などの所見が記載されている(ACGIH(7th, 2001))。これらの情報に基づいて区分1(呼吸器)とした。また、ラットの6週間吸入ばく露試験(ガス)において、区分1のガイダンス値範囲内の濃度で、肝細胞の空胞化(1.4ppm以上(90日換算値))、腎臓の近位尿細管の変性(4.2 ppm(同換算値))がみられたとの記載(PATTY(6th, 2012))に基づき、区分1(肝臓、腎臓)とした。なお、旧分類に採用された区分1(嗅覚器)への影響は「呼吸器」に包含されると判断し、これを削除した。また、旧分類の区分2(歯)はList 3の情報源を基にした分類結果であったが、今回調査したList 1及び2の情報源からは「歯」を標的臓器毒性とする根拠データが得られなかったため、これを削除した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外
-
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- - GHS定義におけるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない
-
-
- - 適切なデータが得られておらず、分類できない。なお、本物質は、水中では、塩酸と次亜塩素酸を生じ、次亜塩素酸は水素イオンと活性酸素の・ClOとなり、殺菌作用を示すことが知られている。よって、水生環境の分類においては、次亜塩素酸ナトリウムあるいは次亜塩素酸カルシウムなどの分類を参照することが望ましい。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない
-
-
- - データなし。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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