GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 62-73-7
名称 ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト(別名DDVP)
物質ID 23B5502
分類実施年度 平成23年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 再分類・見直し
他年度における分類結果 平成18年度  
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関連情報
項目 情報
分類に使用したガイダンス(外部リンク) GHS分類ガイダンス
国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
解説・用語集(Excelファイル) 解説・用語集
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外
-
-
- - 引火点が177℃(開放式)(NFPA(14th, 2006))であり、所定の密閉式試験法によっても93℃を超えると判断できるので、区分外とした。
7 可燃性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない
-
-
- - 爆発性に関わる原子団は含まず、自己反応性に関わる原子団(不飽和結合)を含むがデータがない。
9 自然発火性液体 区分外
-
-
- - Practically non-flammable(Merck(14th, 2006))の記載により区分外とした。
10 自然発火性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外
-
-
- - Practically non-flammable(Merck(14th, 2006))の記載により区分外とした。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-
-
- - 燐(P)を含む化合物であるが、水への溶解性データ(約1g/100ml(Merck(14th, 2006))があり、水に対して安定と考える。
13 酸化性液体 分類できない
-
-
- - 炭素、水素以外の元素と化学結合している酸素を含む有機化合物であるが、データがなく分類できない。
14 酸化性固体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - データなし。なお、CORROSIVE TO IRON & MILD STEEL(HSDB(2010))の記載がある。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3


危険
H301 P301+P310
P264
P270
P321
P330
P405
P501
ラットのLD50値として5件のデータ[17 mg/kg(環境省リスク評価書第4巻(2005))、30および65 mg/kg(EHC 79(1989))、58.8および97.5 mg/kg(ATSDR(1997))]のうち、2件が区分2、3件が区分3に該当することから、該当数の多い区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分2


危険
H310 P302+P350
P262
P264
P270
P280
P310
P322
P361
P363
P405
P501
ウサギのLD50値[205 mg/kg(EHC 79(1989)]は区分3に該当し、ラットのLD50値113 mg/kg(EHC 79(1989))]は区分2に該当するため、危険性の高いラットの区分を採用し区分2とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
ラットの4時間ばく露による2件のLC50値[1.66 ppm(EHC 79(1989))および12.2 ppm(PATTY(5th, 2001))]はいずれも区分1に該当する。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(15.8 ppm)の90%より低いので、ミストがほとんど混在しない蒸気として気体の基準値を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2


危険
H330 P304+P340
P403+P233
P260
P271
P284
P310
P320
P405
P501
ラットの4時間ばく露によるLC50値として、4件のデータ[0.65 mg/L、0.523 mg/Lおよび0.447 mg/L(以上PATTY(5th, 2001))、0.34 mg/L(EHC 79(1989))]のうち、2件が区分2、2件が区分3に該当することから、危険性の高い方の区分を採り区分2とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(0.143 mg/L)より高いので、ミストの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2


警告
H315 P302+P352
P332+P313
P264
P280
P321
P362
ウサギの皮膚に5~20%の本物質の水溶液を適用した試験で、強度の刺激性が見られた(NITE初期リスク評価書 86(2008))との報告に基づき、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B
-
警告
H320 P305+P351+P338
P337+P313
P264
ウサギを用いた眼一次刺激性試験で、軽度の刺激性(mild irritant)との結果(EPA RED(2006))により区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
4 皮膚感作性 区分1


警告
H317 P302+P352
P333+P313
P261
P272
P280
P321
P363
P501
モルモットに0.5%の本物質を適用したマキシマイゼーション試験において、動物の35%に紅斑がみられ、中等度の感作性との判定結果(NITE初期リスク評価書 86(2008))に基づき、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外
-
-
- - マウスに経口、吸入または腹腔内投与による優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)でいずれも陰性(IARC 53(1991))、マウスに経口または吸入投与による精原細胞または精母細胞を用いた染色体異常試験(生殖細胞in vivo変異原性試験)でいずれも陰性(NITE初期リスク評価書 86(2008))、さらにマウスに腹腔内投与による骨髄または末梢血を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)でいずれも陰性(IARC 53(1991)、NTP DB(Access on Aug., 2011))が報告されていることに基づき区分外とした。なお、in vivo遺伝毒性試験であるマウスを用いた姉妹染色分体交換試験、マウスまたはラットを用いたDNA損傷試験やDNA結合試験で陰性(IARC 53(1991)、NTP DB(Access on Aug., 2011))、in vitro試験としてエームス試験で陽性(IARC 53(1991)、NTP DB(Access on Aug., 2011))が報告されている。
6 発がん性 区分2


