GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 107-15-3
名称 エチレンジアミン
物質ID 23B5524
分類実施年度 平成23年度
分類実施者 厚生労働省/環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) 物理化学的危険性・健康に対する有害性:政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)、環境に対する有害性:国連GHS文書(改訂4版)
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3


警告
H226 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点34℃ [密閉式](ICSC(2003))は ≧ 23℃ かつ ≦60℃ であることから、区分3に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点は390℃であり(Ullmanns(E)(6th, 2003))、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - 酸素、フッ素および塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データなし。なお、鉄、亜鉛メッキ鉄は腐食作用を受ける。アルミニウム、亜鉛ならびにZIII(容器内装防護欠除)は強い腐食作用を受ける。ステンレス鋼およびスズメッキ鉄は耐久性がある。(ホンメル(1996))という情報がある。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
ラットLD50値は637、1850 mg/kg(以上、SIDS(2001))、1160 mg/kg(ACGIH(2001))、1200 mg/kg(環境省リスク評価 第3巻(2004))であり全て区分4に該当する。

本物質は強アルカリ溶液のため、胃内部では胃液に含まれる塩酸によって中和され二塩酸塩になる。このため、経口投与の場合には、本物質及びその二塩酸塩で体内動態や毒性作用にほとんど質的な差はない(環境省リスク評価 第3巻(2004))。
1 急性毒性(経皮) 区分3


危険
H311 P302+P352
P361+P364
P280
P312
P321
P405
P501
ウサギのLD50値として4件のデータ[550 mg/kg(産業医学33巻4号(1991))、560 mg/kg(SIDS(2001))、730μL/kg(換算値:655 mg/kg)(環境省リスク評価 第3巻(2004))、657 mg/kg(ACGIH(2001)]は全て区分3に該当する。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分4


警告
H332 P304+P340
P261
P271
P312
ラットに2000 ppm/8h(換算値:2828 ppm/4h)ばく露で死亡例はなく、4000 ppm/8h(換算値:5656 ppm/4h)で6匹中6匹の死亡の結果(ACGIH(2001))から、LD0およびLD100とも区分4に該当するため区分4とした。なお、本試験は飽和蒸気圧濃度の90%(14300 ppm)以下の試験であり、気体の基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外
-
-
- - ラットのLC50値は >29 mg/L/8h(換算値:>58 mg/L/4h)(SIDS(2001))に基づき、区分外とした。なお、本試験は、飽和蒸気圧濃度(39 mg/L)以上で実施されたものであり、「粉塵・ミスト」の区分の基準値に従って分類した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
ウサギに本物質原液を1分間適用した試験で、適用部位に重度炎症及び壊死を生じ、筋肉に達する深い瘢痕が残る例ありとのい記載(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))、また、ラットに本物質原液を24時間閉塞適用した試験で、皮膚の深部に達する壊死を生じ、14日後も壊死は見られたとの記載(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))に基づき、区分1とした。なお、pHは11.8(5g/L水溶液)(SIDS(2001)である。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
ウサギに原液を5μL適用した試験で、18-24 時間後に角膜表面に壊死を生じ、原液50μL適用した試験では1 時間後、眼粘膜の顕著な刺激作用、重度角膜混濁、数日後化膿し、8日間継続したとの報告、さらにウサギに当該物質の水溶液を適用した試験で、10%以上の濃度で壊死性炎症及び角膜混濁を伴う強い腐食性を示したとの報告(以上、NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))に基づき、区分1とした。なお、pHは11.8(5g/L水溶液)(SIDS(2001))である。
4 呼吸器感作性 区分1


