項目 | 情報 |
---|---|
CAS登録番号 | 95-53-4 |
名称 | o-トルイジン |
物質ID | 23B5507 |
分類実施年度 | 平成23年度 |
分類実施者 | 厚生労働省、環境省 |
新規/再分類 | 再分類・見直し |
他年度における分類結果 | 平成18年度 |
Excelファイルのダウンロード | Excel file |
項目 | 情報 |
---|---|
分類に使用したガイダンス(外部リンク) | GHS分類ガイダンス |
国連GHS文書(外部リンク) | 国連GHS文書 |
解説・用語集(Excelファイル) | 解説・用語集 |
厚生労働省モデルラベル(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS(外部リンク) | 職場のあんぜんサイトへ |
OECD/eChemPortal(外部リンク) | eChemPortal |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 |
- |
- | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分4 |
警告 |
H227 |
P370+P378
P403+P235 P210 P280 P501 |
引火点85℃ [密閉式](Merck(14th, 2006))は > 60℃ かつ ≦93℃ であることから、区分4に該当する。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 |
- |
- | - | 発火点は482℃(900°F)であり(HSDB(2011))、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない |
- |
- | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 |
- |
- | - | 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 |
- |
- | - | 酸素、フッ素および塩素を含まない有機化合物である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 |
- |
- | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 |
警告 |
H302 |
P301+P312
P264 P270 P330 P501 |
ラットのLD50値として7件のデータ[900 mg/kg、670 mg/kg、940 mg/kg、750 mg/kg、635 mg/kg、2951 mg/kg(以上SIDS(2005)), 2217 mg/kg(NITE初期リスク評価書 202(2008))]のうち、5件が区分4に該当し、2件が区分外に該当することから、該当数の多い区分4とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 |
- |
- | - |
ウサギのLD50値は3250 mg/kg(SIDS(2005))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 |
- |
- | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 |
警告 |
H332 |
P304+P340
P261 P271 P312 |
ラットLC50値は3.827 mg/L/4h(SIDS(2005))に基づき、区分4とした。なお、LC50値(3.827 mg/L)が飽和蒸気圧濃度(1.50 mg/L)より高いのでミストの基準値を適用した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 |
- |
- | - |
ウサギ6匹を用い、原液を皮膚に24時間閉塞適用した試験で、紅斑の平均スコアは2.3(24時間)、2.0(48時間)、1.7(72時間)であり、浮腫の平均スコアは2.0(24時間)、0.3(48時間)、0.3(72時間)であった(SIDS(2005))。以上から3日間連続の平均スコアは浮腫は<1.5となるが、紅斑で≧1.5、<2.3、となることからJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。なお、ウサギ2匹の皮膚に試験物質原液 0.5 mlを24時間の半閉塞適用した試験で刺激性なし(not irritating)との報告(SIDS(2005))もある。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A |
警告 |
H319 |
P305+P351+P338
P337+P313 P264 P280 |
ウサギの結膜嚢に本物質原液0.1 mLを適用した試験で、軽度の角膜混濁、軽度~中等度の結膜浮腫と発赤を認め、8日間の観察期間中に回復せず、一次刺激性スコア(AOIに相当)は31.3/110で強い刺激性(highly irritating)との評価結果(SIDS(2005))に基づき区分2Aとした。なお、ウサギの結膜嚢に本物質原液0.1 mLを適用した別の試験では軽度の刺激性(slightly irritating)と報告されている(SIDS(2005))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない |
- |
- | - |
データ不足。なお、p-フェニレンジアミンに対し過敏症の40人の患者に対するパッチテストで、25%の患者に陽性反応が見られた(SIDS(2005))との報告がある。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 |
- |
- | - |
