GHS分類結果

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一般情報
項目 情報
CAS登録番号 7446-14-2
名称 硫酸鉛
物質ID 23A5134
分類実施年度 平成23年度
分類実施者 厚生労働省、環境省
新規/再分類 新規分類
他年度における分類結果  
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関連情報
項目 情報
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国連GHS文書(外部リンク) 国連GHS文書
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物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外
-
-
- - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外
-
-
- - 不燃性(ホンメル(1996))である。
8 自己反応性化学品 分類対象外
-
-
- - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外
-
-
- - 不燃性(ホンメル(1996))である。
11 自己発熱性化学品 区分外
-
-
- - 不燃性(ホンメル(1996))である。
12 水反応可燃性化学品 区分外
-
-
- - 金属(Pb)を含むが、水溶解度0.0044 g/100g water(CRC(91st, 2010))というデータがあり、水と急激な反応をしないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない
-
-
- - 酸素を含む無機化合物であり、この元素が炭素および水素以外の元素と化学結合しているが、データがなく分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外
-
-
- - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない
-
-
- - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。なお、この物質は大部分の金属に腐食作用を及ぼすので、それらの金属は容器として適さない(ホンメル(1996))。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない
-
-
- - データなし。
当該物質のデータはないが、他の無機鉛化合物の健康に対する有害性を参照のこと。
1 急性毒性(経皮) 分類できない
-
-
- - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
-
-
- - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
-
-
- - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない
-
-
- - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない
-
-
- - データなし。なお、ヒトへの影響として、鉛または無機鉛化合物の皮膚および粘膜に対する局所的影響について入手し得るデータはない(DFGMAK-Doc. 17(2002))が、皮膚に重度の刺激性および熱傷を生ずるおそれがある(HSDB(2010))との記述がある。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない
-
-
- - データなし。なお、ヒトへの影響として鉛および無機鉛化合物による粘膜への局所的影響を示すデータはない(DFGMAK-Doc.17(2002))、眼に重度の刺激性および熱傷を生ずるおそれがある(HSDB(2010))との記述がある。
4 呼吸器感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない
-
-
- - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない
-
-
- - in vivo 試験のデータがなく分類できない。なお、in vitro 試験では、エームス試験で陰性(安衛法 変異原データ集(1996))の報告がある。また、鉛の職業ばく露を受けた労働者の末梢血を用いた染色体分析で必ずしも一致した結果が得られているわけではないが、陽性結果の報告もある。しかし、ほとんどの試験において、用いられた方法が不十分であり、全体的にヒトでの遺伝毒性の結論的な評価はできないと述べられている(DFGMAK-Doc.17(2002))。MAK/BAT(2010)では無機鉛化合物は生殖細胞変異原性3Aに分類されている。
6 発がん性 区分1B


危険
H350 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
IARCの発がん性評価において、無機鉛化合物としてグループ2A(IARC 87(2006))に分類されていることから区分1Bとした。なお、産衛学会では鉛化合物として2B(産衛学会勧告(2011))、ACGIHでは無機鉛化合物としてA3(ACGIH(2001))に分類されている。
7 生殖毒性 区分1A


危険
H360 P308+P313
P201
P202
P281
P405
P501
当該物質のデータはないが無機鉛化合物のヒトへの影響として、症例や疫学的研究で母親の高濃度ばく露により妊娠20週以前の自然流産の増加が認められ、妊娠期間中のばく露は催奇性および低体重新生児の増加、出産後の体重増加抑制に関係するとの記述(IARC 87(2006))があることから、区分1Aとした。なお、職業的ばく露により、精子数と精液量の減少、精子の運動性の低下および精子の形態学的変化が観察されたが、ほとんどの研究でこれらの影響と鉛のばく露濃度との間に用量反応関係が見られず精子に対する毒性は不明確であった(DFGMAK-Doc. 17(2002))報告されている。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(腎臓、神経系、消化器系、血液系)


