項目 | 情報 |
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CAS登録番号 | 111-42-2 |
名称 | ジエタノールアミン |
物質ID | 23B5514 |
分類実施年度 | 平成23年度 |
分類実施者 | 厚生労働省/環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
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分類に使用したガイダンス(外部リンク) | 物理化学的危険性・健康に対する有害性:政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)、環境に対する有害性:国連GHS文書(改訂4版) |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 |
- |
- | - |
発火点280℃(溶剤ポケットブック(1997))、および662℃(ICSC(2002)、NFPA(14th, 2010))であり、常温では発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 融点140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | フッ素または塩素を含んでいなく、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 区分外 |
- |
- | - | 鋼およびアルミニウムは容器として耐久性がある(ホンメル(1996))との情報から区分外とした。なお、銅および銅化合物は腐食される(ホンメル(1996))。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 |
- |
- | - |
ラットのLD50値として11件のデータ(2830 mg/kg(PATTY(5th, 2001))、3460 mg/kg、780 mg/kg、1600 mg/kg、2000 mg/kg、2370 mg/kg、878 mg/kg、12760 mg/kg、1820 mg/kg、2300 mg/kg、3540 mg/kg(以上 SIDS(2008)))のうち、6件がJIS分類基準の区分外、5件が区分4に該当することから、該当数の多いJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5または区分外)とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 |
- |
- | - | ウサギのLD50値は13000 mg/kg(SIDS(2008))および12.1-13.1g/kg(ACGIH(2009)に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない |
- |
- | - | ラットのLC50値は768 ppm/4h(換算値:3.30 mg/L)以上(ACGIH(2009))との報告があるが、区分が特定できないので「分類できない」とした。なお、試験は飽和蒸気圧濃度(0.37 ppm:0.001585 mg/L)以上で実施されているので、粉塵による試験とみなした。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 |
警告 |
H315 |
P302+P352
P332+P313 P362+P364 P264 P280 P321 |
ウサギの皮膚に試験物質を希釈せず適用した試験において、皮膚刺激指数(PII)は2.6(/8)で軽度の刺激に相当したが、中等度の刺激性(moderate irritation)との評価結果であった(SIDS(2008))ことに加え、本物質のpHは0.1N水溶液で11(Merck 14th, 2006))であり、EU分類がXi; R38であることも考慮して区分2とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 |
危険 |
H318 |
P305+P351+P338
P280 P310 |
ウサギの眼に試験物質0.1 gを希釈せず適用した試験において、角膜、虹彩及び結膜に強い刺激性が観察され、眼刺激指数(最大値110でAOIに相当)は24時間から72時間までが50~56、96時間から168時間までが41~45であった(SIDS(2008))ことに加え、本物質のpHが0.1N水溶液で11(Merck 14th, 2006))であることを考慮して区分1とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | 本物質を取り扱う男性労働者に吸入させた後、喘息性気道閉塞が引き起こされ、また、本物質を0.15%及びトリエタノールアミンを 0.32%含む切削油のエーロゾルにばく露した後でも、同様の症状が起きたとの報告(環境省リスク評価 第8巻(平成22年))があるが、分類にはデータ不足である。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 |
- |
- | - | モルモットのマキシマイゼーション試験(OECD TG 406, GLP)で、陽性率10%(2/20)で皮膚感作性が認められず(no skin sensitizing potential)、動物で本物質は皮膚感作性物質ではないと結論されている(SIDS(2008))ことに基づき、区分外とした。なお、ヒトでは、職業ばく露による皮膚炎の患者に行われた金属加工油剤成分のパッチテストで、僅かながら陽性率の増加がみられた(SIDS(2008))が、健常被験者による皮膚感作性試験(repeated insult patch test)では感作性は認められなかったと報告されている(SIDS(2008))。また、本物質は接触アレルギー物質としてContact Dermatitis(Frosch)(4th, 2006)に掲載されているが、上述のモルモットの試験データを根拠とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 |
- |
- | - | マウスの13週間経皮投与による赤血球を用いた小核試験(体細胞を用いたin vivo 変異原性試験)で、陰性の結果(SIDS(2008))に基づき、区分外とした。なお、in vitro試験では、エームス試験、CHO細胞を用いた染色体異常試験、およびマウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験でいずれも陰性(NTP DB 375254(Access on Sep. 2011))の報告がある。 |
