GHS分類結果 (過年度実施分類結果の再分類)

名称:テトラクロロナフタレン
CAS番号:1335-88-2

結果:
物質ID: 22B4515
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。なお、可燃性(ICSC(J)(2001))との情報がある。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 沸点(311.5-360℃)までに発火点がないとの報告がある(HSDB(2006))ことから、常温では発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素及びフッ素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - モルモットのLD50値が>3 mg/kgと報告されているが(CICAD 34(2001))、このデータのみでは区分を特定できないので、データ不足により分類できない。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - 当該物質そのものの皮膚刺激性に関するデータがないので分類できない。なお、当該物質を含む混合製剤を50%鉱油懸濁液としてボランティア3人の耳に30日間適用した試験において、座瘡やその他の皮膚への影響は何も認められなかったとの報告(オランダ評価文書(2000))がある。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo試験のデータがないため分類できない。なお、in vitro試験としてAmes試験で陰性(CICAD 34(2001))の報告がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、皮膚) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓、皮膚) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ポリ塩化ナフタレンあるいはそれらの混合物のばく露では肝臓と皮膚に対する影響が特徴的で報告例も多く(CICAD 34(2001)、ACGIH(2001)、DFGMAK-Doc.13(1999))、また、塩素化の高い化合物ほど毒性が強いことが記述されている(CICAD 34(2001)、ACGIH(2001))。皮膚については、トリクロロナフタレン以上の高塩素化ナフタレンのばく露後に認められた塩素挫創(CICAD 34(2001))、また、トリクロロナフタレンおよびテトラクロロナフタレンの職業ばく露による生じた膿疱、丘疹、面皰を伴う挫創様発疹(HSDB(2009))、さらに、テトラクロロナフタレンおよびペンタクロロナフタレンの混合ばく露を受けた労働者における塩素挫創(HSDB(2009))が報告されていることから、区分1(皮膚)とした。一方、肝臓については、トリクロロナフタレンの職業ばく露において黄疸、食欲不振、嘔気、嘔吐などの症状を伴う肝炎の報告に加え、気中にはテトラクロロナフタレンが存在していた可能性もあるとの記述(ACGIH(2001))、かつ、ポリクロロナフタレンのヒューム吸入の場合に、肝疾患につながる全身性の影響が報告されているとの記述(CICAD 34(2001))により、区分1(肝臓)とした。以上より、分類は区分1(肝臓、皮膚)となる。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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