GHS分類結果

名称:1,2-ビス(2-クロロエトキシ)エタン
CAS番号:112-26-5

結果:
物質ID: 22A4162
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - 引火点は121℃[開放式](HSDB(2003))で、密閉式でも93℃を超えると判断できることから区分外とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データなし。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素および塩素を含む有機化合物であるが、これらの元素が炭素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値は269 mg/kg(雄)および353 mg/kg(雌)(厚労省報告(Access on Aug. 2010))であり、それぞれ雄が区分3、雌が区分4に該当するので、危険性の高い雄のデータに基づき区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分4 警告 H312: 皮膚に接触すると有害 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギのLD50値:1410 mg/kg(HSDB(2003))に基づき区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足。なお、List 3の情報として、ウサギの皮膚に500 mgを開放適用により刺激性は軽度(mild)と報告されている(RTECS(2003))が、詳細は不明である。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データ不足。なお、List 3の情報として、ウサギの眼に100 mgを適用した標準ドレイズ試験で刺激性は重度(severe)との報告(RTECS(2003))があるが、詳細は不明である。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo試験のデータがないので分類できない。in vitro試験としては、細菌を用いた復帰突然変異試験およびチャイニーズハムスターの肺由来細胞を用いた染色体異常試験でいずれも陽性(厚労省報告(Access on Aug. 2010))が報告されている。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(肺) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(肺) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた急性経口毒性試験において、全ての投与群(180〜600 mg/kg)で自発運動低下および流涎が観察され、さらに死亡動物では、下痢、流涙、腹臥位、側臥位および体温低下が認められた。生存動物でも下痢、流涙および腹臥位が認められたが、投与2日後には消失した(厚労省報告(Access on Aug. 2010))。剖検所見では雌雄とも400 mg/kg以上の死亡動物で肺に赤色の区域/斑点が瀰漫性に認められ、標的器官として肺が示唆されたとの記述(厚労省報告(Access on Aug. 2010))に基づき、区分2(肺)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(心臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(心臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた28日間反復経口投与毒性試験において、各投与群で流涎が見られ、高用量群の200 mg/kg/dayで発生した死亡例で、自発運動の低下、削痩、立毛、被毛の汚れおよび異常呼吸音が観察された。血液生化学検査において200 mg/kg群の雄でALT活性およびカリウム濃度が高値、ナトリウム濃度が低値を示し、病理組織学的検査では、200 mg/kg群の雌雄の心臓に心筋細胞の変性・壊死ならびにこれに対する細胞反応が認められた(厚労省報告(Access on Aug. 2010))。以上の結果より、ガイダンス値範囲区分2に相当する200 mg/kg/day(90日換算量:62.2 mg/kg/day)での死亡の発生および心臓の病理組織学的変化に基づき、区分2(心臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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