名称:オルト-アミノフェノール
CAS番号:95-55-6
物質ID: | 22A4179 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、国連危険物輸送勧告がクラス6.1(国連番号2512)である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点は190℃であり(ICSC(2005))、常温で発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素または塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLD50値 1300 mg/kg(Journal of The American College of Toxicology. vol7, p 279-333(1988))に基づき、区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギに0.5 gを閉塞または半閉塞貼付した試験(フランスの化粧品およびAFNOR、OECDの3試験法に準拠)で、いずれの試験も皮膚一次刺激指数は0(最大値8)であり、刺激性なし(not irritating)の評価(Journal of The American College of Toxicology. vol7, p 279-333(1988))に基づき、区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギに100 mgを結膜嚢に適用した試験(フランス当局、およびAFNOR、OECDの3試験法の主な要求事項に準拠)で軽度の刺激性(slightly irritating)との評価(IUCLID(2000))で、刺激指数(AOI)が24時間後に9.83/110と15未満であったことから区分外とした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、本物質は稀に気管支喘息を起こす(HSDB(2003))との情報がある。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質は染毛剤に含まれ、理髪師や消費者に接触皮膚炎を起こし、感作誘発物質としてContact Dermatitis(Frosch)(4th, 2006)に掲載されていることから区分1とした。なお、モルモットのマキシマイゼーション試験において、p-フェニレンジアミンに感作された動物10匹中4匹に本物質に対する交差反応が観察されている(Journal of The American College of Toxicology. vol7, p 279-333(1988))。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
マウスに腹腔内投与による骨髄を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)の陽性結果(Journal of The American College of Toxicology. vol.7, p 279-333(1988))により区分2とした。なお、ハムスターの腹腔内投与による骨髄を用いた姉妹染色分体交換試験(体細胞in vivo遺伝毒性試験)で陰性(Journal of The American College of Toxicology. vol.7, p 279-333(1988))、また、in vitro試験として、エームス試験で陽性(NTP DB(Access on Sept. 2010))、ヒト線維芽細胞とリンパ球およびチャイニーズハムスター細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性(Journal of The American College of Toxicology. vol.7, p 279-333(1988))が報告されている。 | |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足。なお、ラットに本物質を0.3%含有する染毛剤を105週間経皮投与した試験で、発がん性は認められなかった(Journal of The American College of Toxicology. vol.7, p 279-333(1988))。また、マウスに本物質を0.3%含有する染毛剤を21-23週間経皮投与した試験でも、投与群と無処理群との間に腫瘍性及び非腫瘍性病変とも発生率に有意な差はなかった(Journal of The American College of Toxicology. vol.7, p 279-333(1988))と報告されている。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットに本物質0.3%を含む染毛剤0.5 mLの経皮投与による二世代試験では、各世代とも動物の一般状態に影響はなく、受胎、妊娠、仔の生存および出生、授乳に関する指標に投与群と対照群との間に差は認められなかった(Journal of The American College of Toxicology. vol7, p 279-333(1988))と報告されているが、経皮投与試験であること、仔における発生毒性のデータが充分でない事から分類できないとした。なお、ハムスターの妊娠8日目に100〜200 mg/kgを腹腔内投与により、神経管欠損(脳脱出、脳ヘルニア、二分脊椎)、眼や骨格の異常などの発生率が有意な増加を示したが、母動物の一般毒性は見られなかったとの報告(Journal of The American College of Toxicology. vol7, p 279-333(1988))がある。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(神経系) | 警告 | H371: 臓器の障害のおそれ(神経系) |
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの急性経口毒性試験(LD50 1300 mg/kg)では、20〜30分で興奮状態となり、脱力および外部刺激に対する反射の消失が見られたが、メトヘモグロビン濃度は10%未満であり、死亡は1〜48時間以内に発生したと報告されている(Journal of The American College of Toxicology. vol7, p 279-333(1988))。以上より用量1300 mg/kg(LD50値)は、ガイダンス値区分2に相当しており、投与後の症状に基づき区分2(神経系)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(血液) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
o-アミノフェノールの吸入による過剰ばく露はメトヘモグロビン血症を起こす可能性がある(PATTY (4th, 2001))。また、アミノフェノールは酸素運搬能を低下(メトヘモグロビン血症)を起こす(SITTIG(5th, 2008))との記載がある。以上の情報に加え、ラットに1ヵ月間にわたりガイダンス値区分2に相当する130 mg/kg/day(90日換算:43.3 mg/kg/day)を経口投与した試験で、末梢血の変化として赤血球数の減少とメトヘモグロビン濃度の増加が認められた(Journal of The American College of Toxicology. vol7, p 279-333(1988))ことに基づき区分2(血液)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |