項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 79-11-8 |
名称 | クロロ酢酸 |
物質ID | 24B6522 |
分類実施年度 | 平成24年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 物理化学的危険性・健康に対する有害性:政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)、環境に対する有害性:国連GHS文書(改訂4版) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | 可燃性である(ICSC(J)(2003))とされているがデータが無く分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点は470℃であり(ホンメル(1996))、常温で発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 融点140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | フッ素を含まず、酸素および塩素を含む有機化合物であるが、これらの元素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分3 |
危険 |
H301 |
P301+P310
P264 P270 P321 P330 P405 P501 |
ラットのLD50値が9件[55 mg/kg(環境省リスク評価第3巻(2004))、90 mg/kg(EU-RAR 52(2005))、100~300 mg/kg、277.5 mg/kg(以上 SIDS(Access on Apr. 2012))、102 mg/kg、76.2 mg/kg、200 mg/kg、580 mg/kg(以上 ECETOC JACC38(1999))]あり、8件が区分3、1件が区分4に該当することから、該当数の多い区分3とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分2 |
危険 |
H310 |
P302+P352
P361+P364 P262 P264 P270 P280 P310 P321 P405 P501 |
ラットでは2件のLD50値[305 mg/kg(EU-RAR 52(2005))、145 mg/kg(ACGIH(2006))]があり、1件が区分2、1件が区分3に該当することから、危険性の高い区分2となる。ウサギの場合は3件のLD50値[250 mg/kg(EU-RAR 52(2005))、178 mg/kg(ECETOC JACC 38(1999),)、230 mg/kg(PIM 352(2000))]があり、1件が区分2、2件が区分3に該当するため、該当数の多い区分3となる。以上より、ラットとウサギで危険性の高いラットの区分を採用し、区分2とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | ラットの1時間ばく露によるLC50値は>66 ppm(蒸気、4時間換算:>33 ppm)と報告されている(EU-RAR 52(2005))が、区分を特定できず、その他にデータはなく分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分2 |
危険 |
H330 |
P304+P340
P403+P233 P260 P271 P284 P310 P320 P405 P501 |
ラットの4時間ばく露によるLC50値は0.18 mg/L(SIDS(Access on Apr. 2012))に基づき区分2とした。なお、この値は飽和蒸気圧濃度(0.33 mg/L)より低いが、"aerosol"の濃度と記載されている(ACGIH(2006))のでダストの試験とみなした。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1A |
危険 |
H314 |
P301+P330+P331
P303+P361+P353 P305+P351+P338 P304+P340 P260 P264 P280 P310 P321 P363 P405 P501 |
ウサギの皮膚に50%溶液として150~250 mgを24時間の閉塞適用し、腐食性がみられたとの報告(化学物質の初期リスク評価書 102(2008))、また、ウサギ4匹の皮膚に500 mgを24時間の閉塞適用した結果、2匹が死亡し、重度の紅斑および浮腫がみられ、皮膚一次刺激指数は7.66(最大値8に対し)であった(ECETOC JACC 38(1999))との報告に基づき区分1とし、さらにウサギの皮膚に75%溶液0.5 mLを30秒間の適用により壊死が生じた(SIDS(Access on Apr. 2012))との結果から、区分1Aとした。なお、当該物質のpHは1以下(800g/L, 20℃)と記載されている(IUCLID(2000))。また、ヒトでは事故によるばく露で、体表に熱傷を生じたとの事例報告が死亡例を含めて多数みられている(化学物質の初期リスク評価書 102(2008)、EU-RAR 52(2005))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
危険 |
H318 |
P305+P351+P338
P280 P310 |
ウサギの結膜嚢に100 mgを適用した試験で、重度の刺激症状、眼瞼と粘膜の変色および腐食性がみられた(ECETOC JACC 38(1999))こと、また、ウサギの結膜嚢に100 mgを適用した別の試験で、非常に強い刺激性がみられ、24、48、72時間の刺激性の平均スコア値は結膜の発赤 3、浮腫 3、角膜が4、虹彩は強い角膜混濁のため評価できず、7日後も回復が見られなかった(ECETOC JACC 38(1999))との報告に基づき、区分1とした。なお、本物質は皮膚にも腐食性が認められ、pHはは1以下(800g/L, 20℃)と記載されている(IUCLID(2000))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
ウサギを用いた皮膚感作性試験(Open epicutaneous test)で感作性なしとの記載(化学物質の初期リスク評価書Ver.1.0, 102(2008))があるが、OECDで承認された試験法ではなく、試験の詳細も不明のため「分類できない」とした。なお、これまで得られているデータは不十分で規制上の基本的要件を満たすものではないと考えられるが、本物質を扱ってきた広範、かつ実践的な経験、および接触アレルギー誘導に適した条件下でもアレルギーの事例報告が全く出ていないことから、EU-RAR 52(2005)ではこれ以上の試験は必要がないと結論付けている。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 |
- |
- | - | マウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で、経口または皮下投与で陰性(化学物質の初期リスク評価書 102(2008))の結果により区分外とした。その他のin vivo試験としてマウスおよびラットの体細胞を用いたDNA損傷試験(体細胞in vivo遺伝毒性試験)で陰性(化学物質の初期リスク評価書 102(2008)、in vitro試験ではエームス試験(NTP DB(Access on Jan. 2012))、チャイニーズハムスターV79細胞を用いたHGPRT試験(化学物質の初期リスク評価書 102(2008))、およびCHO細胞を用いた染色体異常試験(NTP DB(Access on Jan. 2012))でいずれも陰性、マウスリンフォーマ試験で陽性(NTP DB(Access on Jan. 2012))の結果が報告されている。なお、in vivo試験のマウスの腹腔内投与(単回または5日連続)後の骨髄細胞を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)において陽性(化学物質の初期リスク評価書 102(2008)、ECETOC JACC 38(1999))の結果が得られているが、EU-RAR 52(2005)では「試験の詳細も不明であり評価はできず、利用できる試験データを基に、本物質は変異原性化合物ではない」と結論付けている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない |
- |
- | - | ACGIH でA4に分類されている(ACGIH(2006))ことから、分類できないとした。なお、ラットおよびマウスに2年間経口投与した発がん性試験では、両動物種の雌雄とも発がん性の証拠は得られなかった(NTP TR 396(1992))と報告されている。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - | 妊娠ラットの器官形成期に経口投与した試験において、高用量(140 mg/kg/日)群の母動物で体重増加抑制があり、胎児では心臓奇形(主として左心症)の増加が報告されているが、要旨のみで完全な試験報告書はなく詳細不明である(化学物質の初期リスク評価書 102(2008)と記載されている。また、ラットの妊娠期間(妊娠1~20日)中に飲水投与した試験では、1570 ppm(59.9 mg/kg/day相当)群の母動物で体重増加抑制がみられたが、胎児への影響はみられず、特に心臓奇形の発生も報告されていない(化学物質の初期リスク評価書 102(2008))。以上の結果について化学物質の初期リスク評価書 102(2008)では用量設定が不十分など、不完全な試験と評価し、また、EU-RAR 52(2005)では発生毒性試験を実施する必要があり、その結果次第で一世代または二世代の生殖試験が考慮されると述べられ、結論が保留されている。以上の理由により「分類できない」とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系、心血管系、腎臓)、区分3(気道刺激性) |
危険 警告 |
H370
H335 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 P304+P340 P403+P233 P261 P271 P312 |
本物質の急性ばく露による症状として、腐食性による皮膚傷害に始まり、全身毒性が現れ、早期に嘔吐、下痢、その後、興奮、見当職障害、痙攣、昏睡などの中枢神経系症状の一方、不整脈、頻脈の他、非特異的な心筋障害、心室収縮を伴う心血管性のショック、およびそれに起因するとみられる腎不全が記載されている(ECETOC JACC 38(1999))。ヒトの事例報告では、47歳の労働者が両足を暴露され火傷を負い、4時間後に吐き気と嘔吐、不整脈、血圧低下、アシドーシスなどの心血管系機能障害、及び意識消失、昏睡などの神経機能障害を起こした例(化学物質の初期リスク評価書 102(2008))、38歳の運転手が本物質80%溶液に暴露され火傷を負い、1時間後に血圧低下及び興奮、その後心血管系機能低下、腎機能低下及び意識消失を起こした例(化学物質の初期リスク評価書 102(2008))などがあり、その他にもヒトで誤って経口摂取して死亡した例、高濃度の経皮暴露で、重度の火傷を負い死に至った例(化学物質の初期リスク評価書 102(2008))では心血管障害や神経機能障害がみられている(化学物質の初期リスク評価書 102(2008))。以上の知見に基づき、区分1(神経系、心血管系、腎臓)とした。動物試験ではラット、マウスまたはウサギに経口または経皮投与により神経行動学的な影響や前足の麻痺などが報告されている(EU-RAR 52(2005)、SIDS(Access on Apr. 2012))。一方、ラット、マウス、モルモットに27 mg/Lの蒸気を3、5、または10分間、または31 mg/Lの蒸気を1分間吸入ばく露した結果、各動物とも死亡はなく、鼻の分泌物、肺の充血、流涙、呼吸困難の症状が認められた(ECETOC JACC 38(1999))との報告により、区分3(気道刺激性)とした。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(心臓、肝臓) |
警告 |
H373 |
P260
P314 P501 |
ラットの13週間反復経口投与試験において、60 mg/kg/day以上の投与群で雌雄とも心臓の変性および炎症性変化の発生率および重症度の増加が認められた(NTP TR 396(1992))ことに基づき、区分2(心臓)とした。また、60 mg/kg/day以上の投与群の雌雄でALTおよびASTの用量相関性の有意な増加、30 mg/kg/day以上の投与群でコリンエステラーゼ活性の有意な低下が認められ、これらの変化から肝毒性の可能性が示唆され、かつ、ラットに90日間飲水投与した試験の180 ppm(19 mg/kg/day相当)の濃度で肝臓重量の減少、肝臓門脈域に胆管増殖、浮腫及び炎症性細胞数の増加が報告されている(化学物質の初期リスク評価書 102(2008))ことから、区分2(肝臓)とした。なお、ヒトで本物質の0.05%水溶液300 mLを60日間経口摂取した3人のボランティアに悪影響は見出されなかった(NTP TR 396(1992))との報告はあるが、反復ばく露後の毒性影響に関するヒトのデータはほとんど得られてない。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 |
P273
P391 P501 |
藻類(セネデスムス)の72時間ErC50 = 0.033 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 |
警告 |
H410 |
P273
P391 P501 |
急速分解性があり(良分解性(3週間でのBODによる分解度:96%)(既存点検, 1976))、藻類(セネデスムス)の72時間NOEC = 0.0058 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2008)であることから、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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