名称:四エチル鉛
CAS番号:78-00-2
物質ID: | 22B4509 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない物質。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品ではない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分4 | - | 警告 | H227: 可燃性液体 |
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点93℃(C.C.)(ATSDR(2007)の報告より区分4とした。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点110℃以上(ICSC(J)(2003))のデータがあり、常温では発火しないと思われるので区分外とした。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 金属(鉛)を分子中に含むが、水溶解度0.29mg/L(HSDB(2005))というデータがあり、水と急激な反応をしないと考えられる。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に酸素、フッ素、塩素を含まない有機化合物である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義による液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分2 | 危険 | H300: 飲み込むと生命に危険 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLD50値が3件(35.0 mg/kg、14-17 mg/kg(ACGIH(2001))、1.2 mg/kg(PIMs(1994)))あり、1件が区分1、2件が区分2に該当し、より多くのデータが該当する区分2とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 | 危険 | H311: 皮膚に接触すると有毒 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギLD50値が2件(700 mg/kg(ACGIH(2001))、990 mg/kg(DFGMAK-Doc. 15(2001))あり、いずれも区分3に該当するので区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 区分1 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLC50値:0.85 mg/L/1h [= 64.26 ppmV/1h = 32.13 ppmV/4h](ACGIH(2001))に基づき区分1とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(513 ppmV)の90%より低いので「ミストがほとんど混在しない蒸気」とみなし、気体の基準値を適用した。 | |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、アルキル鉛化合物は皮膚に吸収され易く、接触するとかゆみ、熱傷および一過性の発赤を起こすとの記述がある(PIMs(1994))。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | マウスの経口および腹腔内投与による優性致死試験(生殖細胞in vivo 経世代変異原性試験)で陰性(DFGMAK-Doc. 15(2001))の結果により区分外とした。なお、in vitro試験としてエームズ試験での陰性結果(NTP DB(access on 6. 2009))が報告されている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | IARCの評価でグループ3(IARC suppl.7(1989))、ACGIHの評価でA4(ACGIH(2001))にそれぞれ分類されており、ガイダンスの変更に基づき「分類できない」とした。なお、マウスの出生後から授乳期間中に皮下投与後、36週間生存した雌のみに悪性リンパ腫の増加が見られた(IARC 23(1980))こと、また、ヒトでは当該物質の製造に携わった労働者を対象としたケース・コントロール研究において、職業ばく露と直腸がんとの間に強い関連が見られたとする報告(PATTY(5th, 2001))がされている。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットおよびマウスの器官形成期に胃内投与した試験において、両動物種とも母動物で体重増加抑制、振戦、痙攣などの一般毒性が発現している用量で吸収胚の増加や胎仔数の減少が認められ、また、ラットの妊娠9〜11日または12〜14日の3日間経口投与により吸収胚の増加が認められている(DFGMAK-Doc. 15(2001))ことから区分2とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(中枢神経系) | 危険 | H370: 臓器の障害(中枢神経系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
当初ガソリン添加剤として本物質導入時に生産に携わった労働者300人以上が急性の神経症状を発症し、5人が死亡したとの報告(PATTY(5th, 2001))がある。また、本物質の毒性については脳が重要な器官であり、ばく露後早期に現れる症状として嘔気、嘔吐、下痢などは、神経過敏、頭痛、不穏の神経系愁訴と関連しており、痙攣と昏睡を含む重度の中枢神経系症状へ急速に進行する可能性がある(PATTY(5th, 2001))と記述されている。以上の知見に基づき区分1(中枢神経系)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経系、肝臓) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系、肝臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
有鉛ガソリン吸入による死亡例の剖検で、脳の浮腫、海馬の神経細胞壊死、小脳のプルキンエ細胞喪失、ヴァローリウス橋の脱髄が明らかになったとの報告がある(DFGMAK-Doc. 15(2001))。さらに、慢性的、重度の加鉛ガソリンの吸入が脳症、小脳および皮質脊髄の症状、認知症徴候、精神状態の変化、持続性器質精神病を引き起こす可能性があると記述されている(PATTY(5th, 2001))。一方、ラットに90日間経口投与により、0.2 mg/kg以上でシュワン細胞(Schwann cell)や無髄軸索の超微細構造的変化(ACGIH(2001))、ラットに20週間経口投与により0.0017〜0.17 mg/kgで肝臓の腫大と細胞質変性、神経傷害(IRIS(2002))、また、マウスに14日間経口投与により2.0 mg/kgで振戦に代表される神経症状および軽度の慢性肝炎(NTP Report No.IMM20009(1986))がそれぞれ報告されている。以上より、中枢神経系および肝臓に対する影響が明らかであり、用量的にいずれもガイダンス値範囲区分1に相当していることから、区分1(中枢神経系、肝臓)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=0.02mg/L(EHC85、1989)から、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性が区分1、金属化合物であり水中での挙動および生物蓄積性が不明であるため、区分1とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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