GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 137-26-8
名称 テトラメチルチウラムジスルフィド(別名チウラム)
物質ID 23B5510
分類実施年度 平成23年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - 可燃性(ICSC(J)(2000))であるが、所定の試験法によるデータなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - not self-flammable(IUCLID(2000))という情報により自然発火性はないと判断した。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - 酸素、フッ素および塩素を含まない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として10件のデータ(865 mg/kg(IARC 53(1991))、1800 mg/kg、560 mg/kg、2600 mg/kg、1080 mg/kg、1112 mg/kg、1278 mg/kg(以上の6件:USEPA/HPV(2003)、List1相当)、640 mg/kg(産衛誌第50巻(2008))、3700~4000 mg/kg、1800~1900 mg/kg(以上の2件:JMPR 853(1992))のうち、2件が区分外、8件が区分4に該当することから、該当数の多い区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ラットの2件のLD50値は>2000 mg/kgおよび>5000 mg/kg(USEPA/HPV(2003))、ウサギの2件のLD50値は≧2000 mg/kg bwおよび>7940 mg/kg bw(USEPA/HPV(2003))であり、いずれも区分外に該当する。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
ラットのLC50値(4h)として、3件のデータ(0.5 mg/L(産衛誌第50巻(2008)、0.3-1 mg/L(ACGIH(2008)、4.42 mg/L(SIAP(2010))のうち、それぞれ区分2、区分2~区分3、区分4に該当し、該当数の多い区分2とした。なお、LC50値はいずれも飽和蒸気圧濃度(2.24E-04 mg/L)より高いので、粉塵による試験とみなした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- - ウサギを用いた試験が複数あり、24時間ばく露では中等度の刺激性(moderately irritating)または軽度の刺激性(slightly irritating)、4時間ばく露では刺激性なし(not irritating)と報告されている(USEPA/HPV(2003))。EU分類でR36/38である(EC-JRC(ESIS)(Access on Aug. 2011))ことを考慮し、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A


警告
H319 P305+P351+P338
P337+P313
P264
P280
ウサギを用いた複数の試験で軽度の刺激性(slightly irritating)または中等度の刺激性(moderately irritating)と報告され(USEPA/HPV(2003))、一つの試験(EPA/FIFRA u 81-4:: GLP)で15日以内に回復した(USEPA/HPV(2003))との記述から、回復には7日以上を要したと判断されたので、区分2Aとした。なお、EU分類ではR36/38である(EC-JRC(ESIS)(Access on Aug. 2011))。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データ不足。なお、製剤工場における調査で本物質のダストが検出されたが、呼吸器感作性の報告はないのでヒトで呼吸器感作性を起こさないように思われる(ECETOC TR77(1999))との報告がある。
4 皮膚感作性 区分1A


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P261
P272
P280
P321
P363
P501
日本産業衛生学会で皮膚感作性物質:第1群に分類され(産衛学会勧告(2010))、Contact Dermatitis(Frosh)に接触アレルギー物質として掲載されている(Contact Dermatitis(Frosh)(4th, 2006)、List1相当)ことにより、区分1Aとした。なお、職業ばく露などによる皮膚疾患の患者がパッチテストで本物質に陽性反応を示した報告が高頻度に見られ(DFGMAK-Doc.15(2001)、ECETOC TR77(1999)、ACGIH(2008))、本物質を含むゴム手袋、石鹸、殺菌剤、種子保護剤の使用により起きたアレルギー性接触皮膚炎の原因が本物質である(ECETOC TR77(1999)、ACGIH(2008))との報告がある。また、モルモットのマキシマイゼーション試験およびマウス局所リンパ節増殖試験で陽性結果(ECETOC TR77(1999)、DFGMAK-Doc.15(2001))が報告されている。
5 生殖細胞変異原性 区分1B


