GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 512-56-1
名称 トリメチルホスフェート
物質ID 24A6014
分類実施年度 平成24年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外
-
-
- - 引火点150℃[密閉式](MSDS(Sigma-Aldrich)(Access on May. 2012))により、区分外とした。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類できない
-
-
- - データなし。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-
-
- - 分子内に半金属(P)を含むが、水溶解度500000 mg/L(HSDB(2003))および水に安定(stable in water(SIDS 1996))という情報により、水と急激な反応をしないと考えられる。
13 酸化性液体 分類できない
-
-
- - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であり、この酸素が水素および炭素以外の元素(P)と結合しているが、酸化性に関するデータがなく分類できない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値は840 mg/kg(SIDS(1996))に基づき区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ウサギのLD50値は2830 mg/kg(PATTY(5th, 2001))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5に相当)とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P264
P280
P321
P362
皮膚に対し強い刺激物(strong irritant)である(HSDB(2003))との記載、およびウサギの試験による皮膚刺激性への評価は10段階評価中の4であった(GESTIS(Access on May. 2012))ことに基づき区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
眼に対し強い刺激物(strong irritant)である(HSDB(2003))と記載され、ウサギを用いた試験において刺激性は10段階評価中の2(最も重度の場合10)であった(HSDB(2003))ことに基づき、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分1B


危険
H340 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
雄マウスに単回腹腔内投与(用量:1000 mg/kg、1500 mg/kg)による優性致死および相互転座試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)において、早期胎児死亡の用量依存的な増加とF1仔の雄に不妊を引き起こし、陽性の結果(HSDB(2003))が報告されていることに基づき区分1Bとした。なお、マウスに腹腔内投与による小核試験(in vivo変異原性試験)で陽性(SIDS(1996))、また、in vitro試験として、エームス試験ではTA100 において6666, 10000 ug/plateで陽性、チャイニーズハムスター培養細胞(CHO細胞)を用いた染色体異常試験も5 mg/mlの高濃度で陽性が報告されている(いずれもNTP DB(1986))。一方、最新のガイドラインによるチャイニーズハムスター培養細胞(CHL細胞)を用いた染色体異常試験(OECD TG473、GLP)は陰性と報告されている(厚労省報告(Access on May 2012)。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - ラットおよびマウスの雌雄各50匹を用いた2年間経口投与による発がん性試験において、雌ラットと雄マウスでは発がん性の証拠は得られなかったが、雌マウスで子宮・子宮内膜腺癌の発生率の有意な増加、雄ラットで皮下組織の線維腫の有意な増加が認められた(NTP TR81(1978))。しかし、この報告だけでは発がん性の証拠として限定的であり、ヒトに関する情報もないため「分類できない」とした。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
ラットに経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG422, GLP)において、親動物の一般毒性として250 mg/kg/dayで後肢の麻痺を主とする神経症状、病理組織学的所見として、腎乳頭および尿細管上皮細胞の障害、100mg/kg/dayでは相対的に軽度ながら250mg/kg/dayと同質の毒性が認められ、さらに40mg/kgでも尿細管上皮細胞の障害が認められた状況下で、250mg/kgで交尾率、100mg/kgで受胎率、着床率の顕著な低下、40 mg/kgでは着床胚の子宮内生存性の低下などの生殖・発生への悪影響が認められた(厚労省報告(Access on May 2012))ことから区分2とした。なお、雄ラットに250 mg/kgを30日または60日経口投与後に精巣上体から得られた精子は、全て異常で生殖細胞としての活性を完全に消失し、交尾能力も欠如していた(HSDB(2003))との報告もある。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(神経系)


警告
H371 P309+P311
P260
P264
P270
P405
P501
ラット、モルモットまたはウサギに致死量を経口投与後、呼吸数および呼吸振幅が緩やかに減少し、全身脱力、軽度の神経過敏、微小振戦を示し、さらに呼吸困難、虚脱から、呼吸不全のため死に至った(HSDB(2003))と報告されている。一方、ヒトのばく露で脱力と麻痺は本物質の神経毒性作用である(HSDB(2003))との記述がある。上述の経口投与量は、ラットのLD50値(840 mg/kg)から判断し区分2に相当することから、区分2(神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(神経系、腎臓)


警告
H373 P260
P314
P501
ラットに経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG422, GLP)において、250 mg/kg/dayは後肢の麻痺を主とする神経症状が観察され、雄で高度の、雌で軽度の致死性を示す中毒量であった。病理組織学的所見として、腎乳頭および尿細管上皮細胞の障害、脊髄および末梢における神経線維の変性ならびに骨格筋線維にびまん性の萎縮を惹起する毒性が示され、100mg/kg/dayでは相対的に軽度ながら250mg/kg/dayと同質の毒性が認められた。さらに、尿細管上皮細胞の障害は40mg/kgでもみられた(厚労省報告(Access on May 2012))。以上より、悪影響が示された主な臓器は神経系と腎臓であり、40mg/kg/day(90日換算用量:約20 mg/kg/day)以上、または100mg/kg/day(90日換算用量:約50 mg/kg/day)以上の所見であり、ガイダンス値範囲の区分2に相当することから、区分2(神経系、腎臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外
-
-
- - 藻類、甲殻類及び魚類において100 mg/Lで急性毒性が報告されていない(SIDS, 2005)ことから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外
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- - 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存点検, 1984)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC=520 mg/L(SIDS, 2005)から、区分外となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、難水溶性ではなく(水溶解度=500000 mg/L, PHYSPROP Database(2009))、魚類の急性分類が区分外である(SIDS, 2005)ことから、区分外となる。
以上の結果から、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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