GHS分類結果

名称:3-シアノピリジン
CAS番号:100-54-9

結果:
物質ID: 22A4189
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点は>600℃であり(IUCLID(2000)元文献:Degussa Antwerpen N.V. Antwerpen、NITE総合検索(Access on Sep. 2010)元文献:ACROS・MSDS)、常温では発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 融点が55℃以下の固体であるが、データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値は1475mg/kg(雄)および1455 mg/kg(雌)(厚労省報告(Access on Sep. 2010))に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットLDLoは2 g/kg(RTECS(2010):元文献 U.S. Environmental Protection Agency; High Production Volume(HPV)Challenge; Pyridine and Pyridine Derivatives Category, 2003)に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5または区分外)とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験(OECD TG 404)で刺激性なし(not irritating)との結果(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験(OECD TG 405)で強い刺激性(highly irritating)との結果(IUCLID(2000))に基づき区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - In vivo試験のデータが無いので分類できない。なお、in vitro試験として、エームステスト及びCHL細胞を用いた染色体異常試験はいずれも陰性(厚労省報告(Access on Sep. 2010))と報告されている。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(神経系、精巣) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(神経系、精巣) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた単回経口投与試験(OECD TG 401; GLP)において、1297mg/kg〜1388mg/kg以上で死亡が発生し、投与後の症状として雌雄とも1006mg/kg以上で活動性低下、緩徐呼吸、流涎、流涙、喘鳴、歩行失調に加え、振戦、斜頚及び眼球突出も散見され、死亡例では腹臥位、横臥位、体温低下、腹式呼吸、散瞳及び間代性痙攣が報告された(厚労省報告(Access on Sep. 2010))。また、リスト2のデータとして、ヒトで6〜12 ppmの吸入ばく露により中枢神経系症状が見られているとの情報(HSDB(2002))もある。ラットの単回投与試験の用量はガイダンス値区分2の範囲にあることから、区分2(神経系)とした。また、上述のラットの単回投与試験では、生存例の1485mg/kg以上で精巣の小型化、組織学的には巨細胞形成、精上皮細胞減少及びセルトリ細胞空胞化が見られ、被験物質は精巣毒性を有すると考えられるとの記述(厚労省報告(Access on Sep. 2010))もあり、区分2(精巣)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液系、精巣) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液系、精巣) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた28日間反復経口投与毒性試験(日本のテストガイドライン:GLP)において、血液学的検査でガイダンスの区分2の用量に該当する180mg/kg/day(90日換算:56 mg/kg/day)で白血球数増加、赤血球数減少、網状赤血球数増加、MCV、MCHの増加、組織学的には赤血球の破壊亢進による脾臓での髄外造血と赤脾髄のヘモジデリン沈着が180 mg/kg/dayの雌雄で見られた(厚労省報告(Access on Sep. 2010))との結果に基づき、区分2(血液系)とした。また、精巣の精母細胞/精子細胞壊死、精子細胞減少、セルトリ細胞空胞化が180 mg/kg群で観察されている(厚労省報告(Access on Sep. 2010))ことから区分2(精巣)とした。なお、病理組織学的所見として、30mg/kg以上で肝臓の小葉中心性肝細胞肥大、腎臓の近位尿細管上皮の硝子滴沈着が見られている(厚労省報告(Access on Sep. 2010))が、組織学的に肝臓の機能障害を示す変化がないこと、また、腎臓での変化はラットの雄のみに自然発生的変化であるとの記述(厚労省報告(Access on Sep. 2010))により、分類の根拠としなかった。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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