名称:2-クロロ-4-エチルアミノ-6-イソプロピルアミノ-1,3,5-トリアジン(別名:アトラジン)
CAS番号:1912-24-9
物質ID: | 22B4507 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(non flammable)[IUCLID(2000)試験法:Directive 84/449/EEC A10]であるという情報により区分外とした。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足。自然発火性ではない(No self ignition)[IUCLID(2000)]という情報があるが、この試験法(Directive 84/449/EEC A16)ではGHSの自然発火性の根拠になる情報が得らないため「分類できない」とした。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足。不燃性(non flammable)[IUCLID(2000)という情報があるが、この試験法(Directive 84/449/EEC A10)ではGHSの自己発熱性の根拠になる情報が得らないため「分類できない」とした。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 塩素を含んでいるが、炭素以外の元素と化学結合していない有機化合物である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。なお、金属腐食性なし(noncorrosive to equipment and metal surfaces.(HSDB(2004))という情報がある。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値として8件のデータ[3250, 3000 mg/kg(以上 農薬登録申請資料(2002))、2000, 670, 740, 2300 mg/kg(以上 IARC 73(1999))、1471, 1212 mg/kg(以上 ATSDR(2003))]があり、うち5件が区分4、3件がJIS分類基準の区分外に該当することから、最も多くのデータが該当する区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値が3件[>5000, >2000 mg/kg(以上 農薬登録申請資料(2002)), >3100 mg/kg(PATTY(5th, 2001))]あり、ウサギのLD50値が1件[9300 mg/kg(PATTY(5th, 2001)]あり、全てJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5または区分外)に該当する。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLC50値として > 5.148mg/L/4hおよび> 5.82mg/L/4h(農薬登録申請資料(2002))、>2.84 mg/L/4hおよび8 mg/L/4h(以上 PATTY(5th, 2001))のデータに基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5または区分外)とした。なお、試験濃度は飽和蒸気圧濃度(3..35x10^(-6)mg/L)より高いので、粉塵/ミストの基準値を適用した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギに農薬原体として0.5 gを24時間適用した試験で軽度の刺激性(農薬登録申請資料(198))、また、ウサギに0.5 gを24時間適用した試験で刺激性なし(not irritating:)と報告されている(IUCLID(2000))が、さらに、本物質はウサギにおいて軽微な刺激性(minimally irritating)との記載(PATTY(5th, 2001))もあり、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3または区分外)とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ウサギの眼に0.1gを適用した試験において、農薬原体では刺激性なし、50%水和剤では軽度の刺激性を有するとされた(農薬登録申請資料(1989))が、さらに、本物質はウサギの眼に対し軽度の刺激性(mildly irritating)を有するとの記載(PATTY(5th, 2001))もあり、区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
農薬原体によるモルモットのマキシマイゼーション試験(OECD TG 406)で17/20例に皮膚反応がみられ、陽性率85%との結果(農薬登録申請資料(1997))、さらに、モルモットを用いた別のマキシマイゼーション試験(OECD TG 406, GLP)において動物の65〜70%が皮膚反応(陽性率)を示し、本物質は皮膚感作物質として分類される(IUCLID(2000))と記述されていることから、区分1とした。なお、50%水和剤によるモルモットのビューラー試験で陰性(農薬登録申請資料, 1997)、また、ヒトでは50人の被験者に対する反復パッチテストで皮膚反応はみられず、感作性なし(not sensitizing)との報告(IUCLID(2000))もある。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | マウスに経口投与による優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)における弱陽性(ATSDR(2003))の結果は、1用量のみの試験のため評価できず、また、体細胞in vivo変異原性試験としては、マウスに経口投与による骨髄細胞を用いた小核試験は雌で陽性、雄で陰性と相反する結果(ATSDR(2003)であったが、性差についての言及はなく、陰性対照動物は1匹のみであり評価できなかった。