GHS分類結果

名称:三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(別名:三フッ化ホウ素エーテルコンプレックス)
CAS番号:109-63-7

結果:
物質ID: 22A4135
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点59℃ [c.c.](GESTIS(Access on Nov. 2010))は、≧23℃及び≦ 60℃ であることから、区分3に該当する。なお、UNRTDG(UN2604)の副次危険3である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない、かつ自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点は185℃であり(BUA 261(2005))、常温で発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類できない - - - - 半金属(ホウ素)を含み、水と反応し、可燃性蒸気を発生する(Sax(11th, 2004))が、データがなく分類できない。
13 酸化性液体 区分外 - - - - 酸素を含む有機化合物であり、この元素が炭素または水素以外の元素と化学結合している。UNRTDG(UN2604)でクラス8(PkG I)、副次危険3「(可燃性液体)に分類されていることから酸化性液体には該当しない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データなし。 当該物質は、空気中の水分により直ちに加水分解を受け、エチルエーテル(蒸気)及び三フッ化ホウ素(ガス)になると考えられる(Merck(14th, 2006)、Sax(11th, 2004))。 エチルエーテル(液体)の既存分類(ID666)結果では、「ラットでの1215〜2450 mg/kg(DFGOT vol.13(1999))および1207〜1704mg/kg(PATTY(5th,2005))のうち低い方を採用して、LD50=1207mg/kgに基づき、区分4とした。」となっている。 ※エチルエーテル(ID 666)、三フッ化ホウ素(ID 581)の分類結果を参照のこと。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1B 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギを用いた皮膚刺激性試験(パッチテスト、ばく露時間:1分、5分、15分及び20時間、各群4匹)において、ばく露時間5分間の後24時間の観察において一部に壊死がみられ、ばく露時間15分間又は20時間の後24時間の観察では、壊死は筋肉にまで至った(BUA 261(2005))ことから、区分1Bに分類した。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
皮膚腐食性物質であることから区分1に分類した。なお、ウサギを用いた眼刺激性試験(50μL、4匹の片目の結膜嚢に滴下)の8日後の観察において、瞬膜と結膜は部分的に白化、発赤及び腫脹がみられ、角膜は不透明で虹彩に炎症がみられ、眼球は突起し、眼瞼縁に部分的な壊死がみられたとの報告がある(BUA 261(2005))。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo 試験のデータがなく分類できない。なお、in vitro 試験として、微生物を用いたエームス試験(OECD 471)で陰性(BUA 261(2005))の報告がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 当該物質固有の情報はない。 なお、エチルエーテル(液体)の既存分類では、「母親に対する毒性は記載されていないが、ラットで胎児吸収が見られ(IUCLID(2005))、胎児の口蓋裂が増加し(DFGOT vol.13(1999))、マウスで胎児の頭長が減少し(DFGOT vol.13(1999))、ラットとマウスで胎児の外形、内臓、および骨格の異常が見られる(DFGOT vol.13(1999))ことに基づき、区分2とした。」となっている。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - 当該物質固有の情報はない。 なお、エチルエーテル(液体)の既存分類では、「動物試験では毒性症状が記載されていない。ヒトに対して麻酔薬として用いた場合、気道刺激性がある(DFGOT vol.13(1999)、PATTY(5th, 2005)、IUCLID(2005))ので、区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。」となっている。 また、三フッ化ホウ素の既存分類では、「ヒトにおいて気道刺激性の他、気道の腐食、肺の障害(肺のうっ血、肺水腫、肺炎)が記載されている(ICSC(J)(1993)、HSDB(2005)、RTECS(2005))ことに基づき、区分2(呼吸器系)とした。ヒトで心血管系の障害(心筋障害、循環性ショック)が記載されている(HSDB(2005))ことに基づき、区分2(心血管系)とした。ヒトで神経系への影響(反射減弱、傾眠、失神、血圧低下、呼吸亢進および抑制)の記載がある(ICSC(J)(1993)、HSDB(2005))ことに基づき、区分3(麻酔作用)とした。」となっている。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - 当該物質固有の情報はない。 なお、エチルエーテル(液体)の既存分類では、「区分外」となっている。 また、三フッ化ホウ素の既存分類では、「ラットで区分1ガイダンス値範囲内の投与量(50ppm/6h/日)で、腎毒性、肺炎および呼吸器の刺激性(ACGIH(2001))が記載されている。ヒトでは腎毒性、鼻粘膜・歯肉の出血、肺機能低下、骨硬化症、骨の脆弱化、エナメル質の溶解およびふっ素沈着症(ICSC(J)(1993)、IUCLID(2000)、HSDB(2005))が記載されている。これらの記載に基づき、区分1(腎臓、呼吸器系)、区分2(骨、歯)とした。」となっている。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ゴールデンオルフェ)の96時間LC50 = 31.6 mg/L(BUA 261, 2007)から区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 本物質は環境水中でジエチルエーテルと複数種の酸の混合物に加水分解し、水溶液が酸性となることが毒性の要因と考えられるが、環境水中では緩衝作用により毒性影響が緩和されるため、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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