GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

View this page in English



一般情報
項目 情報
CAS登録番号 101-14-4
名称 3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン
物質ID 23B5508
分類実施年度 平成23年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
Excelファイルのダウンロード Excel file

関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) 職場のあんぜんサイトへ
OECD/eChemPortal(外部リンク) eChemPortal

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない
-
-
- - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない
-
-
- - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない
-
-
- - 融点140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外
-
-
- - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - 酸素およびフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4


警告
H302 P301+P312
P264
P270
P330
P501
ラットのLD50値として4件のデータ(>2000 mg/kg(OECD TG 423, GLP)(厚労省報告(2004))、1140 mg/kg(環境省リスク評価 第7巻(2009))、2100 mg/kgおよび750 mg/kg(ACGIH(2001)))のうち、2件がJIS分類基準の区分外、2件が区分4に該当するため、危険性の高い方の区分を採り区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外
-
-
- - ウサギのLD50値は>5000 mg/kg(環境省リスク評価 第7巻(2009))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外
-
-
- - モルモットを用いた皮膚刺激性試験の結果、「きわめて軽度の刺激性」(NITE初期リスク評価書 33(2005))との報告に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
ウサギを用いた眼刺激性試験の結果、角膜または虹彩への影響はなく、結膜に軽度の刺激性(mild conjunctival irritation)が見られた(ACGIH(2001))との報告に基づき、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - モルモットを用いた試験の結果、「皮膚感作性を示さなかった」(NITE初期リスク評価書 33(2005))との記述があるが、試験法や陽性率などの詳細が不明であるので、「分類できない」とした。
5 生殖細胞変異原性 区分2


警告
H341 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
マウスの腹腔内投与による骨髄細胞を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)の陽性結果(NITE初期リスク評価書 33(2005)、ASTDR(1994))に基づき、区分2とした。なお、ラットの腹腔内投与によるリンパ球を用いた姉妹染色分体交換試験ならびにラットの経口投与による肝臓、腎臓、肺のDNA付加体形成試験(体細胞in vivo遺伝毒性試験)ではいずれも陽性(NITE初期リスク評価書 33(2005))の報告がある。また、in vitro試験としては、エームス試験(NTP DB(Access on Dec, 2005))、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験(NTP DB(Access on Aug. 2011))およびCHL細胞を用いた染色体異常試験(OECD TG 473、GLP)(厚労省報告(2004))で陽性の報告があり、ヒト培養白血球を用いた染色体異常試験およびCHO細胞を用いた染色体異常試験(NITE初期リスク評価書 33(2005))では陰性結果が得られている。
6 発がん性 区分1A


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
IARCの発がん性評価でグループ1に分類されている(IARC 99(2010))ことから区分1Aとした。なお、ラットの2 年間混餌投与試験で、肺の腺腫症及び腺癌の発生率に有意な増加に加え、胸膜中皮腫、肝細胞腺腫や腺癌の発生が見られ、ラット(雄)に標準タンパク質含有飼料による18 か月混餌投与試験では、肺の腫瘍、乳腺の腺がん、ジンバル腺のがん及び肝細胞がんの発生率に有意な増加が認められている(IARC 99(2010))。さらに、イヌ(雌)に9 年間にわたり経口(カプセル)投与した試験で、膀胱の移行上皮がんの発生が認められ(NITE初期リスク評価書 33(2005))、マウスでは本物質の塩酸塩を18 か月間混餌投与した試験で、肝細胞がんの発生率に有意な増加(IARC 99(2010))が認められている。一方、ヒトで得られた情報は少ないが、本物質の職業ばく露によるとされる膀胱がんの発生が報告されている(環境省リスク評価第7巻(2009))。
7 生殖毒性 分類できない
-
-
- - ラットに経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG 422, GLP)において、高用量(50 mg/kg)群の雌雄に流涎、雌に妊娠後期体重の低値が認められたが、親動物の性周期、交尾成立期間、交尾率、受胎率、妊娠期間、黄体数、着床率、出産率、分娩率、分娩および哺育状態に変化は認められず、仔動物に対しても、総出産仔数、新生仔数、性比、出生率、体重、形態および哺育4日目生存率に本物質の投与に起因する変化は認められなかった(厚労省報告(Access on Aug. 2011))。したがって、一般毒性が発現する用量で性機能および生殖能に対する悪影響は見出されなかったが、催奇形性を含む仔の発生に対する影響についてはデータ不十分であり「分類できない」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(血液)


危険
H370 P307+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
本物質は血液に影響を与え、メトヘモグロビンを生成することがあり、吸入すると唇や爪、皮膚のチアノーゼ、錯乱、痙攣、眩暈、頭痛、吐き気、意識喪失を生じ、経口摂取ではさらに腹痛も生じる。皮膚に付くと灼熱感を生じるほか、皮膚からも吸収されてこれらの影響を引き起こす可能性がある(環境省リスク評価 第7巻(2009))と記述されている。さらに、イヌの反復経口投与試験で試験開始1日目に10 mg/kg/day 以上の群で血中のメトヘモグロビン濃度が上昇し、40および80 mg/kg/day の群で虚弱、嘔吐、蒼白、チアノーゼが現れ、少量を連日投与によりメトヘモグロビン血症と大球性貧血を起こしたとの記述(ACGIH(2001))もあり、ガイダンス値区分1の用量範囲で血液系に対する影響が示唆される。以上の知見に基づき、基づき、区分1(血液)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液、肝臓)


警告
H373 P260
P314
P501
ラットを用いた反復経口投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG 422, GLP)の結果、50 mg/kg(90日換算値:23.3 mg/kg/day)群において、血液学検査ではメトヘモグロビン濃度の増加、赤血球数、血色素濃度およびへマトクリット値の減少並びに網状赤血球数および血小板数の増加、さらに血液生化学検査では総コレステロール、トリグリセライドの増加、LDHおよびγ-GTPの増加並びにA/G比の減少などが認められた。病理組織学的検査では、肝細胞の腫大および脂肪変性、単細胞壊死、脾臓でのへモジデリン沈着および髄外造血の増加傾向を示した。10mg/kg群においては、雄に牌臓のへモジデリン沈着の増加傾向が認められた(厚労省報告(Access on Aug. 2011))。以上の結果から、ガイダンス値区分2に相当する用量で血液および肝臓に対する明らかな毒性影響が認められたことから、区分2(血液、肝臓)とした。なお、腎臓の所見は影響が軽度であることに加え、雄ラット特有の腎症の可能性もあり、分類根拠として採用しなかった。なお、イヌに67日間の経口投与した試験(用量不特定)でも軽度のメトヘモグロビン血症と大球性貧血が報告されている(ACGIH(2001))。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 0.250 mg/L(NITE初期リスク評価書, 2005)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(4週間でのBODによる分解度:0%(既存点検, 1978))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.0095 mg/L(環境省生態影響試験, 2001他))であることから、区分1となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(4週間でのBODによる分解度:0%(既存点検, 1978))、魚類(メダカ)の96時間LC50 = 0.606 mg/L(環境省リスク評価第7巻, 2009)であることから、区分1となる。
以上の結果から、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

To GHS Information