さらに、マウスに90日間飲水投与(20 ppm)による骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性(ATSDR(2003))が報告されているが、試験用量20 ppmの妥当性や短期間高用量ばく露での影響の評価は困難であった。in vivo試験としてその他にもマウスに腹腔内投与による骨髄を用いた小核試験で陰性(ATSDR(2003))、ラットに経口投与によるDNA損傷試験(体細胞in vivo遺伝毒性試験)で胃、肝臓、腎臓で陰性、肺で陽性を示した(ATSDR(2003))との報告もあり、複数のin vivo試験の結果が報告されているが、分類の根拠として、いずれも評価困難であったため「分類できない」とした。なお、in vitro試験としては、エームス試験で陰性(NTP DB(Access on June2009))、ヒトリンパ球およびCHO細胞を用いた染色体異常試験でいずれも陰性(IARC 73(1999))が報告されている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | IARCによる発がん性評価でグループ3(IARC 73(1999))、かつ、ACGIHによりA4(ACGIH(2001))に分類されていることから、「分類できない」とした。なお、マウスの91週間混餌投与試験では投与に関連する腫瘍発生率の増加はなかった(IARC 73(1999))と報告されている。また、ラットにおいては、104週間混餌投与した試験で発がん性について各群とも有意な影響は認められず(IARC 73(1999))、SD系ラットに最大106週間混餌投与した別の試験では、雌の乳腺において線維腺腫および腺癌の発生率が有意に増加した(IARC 73(1999))と報告されている。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットに交配前10週から2世代にわたり継続的に混餌投与した試験において、最大耐量(500 ppm)の投与により、生殖能または出生前後の指標には影響を及ぼさず、投与に関連する奇形、胚毒性、特異的な胎児毒性の発生も見られなかった(IUCLID(2000))が、ウサギの器官形成期に経口投与した試験で、母動物が体重減少と摂餌量低下を示した用量(75 mg/kg)で、2/19例で流産の発生、胎児吸収および着床後胚損失の発生率増加が報告されている(IARC 73(1999))ことから、区分2とした。なお、ウサギの器官形成期投与試験で奇形発生率の用量依存的な増加は認められていない。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(神経系) | 警告 | H371: 臓器の障害のおそれ(神経系) |
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
複数の急性経口毒性試験において、ラットに対し、600〜6000 mg/kgの用量で鎮静、呼吸困難、眼球突出、別に2000〜5500 mg/kgで活動低下、運動失調、流涎など、また、マウスに対し、444〜1332 mg/kgで活動低下、眼瞼下垂、運動失調、振戦など、別に1670〜6000 mg/kgで鎮静、呼吸困難がそれぞれ報告されている(IUCLID(2000))。一方、神経系に対する影響が検討され、ラットに100 mg/kgを単回経口投与後、小脳活動の低下、橈骨神経刺激後に誘発されるプルキンエ細胞のスパイク活動の停止などの小脳に対する影響が報告されている(ATSDR(2000))。以上より、急性経口毒性試験で観察された症状から、ガイダンス値区分2に相当する用量以上で神経系への影響が示唆され、さらに、小脳に対する影響を示す研究報告も考慮し、区分2(神経系)とした。なお、吸入投与では5.1 mg/L(粉塵)の濃度で、経皮投与では2000 mg/kgの用量でいずれも重大な毒性の発現は見られていない(IUCLID(2000))。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(心臓、肝臓、腎臓) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(心臓、肝臓、腎臓) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットに100〜600 mg/kg/dayを7または14日間経口投与(90日換算用量:15.6-93.3 mg/kg/day)により、最低用量を除く全用量で、血清GPTおよびアルカリフォスファターゼ活性の上昇、電顕所見として滑面小胞体の変性、脂肪滴の蓄積、ミトコンドリアの腫大に見られる肝毒性、および全用量で蛋白尿、クレアチニンクリアランスの低下、尿中電解質の排出増加を含む腎毒性を引き起こした(IARC 73(1999))と報告されている。試験用量はガイダンス値区分2の範囲にあり、区分2(肝臓、腎臓)とした。一方、イヌの1年間混餌投与試験における最も重大な影響は、1000 ppm(34 mg/kg/day)群で顕著に認められた散在性の心筋変性を特徴とする心臓障害であり、腹水、悪液質、努力性/浅呼吸、心電図異常に見られる心毒性の症状、剖検では右心房拡張、組織学的には萎縮と骨髄症が認められたとの報告(IRIS(2004))に基づき、区分2(心臓)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
藻類(スケレトネマ)の96時間EbC50=0.147mg/L(ECETOC TR91, 2003)から、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(BODによる分解度:1%(既存点検, 2002))ことから、区分1とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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