危険
H334 P304+P340
P342+P311
P261
P284
P501
産衛学会が気道感作性物質の第2群に分類(産衛誌52巻(2010))していることから、区分1とした。なお、ヒトへの影響として、エチレンジアミンを含むエチレンアミン類の混合物に最長4 年間職業ばく露により、35人中3人に呼吸器に対する感作がみられ、エチレンアミン類が呼吸器感作の主要原因物質であると結論されている(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))。職場でエチレンジアミンを含む低分子の化学物質に混合暴露し喘息症状を示した48 人のうち呼吸器障害を示した6人に、刺激性を示さない低濃度のエチレンジアミンを吸入ばく露し誘発した試験で、4 人には陽性反応がみられ、48 人の被験者全員がエチレンジアミンに対する免疫グロブリンE 抗体が確認され、エチレンジアミンに呼吸器感作作用があると結論しされている(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P362+P364
P261
P272
P280
P321
P501
接触アレルギー物質としてContact Dermatitis(5th、2011)に掲載され、また、産衛学会で感作性物質として「皮膚:第1群」に分類(産衛誌52巻(2010))されていることから、区分1とした。なお、モルモットのマキシマイゼーション試験で陽性率90%を示し強い感作性物質である(SIDS(2001))との報告、モルモットのビューラー試験でも惹起24時間後に陽性率50~100%を示し、感作清華あると報告されている(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))。
5 生殖細胞変異原性 区分外
-
-
- - 生殖細胞 in vivo変異原性試験および体細胞 in vivo変異原性試験のデータがなく、ラットの経口投与による優性致死試験(生殖細胞を用いた in vivo 経世代変異原性試験)で陰性(SIDS(2001))の結果に基き、区分外とした。なお、エームス試験で、陰性(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))、陽性(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007)、NTB DB Study ID 986505(1980)、NTB DB Study ID 942194(1983)、NTB DB Study ID 572096(1984)、NTB DB Study ID 414798(1984))、CHO細胞を用いたHGPRT試験で陰性(SIDS(2001))の報告がある。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - ACGIHでA4に分類(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))、EPAでグループDに分類(IRIS(2003))されていることから、分類できないとした。なお、マウスに1% エチレンジアミン水溶液25μL を週3回の割合で経皮適用した生涯ばく露試験で、発がん性は認められなかった(SIDS(2001))との報告がある。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P280
P405
P501
本物質自体のデータはないが、関連物質であるエチレンジアミン二塩酸塩について、妊娠ラットの器官形成期に混餌投与した試験において、母動物が体重増加抑制、摂餌量減少を示した用量(1000 mg/kg/day)で、吸収胚が増加し、胎仔に体重減少、頭臀長減少、前腕頭動脈短縮(または欠損)の発現数増加、胸骨非化骨化発現数の増加がみられ(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))、さらに、これらの結果は、ラットに同一用量を器官形成期に強制経口投与した追加試験により確認されている(SIDS(2001))ことから、区分2とした。なお、ラットに混餌投与した2 世代試験で、親動物が毒性を示した用量で、繁殖性の障害、仔に対する毒性は認められず(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))、妊娠ウサギの器官形成期に経口投与した試験では胚毒性、催奇形性は見られなかった(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))と報告されている。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器)


危険
H370 P308+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
ヒトへの影響として、本物質は眼、皮膚、気道に対して腐食性を示し、蒸気あるいは煙霧を吸入すると肺水腫を起こすことがあるとの記述(環境省リスク評価 第3巻(2004))に基づき、区分1(呼吸器)とした。なお、急性中毒の死亡例として、皮膚及び吸入ばく露 した作業者が、ばく露4 時間後から頻脈、溶血による高カリウム血症及び無尿症を伴う尿細管腎症を示し、ばく露55 時間後に虚血性心疾患により死亡したとの記述(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))があるが、一例のみの報告であり、他に裏づけとなるデータもないことから分類の根拠としなかった。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓、腎臓、視覚器)


警告
H373 P260
P314
P501
ラットの30日間の吸入毒性試験の0.22 mg/L/6hrs(90日換算値)以上で、脱毛、体重増加抑制、肝臓・腎臓の相対重量増加、肝細胞及び尿細管混濁腫脹、0.47 mg/L/6hrsで腎臓曲尿細管の変性、肺及び副腎うっ血の記載(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))があり、ガイダンス値区分2の範囲の毒性影響であることから、区分2(肝臓、腎臓)とした。また、エチレンジアミン二塩酸塩をラットに90日間経口投与した試験で、100 mg/kg(エチレンジアミン換算値)で、白内障および網膜萎縮が見られた(NITE初期リスク評価書 Ver.1.0, 55(2007))ことから区分2(視覚器)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2
-
-
H401 P273
P501
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 3.0 mg/L(SIDS, 2004)から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3
-
-
H412 P273
P501
急速分解性があり(4週間でのBOD(NO2)による分解度:39%、BOD(NH3)による分解度:94%、TOCによる分解度:96%、HPLCによる分解度:100%(既存点検, 1991))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.16 mg/L(SIDS, 2004他)であることから、区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。

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