警告
H351 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
IARCの発がん性評価でグループ2B(IARC 53(1991))、日本産衛学会では2B(産衛学会勧告(2010))にそれぞれ分類されていることより区分2とした。なお、103週間経口投与試験において、マウスで前胃の乳頭腫、ラット雄で単核球性白血病、膵臓の腺房細胞腺腫、ラット雌で乳腺の線維腫及び線維腺腫の有意な増加が報告されている(NITE初期リスク評価書 86(2008))。
7 生殖毒性 区分外
-
-
- - ラットを用いた二世代または三世代生殖毒性試験において、0.488~0.577 mg/kg/day以上で赤血球と血漿のコリンエステラーゼ阻害が認められ、生殖毒性については統計学的に有意な唯一の影響として、高用量(7.592 mg/kg/day)群で性周期の異常が示された(EPA RED(2006))ことを除き、交配、妊娠、受胎、分娩に関連する生殖の各指標および産仔数など仔の発生に対し悪影響はなかった(ACGIH(2002)、IARC 53(1991))と報告されている。また、ラット、マウスおよびウサギの妊娠期間または器官形成期に経口投与した発生毒性試験、さらにウサギに対しては吸入ばく露した発生毒性試験において、いずれも催奇形性を含む仔の発生に対する悪影響は認められなかった(IARC 53(1991)、ATSDR(1997)、EPA RED(2006))。以上より、多世代生殖毒性試験で性機能・生殖能に対する悪影響は見られず、発生毒性試験で子の発生に対する悪影響も認められなかったことから区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系)


危険
H370 P307+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
ラットに経口投与により35mg/kgで活動低下、不規則呼吸、間代性痙攣、攣縮、虚脱、正向反射の低下、流涎が認められ、5 mg/kg以上で脳及び赤血球のコリンエステラーゼ活性の有意な阻害が認められた(EPA RED(2006))。さらに、イヌに経口により11mg/kg以上で不穏状態、流涎、痙攣、不随意排尿などコリン作動性症状が発現しており(ACGIH(2002))、区分1(神経系)とした。なお、ヒトではジクロルボスを男性ボランティアにばく露した試験で、喉の刺激、鼻漏、胸骨下の不快感がみられたが、瞳孔径及び視力に影響はみられず、血漿中のコリンエステラーゼ活性の低下とジクロルボスのばく露量との間には相関関係がみられた(NITE初期リスク評価書 86(2008))と報告されている。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系、肝臓)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
ラットの90日間経口投与試験において、1.5 mg/kg/day以上で血漿および赤血球のコリンエステラーゼ活性の有意な低下、7.5 mg/kg/day以上で振戦、流涎、眼球突出のコリン作動性症状が観察され(ACGIH(2002))、イヌの90日間経口投与試験においても1mg/kg/day以上で血漿および赤血球コリンエステラーゼ゛活性の低下が報告されている(NITE初期リスク評価書 86(2008))。以上、用量はいずれも区分1のガイダンス値内であることから区分1(神経系)とした。また、ラットに2年間の混餌投与により、500ppm(12.5 mg/kg/day)群の生存ラットで肝細胞にび慢性の空胞変性、脂肪変性、肝細胞腫脹、胆汁うっ帯、100ppm(2.5 mg/kg/day)群の雌雄でび慢性の空胞変性が認められ(NITE初期リスク評価書 86(2008))、イヌの2年間混餌投与試験では0.8 mg/kg/day以上で肝細胞の肥大と空胞化が見られており(JMPR 859(1993))、用量は区分1のガイダンス値内であることから区分1(肝臓)とした。なお、ヒトのばく露では、ボランティアに1.5 mg/人/日の用量で60日間反復経口投与した試験で血漿コリンエステラーゼ゛活性が40%低下した(NITE初期リスク評価書 86(2008))との報告がある。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(ミジンコ)の48時間EC50 = 0.00007 mg/L(U.S. EPA: RED, 2006他)等から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
急速分解性がなく(BIOWIN)、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC=0.0000058 mg/L(U.S. EPA: RED, 2006)であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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