GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 151-56-4
名称 エチレンイミン
物質ID 23B5511
分類実施年度 平成23年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2


危険
H225 P303+P361+P353
P370+P378
P403+P235
P210
P233
P240
P241
P242
P243
P280
P501
引火点-11℃ [密閉式](HSDB(2006))は < 23℃ であり、かつ、初留点55℃((ホンメル(1991))は >35℃ であることから、区分2に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 タイプG
-
-
- - 自己反応性に関わる原子団(歪みのある環)を含むが、一般の流通商品は安定剤が添加されてUNRTDG(UN No.1185)クラス6.1副次分類3PGIでありタイプGとなる。また、純品は海上輸送が禁止されており、「タイプA]と推定される。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - 発火点は322℃であり(HSDB(2006))、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - 酸素、フッ素および塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データなし。なお、鋼、ステンレス鋼は容器として恒久性がある(ホンメル(1996))という情報がある。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2


危険
H300 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
ラットLD50値は15 mg/kg(PATTY(5th, 2001))に基づき区分2とした。
1 急性毒性(経皮) 区分1


危険
H310 P302+P350
P262
P264
P270
P280
P310
P322
P361
P363
P405
P501
ウサギのLD50値は13 mg/kg bw(PATTY(5th, 2001)に基づき区分1とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
ラットのLC50値として2件のデータ[2時間ばく露による56 ppm(4時間換算値:39.6 ppm)(PATTY(5th, 2001))および8時間ばく露による15 ppm(4時間換算値:21.2 ppm)(ACGIH(2009)]は、いずれも区分1に該当する。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(280000 ppm)より低いので、ミストがほとんど混在しない蒸気として気体の基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1


危険
H314 P301+P330+P331
P303+P361+P353
P305+P351+P338
P304+P340
P260
P264
P280
P310
P321
P363
P405
P501
ウサギの皮膚に100 ppmの濃度を24時間の開放適用により、重度の刺激(severe irritation)を引き起こした(HSDB(2006))との報告、かつ、皮膚症状はばく露の濃度と時間に依存し、炎症、水疱から深い壊死に至るが、皮膚刺激性は僅か5分のばく露でも明らかであるとの記述に基づき、区分1とした。なお、EU分類はC;R34(EC-JRC(ESIS)(Access on Sept. 2011))である。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1


危険
H318 P305+P351+P338
P280
P310
エチレンイ ミンは皮膚・粘膜に対する刺激性が強く, とくに眼に激 しい障害を起こすのが特徴である(産業医学32巻(1990))と記載されている。ウサギの眼に試験物質の原液0.005 mLまたは15%水溶液0.5 mLを適用し、重度の角膜傷害を起こし、腐食性あり(corrosive)との評価結果(IUCLID(2000))により、区分1とした。なお、EU分類はC;R34(EC-JRC(ESIS)(Access on Sept. 2011))である。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - ヒトで2名の研究業務従事者に皮膚の感作がみられた(ACGIH(2001)、産業医学32巻(1990))との報告が1件あるが、複数の皮膚科診療所で得られた事例かどうかなどの詳細が不明で、他に本物質の感作性を示すデータもなく、またACGIH-TLV(2011)には「SEN」も付されていないことにより「分類できない」とした。
5 生殖細胞変異原性 区分1B


危険
H340 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
雄マウスの腹腔内または陰嚢内投与による優性致死試験(生殖細胞 in vivo経世代変異原性試験)において、両投与経路とも陽性の結果(IARC 71(1999)、IUCLID(2000))に基づき区分1Bとした。なお、マウスに腹腔内投与による生殖細胞を用いた不定期DNA合成試験(生殖細胞in vivo遺伝毒性試験)で陽性(IUCLID(2000))の報告があり、また、in vitro試験としては、エームス試験、チャイニーズハムスターの卵巣細胞を用いた遺伝子突然変異試験、ヒトのWI-36細胞と白血球を用いた染色体異常試験においていずれも陽性(NTP DB(2000)、IARC 71(1999))が報告されている。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
IARCの分類が2B(IARC 71(1999))、日本産業衛生学会の分類が2B(産衛学会勧告(2010))、ACGIHの分類がA3(ACGIH-TLV(2008))であることに基づき、区分2とした。なお、マウスに77~78週間の経口投与(強制+混餌)により、肝細胞癌と肺腫瘍の発生の有意な増加が報告されている(IARC 9(1975))。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
妊娠ラットに10mg/m3の濃度を20日間吸入ばく露により、母動物の著しい体重増加抑制に加え妊娠動物数が相対的に減少した(ACGIH(2001))。また、妊娠ラットの器官形成期に1.04または2.6 mg/kg を経口投与により、高用量群で明らかな体重低下と膣出血が母動物の毒性として現れ、かつ、同用量で生存着床数の有意な減少と奇形(脊椎分離)を有する胎仔数の有意な増加が認められた(IUCLID(2000))。以上の2つの試験とも、親動物での一般毒性が発現する用量で生殖への有害影響が認められていることから区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経、呼吸器系、腎臓、肝臓)


危険
H370 P307+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
作業環境での吸入または経皮による急性ばく露は、中枢神経系への影響、肺の液体貯留、肝臓および腎臓の障害を起こし、死に至ることもある(ACGIH(2009))と述べられている。また、ヒトで短期間のばく露による気道に対する腐食性や上気道の潰瘍が見られている(環境省リスク評価 第4巻(2005))。一方、動物試験において、大量の過剰ばく露による死因は中枢神経系に対する影響である(PATTY(5th, 2001))との記載、および吸入ばく露で、うっ血、水腫および出血を伴う遅発性の肺障害、蛋白尿、血尿などを伴う腎障害が報告されている(ACGIH(2009))。以上の知見に基づき、区分1(中枢神経系、呼吸器系、腎臓、肝臓)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器系、腎臓、肝臓)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
吸入ばく露による動物試験の所見として、うっ血、水腫および出血を伴う遅発性の肺障害、蛋白尿、血尿、BUN増加に加え、組織学的には腎尿細管の壊死性変化が記載されている(PATTY(5th, 2001))。さらに、ラットにガイダンス値区分1に相当する5 ppm(蒸気)を1.5ヵ月間(4時間/日)吸入ばく露(90日(6時間/日)換算:1.67 ppm〈0.003 mg/L〉)した試験で、カタル性気管支炎、リンパ腺のリンパ成分の減少、肝臓及び腎臓の変性が報告されている(ACGIH(2001))ことから、区分1(呼吸器系、腎臓、肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3
-
-
H402 P273
P501
甲殻類(オオミジンコ)の24時間EC50 = 14 mg/L(HSDB, 2006他)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3
-
-
H412 P273
P501
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。急速分解性に関する適切なデータが得られておらず、急性毒性区分3であることから、区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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