GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 7758-09-0
名称 亜硝酸カリウム
物質ID 23B5577
分類実施年度 平成23年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外
-
-
- - 爆発性に関連する原子団(N-O)を含む硝酸塩類であるが、UNRTDG(UN1488)クラス5.1、PGIIであるため区分外とした。ただし、本物質は反応性が高く、様ーな物質、火、熱との接触により爆発することがある。(ICSC(J)2000)、(Sax,11th,2004)

2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外
-
-
- - 不燃性(ICSC(J),(2000))である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 酸化性固体に分類されている。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - 不燃性(ICSC(J),(2000))である。
11 自己発熱性化学品 区分外
-
-
- - 不燃性(ICSC(J),(2000))である。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-
-
- - 金属(K)を含むが、水溶解度312 g/100g of water at 25℃(HSDB(2007))というデータがあり、水と急激な反応をしないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 区分2


危険
H272 P370+P378
P210
P220
P221
P280
P501
UNRTDG(UN1488)クラス5.1、PGIIであるため、区分2とした。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない
-
-
- - データなし。
なお、健康有害性に関しては類縁物質である亜硝酸ナトリウム(CAS:7632-00-0)も参照のこと。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
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- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外
-
-
- - マウスのLC50値は 85g/m3/2H(4時間換算値:42.5 mg/L/4H)(HSDB(2007))に基づき,区分外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - データ不足。なお、詳細は不明であるが、皮膚を刺激するとの記載(HSDB(2007))がある。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - データ不足。なお、詳細は不明であるが、眼を刺激性するとの記載(HSDB(2007))がある。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - データ不足。なお、当該物質かどうか不明であるが、亜硝酸塩をマウスに投与後の精子細胞を用いたUDS試験(生殖細胞in vivo遺伝毒性試験)で陰性(JECFA 844(1998)))であり、また、in vitro試験としては当該物質はエームス試験の陽性結果(IARC 94(2010))が報告されている。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - データがなく分類できない。なお、IARC(IARC Vol.94(2010))は、「食物中の亜硝酸塩のヒトでの発がん性は限定した証拠がある。食物中の亜硝酸塩は胃がんの増加に関連している。亜硝酸塩の実験動物での発がん性は限定した証拠がある。」としている。そのうえで経口摂取による硝酸塩または亜硝酸塩が生体内でニトロソ化される条件での発がん性を2Aと評価している。IARCの総合評価には、「ヒトの体内では硝酸塩と亜硝酸塩の変換が起こること。消化管の酸性条件では亜硝酸塩から生ずるニトロソ化物が二級アミン、アミドなど特にニトロソ化されやすい物質とともに直ちにN-ニトロソ化合物に変化する。硝酸塩、亜硝酸塩、ニトロソ化物の追加摂取により、これらのニトロソ化条件はさらに促進される。ある種のN-ニトロソ化合物はこれらの条件下で既知の発がん性物質を形成することがある。」との追加記載がある。

7 生殖毒性 区分2、追加区分:授乳に対するまたは授乳を介した影響


警告
H361
H362
P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
P260
P263
P264
P270
モルモットに300~10000 mg/kg bwを100-240日間飲水投与した試験において、低ばく露群で生殖能が維持され、全投与群で妊娠が成立したため雄の繁殖能に影響はなさそうであったが、雌に対しかなり影響があり、5000 mg/kg以上の群で胎仔死亡率100%であり、母獣の1匹が死亡した。また、胎仔が流産、ミイラ化、吸収を示した母獣には子宮や子宮頚部に炎症性病変、胎盤に退行性病変が観察された(EHC(1978))。高ばく露群では親動物の体重増加抑制は認められた。以上より、一般毒性が発現している用量で生殖発生毒性が認められていることから区分2とした。また、亜硝酸ナトリウムを用いたラットの妊娠期間から授乳期まで経口投与した試験において、投与母動物の仔が明らかな貧血となり、赤血球数、ヘモグロビン濃度の有意な低下に加え、肝臓の鉄含有量が有意な減少を示し、さらに投与母動物の乳汁では鉄含有量が対照動物より低く、延いては仔に副作用(貧血)を招いたとの記述(SIDS(2005))により、本物質も授乳移行が示唆されるため「追加区分:授乳に対するまたは授乳を介した影響」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(血液)


危険
H370 P307+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
硝酸塩と亜硝酸塩の主要な急性毒性はメトヘモグロビン血症であり、血液が標的臓器で、経口摂取により15分から45分後に最初の症状が現れ、嘔吐、吐き気、頭痛、めまい、血圧低下、チアノーゼ、昏迷、痙攣などをおこすと記述されている(PIM G016(1999))。また、過量の亜硝酸塩に汚染された肉を摂食した3人の患者にメトヘモグロビン血症が認められた(JECFA 844(1998))との事例報告があることから区分1(血液)とした。なお、動物試験では本物質12.2~19.8 mg/kgをブタに経口投与により一般状態が悪化し、21.3 mg/kg以上で死亡が見られ、ヘモグロビンからメトヘモグロビンへの変換率20%で中毒症状が現れ、76~80%で死亡が発生したとの報告(HSDB(2007))がある。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない
-
-
- - ラットの飲水による2件の13週間反復ばく露試験における主な所見として、3000 mg/L(300 mg/kg bw/day)で血中メトヘモグロビン濃度の有意な増加、100 mg/L(10 mg/kg bw/day)以上で副腎の球状帯に軽度の肥大が観察された(JECFA 1057(2003))が、メトヘモグロビンの増加が認められた用量はガイダンス値範囲の上限を超えており、また、副腎の肥大については生物学的意義が不確か(HSDB(2007))との記述があり、分類根拠としてデータ不十分のため「分類できない」とした。なお、亜硝酸ナトリウムを用いた試験でも、ラットの14週間反復経口(飲水)投与試験で、30 mg/kg bw/day以上の投与群でメトヘモグロビン濃度の上昇、130 mg/kg/day以上でチアノーゼ、網赤血球数の増加が認められ(NTP TR 495(2001))、マウスの14週間反復経口(飲水)投与試験でも、445 mg/kg/day以上の群で脾臓の髄外造血が観察されている(NTP TR 495(2001))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
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- - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
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H401 P273
P501
魚類(ニジマス)の96時間LC50 = 0.56-1.78 mg NO2-/L(HSDB, 2007)(亜硝酸カリウム換算濃度:1.036-3.293 mg/L)から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2


-
H411 P273
P391
P501
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。無機化合物であり水中での挙動が不明であり、急性毒性区分2であることから、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
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- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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