6 | 発がん性 | 区分2 |
警告 |
H351 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
IARCでグループ2Bに分類されている(IARC(2011))ことに基づき、区分2とした。なお、ラットを用いた103週間経皮投与試験で発がん性の証拠は見出されなかったが、マウスを用いた103週間経皮投与試験では、雌雄で肝細胞腫瘍の発生率の増加、雄で尿細管腫瘍の発生率の増加が認められ、マウスでは明らかな発がん性の証拠が得られたと結論されている(NTP TR 478(1999))。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 |
警告 |
H361 |
P308+P313
P201 P202 P280 P405 P501 |
ラットの妊娠6~19日に経口投与による発生毒性試験において、125または200 mg/kg以上の用量で、体重増加抑制、摂餌量の低下、腎臓重量の増加など母動物の一般毒性が見られた用量で、生殖に対する影響として、着床後死亡率の増加および出生後早期死亡の増加が報告されている(NTP TER 96001(1999))ことから、区分2とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(肝臓)、区分2(腎臓、呼吸器系) |
危険 警告 |
H370
H371 |
P308+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
ラットに経口投与により、200~1600 mg/kgで肝臓実質細胞に軽微な障害が現れ、1600 mg/kgでは肝細胞に大脂肪滴と限局性細胞質変性、400 mg/kg以上で腎臓の尿細管細胞壊死、さらに800 mg/kgで血清中の尿素、SGOT、およびLDHの増加が認められた(SIDS(2008))。以上より、肝臓に対してはガイダンス値の区分1、腎臓に対しては区分2に相当する用量で影響が報告されていることから、区分1(肝臓)、区分2(腎臓)とした。また、ラットに1476 ppm(6.35 mg/L)を105分間吸入ばく露(4時間換算値:2.778 mg/L)により、死亡例では、嗜眠、協調不能、ラ音と喘ぎを特徴とした不規則緩徐呼吸が現れ、特徴的所見として、心拍数の低下に次ぐ増加、著しい呼吸窮迫、収縮期血圧増加がみられ、主な病理組織学的所見は肺水腫であった(SIDS(2008))との記載により、ばく露濃度はガイダンス値区分2に相当することから区分2(呼吸器系)とした。なお、ACGIH(2001)に、ラットに200 mg/kg以上の経口投与で中枢神経抑制(運動失調、鎮静作用)の記載があるが、ACGIH(2009)では採用されておらず、詳細も不明であるため分類の根拠としなかった。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(気道)、区分2(血液、腎臓、肝臓) |
危険 警告 |
H372
H373 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
ラットに3ヵ月間吸入ばく露(ミスト)した試験において、0.015 mg/L/6h以上の用量で喉頭の扁平上皮化生、0.15 mg/L/6h以上では咽頭、気道に重度の炎症が見られ(SIDS(2008))、用量は区分1ガイダンス値内であるため区分1(気道)とした。また、ラットに42~550 mg/kg/dayを49日間飲水投与した試験において、155 mg/kg/day(90日換算値:84.3 mg/kg/day)以上の用量で正球性貧血、尿細管上皮細胞の破壊、硝子円柱を伴った遠位尿細管の拡張と様ーな早期壊死性変化、肝細胞の混濁腫脹と塩基性の消失を特徴とする早期の変性変化が見られ(SIDS(2008))、ラットに25~436 mg/kg/dayを3ヵ月間飲水投与した試験では、用量依存的な小球性貧血の発生、腎症、尿細管壊死およ鉱質化の発生率または程度の増強が認められた(SIDS(2008))との報告に基づき、影響用量はガイダンス値区分2に相当していることから区分2(血液、腎臓、肝臓)とした。なお、ラットの飲水による13週間反復投与試験において、1250 ppm(124 mg/kg/day)以上の用量の全ての動物で脳と脊髄の脱髄が認められており(NTP TOX 20(1992))、神経系への影響が示唆されるが、区分2のガイダンス値を超えた用量であるため分類の根拠としなかった。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 |
- |
H401 |
P273
P501 |
甲殻類(ミジンコ)の48時間LC50 = 2.15 mg/L(AQUIRE, 2012)から、区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分3 |
- |
H412 |
P273
P501 |
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(3週間でのBODによる分解度:51.4%、TOCによる分解度:96.7%、HPLCによる分解度:100%(既存点検, 1976))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.78 mg/L(BUA 158, 1994)であることから、区分3となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の96時間EC50 = 2.1-2.3 mg/L(BUA 158, 1994)であるが、急速分解性があり(3週間でのBODによる分解度:51.4%、TOCによる分解度:96.7%、HPLCによる分解度:100%(既存点検, 1976))、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow = -1.43(PHYSPROP Database, 2009))ことから、区分外となる。 以上の結果を比較し、区分3とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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