危険
H340 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
マウスを用いた優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)での陽性結果(ACGIH(2008))に加え、マウスに経口投与による精子細胞を用いた染色体異常試験(生殖細胞in vivo変異原性試験)で陽性(産衛誌第50巻(2008))の報告があることから、区分1Bとした。なお、マウスに経口投与による生殖細胞を用いた染色体異常試験では陰性(USEPA/HPV(2003))の報告もあり、マウスに腹腔内投与による骨髄を用いた小核試験では陰性または陽性の結果(IARC 53(1991)、産衛誌第50巻(2008)、USEPA/HPV(2003))が報告されている。in vitro試験としては、多くの報告があるエームス試験の結果は概ね陽性(IARC 53(1991)、ACGIH(2008))であり、CHO細胞を用いた染色体異常試験では陰性および陽性(IARC 53(1991)、USEPA/HPV(2003)、ACGIH(2008))が報告されている。
6 発がん性 分類できない
-
-
- - IARCの発がん性評価でグループ 3(IARC 53(1991))、ACGIHではA4(ACGIH(2008))に分類されていることに基づき、分類できないとした。なお、ラットおよびマウスに2年間混餌投与による複数の発がん性試験(EPA/FIFRA TG83-2, GLP;yes)で、いずれも発がん性は認められなかったと報告されている(JMPR No.853(1992), ACGIH(2008), USEPA/HPV(2003))。
7 生殖毒性 区分2


警告
H361 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
妊娠動物を用い器官形成期を含む妊娠期間に経口投与した発生毒性試験において、ラットでは母動物の体重増加および摂餌量の低下、胚吸収の増加に伴った着床数および同腹仔数の減少に加え、ドーム型頭蓋、水頭症、後頭上部骨化不全などの催奇形性が認められ(SIAP(2010))、マウスでも胚吸収および胎仔の成長抑制とともに口蓋裂、波状肋骨、四肢長骨変形、小顎症などの骨格奇形が報告されている(IARC 53(1991))。以上の生殖への影響はラットでは親動物での一般毒性が発現している用量であり、マウスの場合は親動物での一般毒性に関する記述がないことから、区分2とした。なお、ウサギ用いた発生毒性試験では催奇形性を含め仔の発生影響は認められず(EHC 78(1988))、一方、ラットの二世代生殖試験では性機能および生殖能に及ぼす影響は認められなかった(SIAP(2010))ことが報告されている。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系)


危険
H370 P307+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
ラットに単回経口投与による急性神経毒性試験の結果、ガイダンス値区分1相当の150 mg/kg 以上で投与2時間後の行動機能観察(FOB)に異常が見られ、3時間、7日及び14日後に運動能低下が見られ、14日後の剖検では150 mg/kg bw以上の雄で脳の絶対重量が有意に低下したと報告されている(SIAP(2010), EPA RED(2004))。また、ラットの急性吸入毒性試験の結果、ガイダンス値区分1相当の0.3-1 mg/L(4h)で運動失調、振戦、痙攣の症状が見られたと報告されている(ACGIH(2008))。以上の報告に基づき区分1(神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(甲状腺、肝臓)、区分2(神経系)


危険
警告
H372
H373
P260
P264
P270
P314
P501
概ね3年以上チウラムの製造に携わった労働者223人を対象とした調査において、本物質ばく露群では非ばく露群に比べ甲状腺障害の発症が多く見られた(IARC 53(1991))との報告に基づき、区分1(甲状腺)とした。実験動物ではラットに500 ppm(25 mg/kg/day)を2年間混餌投与で甲状腺の過形成(ACGIH (2001)、EHC 78(1988))、ラットに50 mg/kg bw/dayを80週間の混餌投与で甲状腺の扁平上皮化生の報告がある(ACGIH(2008))。また、ラットの80週間の試験では、50 mg/kg bw/day(混餌投与)で運動失調、麻痺に進行する協調運動失調が見られ(ACGIH(2008))、さらに、13.8 mg/kg/dayを12ヵ月混餌投与でふくらはぎの筋肉の萎縮を伴った坐骨神経の退行性変化(産衛誌第50巻(2008))などいずれもガイダンス値区分2またはそれ以上の用量範囲で認められたことから、区分2(神経系)とした。一方、イヌに104週間経口投与によりガイダンス値区分1相当の4および40 mg/kg/dayの用量で肝酵素活性の上昇がみられ、組織学的に肝細胞変性が確認されている(ACGIH(2008))ことから区分1(肝臓)とした。
なお、雄ラットの13週間混餌投与試験で精巣の発育不全が見られたが(EHC 78(1988))、区分2のガイダンス値を超えた用量であるため分類根拠に採用しなかった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間LC50 = 0.036 mg/L(U.S. EPA: RED, 2004)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
信頼性のある慢性毒性データが得られていない。
急速分解性がなく(2週間でのBODによる分解度:0%(既存点検, 1979))、急性毒性区分1であることから、区分1となる。
以上の結果から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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