危険
H370 P307+P311
P260
P264
P270
P321
P405
P501
当該物質のデータはないが、鉛の神経毒性作用は知られており、末梢神経および中枢神経ともに鉛の影響を受け、鉛脳症は急性ばく露の初期症状の一つであり、また職業ばく露で下垂手や神経伝導速度の抑制の報告がある(IARC 87(2006))ことから区分1(神経系)とした。鉛および無機鉛化合物の高濃度の急性ばく露では、近位尿細管の機能障害を引き起こし、急性鉛中毒の腎性症状として、ファンコニー症候群(糖尿、アミノ酸尿症、リン酸塩尿症など)を起こすとの記載.(IARC 87(2006))から区分1(腎臓)とした。また、鉛は血液系に変化を与えることも知られており、δ-アミノレブリン酸およびヘム合成酵素が阻害され、ヘモグロビン合成阻害、赤血球寿命の短縮による小血球性貧血や低色素性貧血が引き起こされるとの記載(ATSDR(2007))により区分1(血液系)とした。その他に、疝痛は職業ばく露や高濃度の急性ばく露の初期症状であり、便秘、激しい腹痛、吐き気、嘔吐、食欲不振、体重減少などの症状を伴うとの記載(ATSDR(2007))により区分1(消化器系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(腎臓、血液系、心血管系、神経系)


危険
H372 P260
P264
P270
P314
P501
当該物質のデータはないが、鉛および無機鉛化合物による高濃度の反復ばく露では尿細管萎縮、間質性線維症、糸球体硬化症を含む腎臓に不可逆的な変化をもたらし、最終的には慢性的腎炎を引き起こすとの記載(IARC 87(2006))により区分1(腎臓)とした。また、鉛中毒患者の疫学調査でヘモグロビン濃度とヘマトクリット値が非ばく露の対照被験者と比べ有意に減少した(ATSDR(2007))との報告があり、鉛によりδ-アミノレブリン酸およびヘム合成酵素が阻害され、ヘモグロビン合成阻害、赤血球寿命の短縮による小血球性貧血や低色素性貧血が引き起こされるとの記載(ATSDR(2007))により区分1(血液系)とした。一方、慢性鉛中毒と心筋障害との関係を支持する調査研究があり、鉛中毒の労働者に心電図異常が認められた(ACGIH(2001))との報告、および疫学調査のデータから、鉛の体内吸収は心臓の拡張期および収縮期ともに有意な血圧上昇を引き起こすと結論付けられている(ACGIH(2001))ことから区分1(心血管系)とした。さらに、鉛の血中濃度が高い作業者に運動神経伝導速度の抑制が見られ(ACGIH(2001))、鉛電池に30年以上曝された9人中7人にパーキンソン症候群が観察された(NICNAS(2007))との報告もあることから区分1(神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない
-
-
- - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 絵表示
注意喚起語
危険有害性情報
(Hコード)
注意書き
(Pコード)
分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1


警告
H400 P273
P391
P501
甲殻類(オオミジンコ)の48時間IC50 = 0.5 mg/L(AQUIRE, 2012)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1


警告
H410 P273
P391
P501
信頼性のある慢性毒性データは得られていない。金属化合物につき水中での挙動が不明であり、急性毒性区分1であることから、区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない
-
-
- - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
  • 政府によるGHS分類結果は、事業者がラベルやSDSを作成する際の参考として公表しています。同じ内容を日本国内向けのラベルやSDSに記載しなければならないという義務はありません。
  • 本分類結果は、GHSに基づくラベルやSDSを作成する際に自由に引用又は複写していただけます。ただし、本分類結果の引用又は複写により作成されたラベルやSDSに対する責任は、ラベルやSDSの作成者にあることにご留意ください。
  • 本GHS分類は、分類ガイダンス等に記載された情報源と分類・判定の指針に基づき行っています。他の文献や試験結果等を根拠として使用すること、また、ラベルやSDSに本分類結果と異なる内容を記載することを妨げるものではありません。
  • 「危険有害性情報」欄及び「注意書き」欄のコードにマウスカーソルを重ねると、対応する文言が表示されます。Excel fileでは、コード及び文言が記載されています。
  • 「分類結果」欄の空欄又は「- 」(ハイフン)は、その年度に当該危険有害性項目の分類が実施されなかったことを意味します。
  • 「分類結果」欄の「※」はJISの改正に伴い、区分がつかなかったもの(「区分に該当しない(分類対象外を含む)」あるいは「分類できない」、もしくはそのいずれも該当する場合)に表示するものです。詳細については分類根拠を参照してください。

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