GHS分類結果

名称:塩化トリメチルベンジルアンモニウム
CAS番号:56-93-9

結果:
物質ID: 22A4180
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 区分外 - - - - 塩素を含んでいる有機化合物であり、この塩素は窒素とイオン結合しているため区分外とした。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値は250 mg/kg bw(NTP TOX 57(2000))に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - マウスに13週間経口投与後の末梢血を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陽性(NTP DB(1993))の結果が得られているが、反応は極めて軽微であり、試験法もガイドラインによるものではない。その他に区分を特定できる十分な情報もないため分類できない。なお in vitro試験では、エームス試験で陰性、(厚労省報告(Access on May. 2010)、NTP DB(1984))、CHL細胞を用いた染色体異常試験では擬陽性(厚労省報告(Access on May. 2010))が報告されている。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(神経系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(神経系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに単回経口投与により175 mg/kg以上で死亡発生に加え、流涎、色素涙に見られるムスカリン様コリン作動性症状が発現したが、アトロピン注射により症状は軽減した(NTP TOX 57(2000))。また、ラットの16日間経口投与試験(16〜250 mg/kg)の初回投与後に175 mg/kg以上で全例が死亡、臨床症状として呼吸異常、運動失調、鼻と眼の分泌物、振戦が見られた(NTP TOX 57(2000))。以上の経口投与後の所見はガイダンス値区分2の範囲で認められ、当該物質はニコチン性およびムスカリン性受容体を刺激し、アセチルコリンと同じ神経節部位に作用すると述べられている(NTP TOX 57(2000))ことから、区分2(神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(神経系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに28日間経口投与(30〜120 mg/kg/day)により、被験物質投与と関連づけられる変化として、120 mg/kg/day(90日換算:37 mg/kg/day)の用量で、体重増加抑制、ヘモグロビン量、MCV(平均赤血球容積)およびMCH(色素量)の高値、60 mg/kg/day以上で流涎および流涙などの症状が観察された(厚労省報告(Access on Sep. 2010)。また、ラットおよびマウスに13週間経口投与した試験(12.5〜100 mg/kg/day)では、最高用量の100 mg/kg/dayで死亡が発生し、死亡は心血管系への薬理学的影響の結果であり、非致死用量でも流涎、色素涙、流涎、瞳孔収縮、歩行異常、振戦などのコリン作動性の影響が観察された(NTP TOX 57(2000))と報告されている。当該物質はニコチン性およびムスカリン性受容体を刺激し、アセチルコリンと同じ神経節部位に作用すると述べられ(NTP TOX 57(2000))、試験用量はガイダンス値区分2に相当しているので、区分2(神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ミジンコ)での48時間 LC50 = 6.94 mg/L(AQUIRE, 2011)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分2であり、急速分解性がない(OECD TG301Cによる4週間でのBOD分解度 = 1%(既存点検, 1984))ことから、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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