GHS分類結果

名称:ジ-オルト-トリルグアニジン
CAS番号:97-39-2

結果:
物質ID: 22A4224
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素および塩素を含んでいない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値は雄が85.3mg/kg、雌が56.0mg/kg(OECD TG401、GLP準拠)(厚労省報告(2003))であるとの報告に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いたドレイズテスト(12匹、24時間)において刺激性なしとの報告がある(SIDS(2007))ことに基づき、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いたドレイズテスト(6匹、24時間)において、24時間の塗布後に角膜への軽度傷害(3/6匹)、軽度の虹彩炎(4/6匹)、軽度から中等度の結膜炎(6/6匹)が発生し、7日経過後も軽度の結膜炎が残っていた(3/6匹)との報告がある(SIDS(2007))ことに基づき、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足。なお、3件のヒトのパッチテストで、すべて感作性なし(not sensitizing)との報告されているが、いずれの報告も、ばく露の過程などが不明瞭で、SIDSでは評価するには不十分な情報であるとしている(SIDS(2007))。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスの経口による小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)(OECD TG474、GLP準拠)における陰性結果(SIDS(2007))に基づき区分外とした。なお、in vitroの試験については、染色体異常試験において陽性(厚労省報告(Access on Dec. 2010);ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験)、エームス試験において陰性の結果(厚労省報告(Access on Dec. 2010)、SIDS(2007))が報告されている。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
雌雄ラットの交配前14日より、雄では交配期間を含む35日間、雌では交配期間、妊娠期間を経て哺育3日まで経口投与による簡易生殖毒性試験において、死亡および流涎、散瞳、自発運動の低下などの中毒症状が認められた用量で、出産児数、新生児数および出生率の低値ならびに外表異常出現率の高値、新生児の生後4日の生存率に低値が認められた(厚労省報告(2003))。また、雌ラットの妊娠6〜19日まで経口投与した発生毒性試験では、母動物の体重および摂餌量が有意な低値を示した用量で、胚・胎児の死亡数および胚・胎児の死亡率の有意な増加、外表異常の用量依存的な増加、および尾椎の欠損、癒合または位置異常などの骨格異常の用量依存的な増加が認められた(厚労省報告(2004))。以上の結果は、親動物での一般毒性が発現する用量における仔の発生に対する悪影響を示しており、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系) 危険 H370: 臓器の障害(中枢神経系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの急性経口毒性試験(OECD TG401、GLP準拠)において、60 mg/kg群以上で投与後30〜45分に死亡例が発生し、死亡例および30 mg/kg以上の生存例では、散瞳、自発運動の低下、緩徐呼吸または振戦などの症状がみられたが、生存例では投与翌日には症状はすべて消失した(厚労省報告(2003))。また、ラットに103 - 216 mg/kg bwを経口投与した別の急性毒性試験では死亡は21時間以内に発生し、活動抑制、振戦、痙攣が観察され、生存例では観察期間内に症状が消失した(SIDS(2007))。以上の毒性症状の経過から標的臓器は中枢神経系とみられ、ガイダンス値範囲区分1の用量で影響が認められていることから、区分1(中枢神経系)とした。なお、上記の各試験において生存例では病理学的変化は認められていない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(中枢神経系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(中枢神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの経口による簡易生殖毒性試験(8、20、50mg/kg/day、90日換算:約 4、10、25mg/kg/day)において、50 mg/kg(90日換算:約 25mg/kg)群の雌雄では、投与初期の投与後に散瞳、間代性痙攣および振戦など被験物質の中枢神経系への影響を示唆する変化が高頻度にみられ、雌雄各2例が投与7日までに死亡したとの報告(厚労省報告(2003))があること、およびラットの28日間反復経口投与毒性試験(0、7.5、15、30、60 mg/kg、90日換算:2.5、5、10、20 mg/kg)において60 mg/kg(90日換算:20 mg/kg)群の雌雄に振戦、自発運動の低下、緩徐呼吸、瞳孔反射の低下、覚醒状態の低下および視覚反応の低下が認められたとの報告(厚労省報告(2003))に基づいて、区分2(中枢神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 7.2 mg/L(環境省生態影響試験, 2002)から区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分2であり、急速分解性がない(難分解、BODによる分解度:0-1%(既存点検, 2002))が、長期データが> 1 mg/L(甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 2.8 mg/L(環境省生態影響試験, 2002))ことから区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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