マウスに腹腔内または経口投与後の骨髄を用いた複数の小核試験、およびマウスに腹腔内投与による染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)において、全て陰性結果が報告されている(SIDS(2005)、NTP DB(Access on Aug. 2011)、NITE初期リスク評価書 202(2008))ことに基づき区分外とした。なお、マウスに腹腔内または経口投与後の骨髄を用いた姉妹染色分体交換試験、マウスに経口投与後の肝臓や腎臓細胞などを用いたDNA損傷試験および不定期DNA合成試験(体細胞in vivo遺伝毒性試験)では陽性(SIDS(2005))、NITE初期リスク評価書 202(2008))が報告されている。また、in vitro試験として、多数のエームス試験の結果はほとんど陰性(SIDS(2005)、NITE初期リスク評価書 202(2008))であったが、哺乳類の培養細胞を用いた染色体異常試験やマウスリンフォーマ試験では陽性結果(SIDS(2005))も報告されている。 |
6 | 発がん性 | 区分1A |
危険 |
H350 |
P308+P313
P201 P202 P281 P405 P501 |
IARCの発がん性評価においてGroup 1に分類されている(IARC 99(2010))ことから、区分1Aとした。また、ACGIHではA3(ACGIH(2001))、日本産業衛生学会では2A(産衛学会勧告(2010))、EUではCat.2;R45(EC-JRC(ESIS)(Access on Aug. 2011))に分類されている。なお、ヒトでは、イタリア、ドイツ、米国における疫学調査により、職業ばく露による膀胱がん発症との関連が示唆される結果が報告されている(NITE初期リスク評価書 202(2008))。実験動物では長期混餌投与試験により、マウスで血管腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、肝細胞がんの発生率の有意な増加、ラットでは皮膚線維腫、脾臓線維腫、肝細胞がん、膀胱乳頭腫、膀胱移行上皮がんの発生率の増加が報告されている(NITE初期リスク評価書 202(2008))。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない |
- |
- | - |
データなし。なお、生殖発生毒性に関して利用可能で信頼性の確かな試験はなく、また、現行の基準に従って実施された試験はない(SIDS(2005))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(膀胱、腎臓、血液) |
危険 |
H370 |
P307+P311
P260 P264 P270 P321 P405 P501 |
ヒトへの影響として、メトヘモグロビンの形成、頭痛、疲労感、呼吸困難、神経障害、腎臓や膀胱への刺激を起こして血尿をもたらす(NITE初期リスク評価書 202(2008))と記載され、その他、急性ばく露した労働者で、排尿困難、乏尿、血尿、膀胱炎、膀胱上皮の変性などが認められた(DFGMAK-Doc.3(1992))との記載がある。また事故によるばく露でメトヘモグロビン血症を発症し、呼吸困難、チアノーゼ、血尿を示した症例報告(NITE初期リスク評価書 202(2008))もある。実験動物では、ラットに200 mg/kgを経口投与後8時間でのメトヘモグロビン濃度は11.6%(SIDS(2005))であり、ネコに50 mg/kgを経口投与後、嘔吐、チアノーゼ、散瞳、鈍麻の症状に加え、4時間後にメトヘモグロビン濃度が約60~70%を示した(SIDS(2005))との報告がある。以上のヒトの情報、および動物の所見(ガイダンス値区分1相当)に基づき、区分1(腎臓、膀胱、血液)とした。なお、標的臓器について、頭痛、疲労、めまい、悪心などの神経症状は血中メトヘモグロビン濃度の上昇に伴い認められる症状であることから分類の根拠としなかった。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(血液) |
危険 |
H372 |
P260
P264 P270 P314 P501 |
本物質および/またはp-トルイジンに、数ヶ月~10年以上職業ばく露を受けた81人を調査した結果、20人にメトヘモグロビン血症が見られた(DFGMAK-Doc.3(1992))との報告があり、動物試験では、ラットに35 mg/kg/day を2.5 ヶ月間経口投与(90日換算値;42 mg/kg/day)した試験で、メトヘモグロビン血症、赤血球減少症、網状赤血球増加症(NITE初期リスク評価書 202(2008))、ラットに225 mg/kg/dayを5、10 または20 日間強制経口投与(90日換算値;50 mg/kg/day)した試験で、病理組織学的所見として脾臓のうっ血、髄外造血亢進及びヘモジデリン沈着と骨髄の細胞増多(NITE初期リスク評価書 202(2008))がそれぞれ報告されている。以上から動物試験では区分2のガイダンス値範囲内であるが、ヒトの情報により区分1(血液)とした。なお、ラットの14日間混餌投与試験(37.5, 225, 450 mg/kg bw/day)では、毒性症状及び組織学的変化についての記載はないが、統計学的に有意、かつ用量依存的なメトヘモグロビン産生が報告されている(SIDS(2005))。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない |
- |
- | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 |
絵表示 注意喚起語 |
危険有害性情報 (Hコード) |
注意書き (Pコード) |
分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 |
警告 |
H400 |
P273
P391 P501 |
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 0.52mg/L(SIDS, 2006)から、区分1とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 |
警告 |
H410 |
P273
P391 P501 |
急速分解性がなく(4週間でのBODによる分解度:5%(既存点検, 2000)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.0126 mg/L(SIDS, 2006他))であることから、区分1とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない |
- |
- | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
|