名称:トリエチルホスフェート
CAS番号:78-40-0
物質ID: | 22A4119 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 引火点115℃(240°F)[開放式](HSDB(2006))は所定の密閉式測定法で93℃超になると推定されることから、区分外とした。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内にP-Oを含むが、自己反応性に関わる原子団には該当しない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点は454℃であり(HSDB(2006))、常温で発火しないと考えられる。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 半金属(P)を含むが、室温で水に安定である(When mixed with water is quite stable at room temperature)との記述(HSDB(2006))により区分外とした。 |
13 | 酸化性液体 | 分類できない | - | - | - | - | 炭素、水素以外の元素と化学結合した酸素を含む有機化合物であるが、データがなく分類できない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLD50値 1131-1600 mg/kg(SIDS(Access on Nov. 2010))に基づき、区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値 >20 g/kg(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLC50値 >8.817 mg/L(SIDS(Access on Nov. 2010))に基づき、区分外とした。なお、試験濃度は飽和蒸気圧(3.85 mg/L)を超えているので、粉塵・ミストの基準値を適用した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | 実験動物による試験(OECD TG 404, GLP)では3匹中1匹に中等度の刺激性が見られたが、ガイドラインによりSIDSでは、本物質は皮膚に対し刺激性はないとしている(SIDS(Access on Nov. 2010))。また、本物質はモルモットで僅かな刺激をもたらしたが、ウサギでは刺激性を認めなかった(BUA 37(1989))との報告もある。以上の知見より区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ウサギを用いた試験で一過性の結膜炎を生じ、また、ウサギを用いた別の試験では角膜混濁、虹彩炎、角膜着色を起こしたとの報告(BUA 37(1989))に基づき、区分2とした。なお、List 3のデータとして、ウサギの眼に100 mgを適用したドレイズ試験で刺激性は中等度(moderate)と報告されている(RTECS(2006):元文献:National Technical Information Service.: OTS0528351)。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足。モルモットを用いた皮膚感作性試験で感作性なし(no sensitizing effect)と報告されている(BUA 37(1989))が、List2のデータであり、試験法および陽性率も記載がなく不明である。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | 2系統のマウスを用いた腹腔内投与による優性致死試験(生殖細胞in vivo 経世代変異原性試験)で両系統とも陰性(BUA 37(1989))、マウスの腹腔内投与による精母細胞を用いた染色体異常試験(生殖細胞in vivo変異原性試験)で陰性(BUA 37(1989))、およびマウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(体細胞in vivbo変異原性試験)で陰性(SIDS(Access on Nov. 2010))の結果に基き、区分外とした。なお、in vitro試験として、エームス試験で陰性(NTP DB(1982))、V79細胞を用いたHPRT試験で陰性の結果が報告されている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの交配前92日から交配後、雄は120日間、雌は150日間混餌投与した二世代試験において、親動物の毒性症状が認められない用量(670 mg/kg/day)で同腹仔数が減少した(SIDS(Access on Nov. 2010))との報告により、区分1B相当となるが、当該試験は少数例の試験であり、ラットの生殖および発生に対する悪影響をを示す予備試験とみなすべきである(BUA 37(1989))との記述により、区分2とした。なお、ラットにおける発生毒性試験では、最高用量625 mg/kg/dayまで催奇形性の証拠は見出されなかった(SIDS(Access on Nov. 2010))。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(神経系)、区分3(麻酔作用) | 警告 |
H371: 臓器の障害のおそれ(神経系) H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
本物質は有害で麻酔作用を有し、遅発性神経毒性は伴わないが、明らかな神経毒性(コリンエステラーゼ阻害)を示し(SIDS(Access on Nov. 2010))、いくつかの急性毒性試験で、麻酔、中枢神経系抑制を伴う興奮、筋の失調、四肢麻痺などの症状が観察されている(BUA 37(1989))。イヌでは1070 mg/kgを経口投与により、側臥位、呼吸困難、鎮静、麻酔様状態、攣縮を呈し、その日に死亡し、また、イヌに100または250 mg/kgを経口投与により、血漿コリンエステラーゼの阻害とともに鎮静および軽度の振戦が観察された(BUA 37(1989))。以上より、区分3(麻酔作用)およびイヌではガイダンス値範囲の区分2相当用量で症状が発現していることから区分2(神経系)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ラットに28日間経口投与によるNOAELは1000 mg/kg/day(90日換算値:311 mg/kg/day)と記載されている(SIDS(Access on Nov. 2010))。また、ラットの92日間混餌投与試験では、5000 ppm(335 mg/kg/day)で悪影響を示す所見はなく(BUA 37(1989))、ラットに9週間混餌投与による別の試験でも5000 ppm(330 mg/kg/day)で重大な毒性の記載はない(BUA 37(1989))。一方、ラットに12回吸入ばく露した試験(5 hours/day, 5 days/week)で、エアロゾルとして1.786 mg/L(90日換算:0.275 mg/L)の濃度で、嗜眠、音に対する応答低下、行動障害などが観察されたが、血液、生化学検査値は対照群と比べ変化なく、肉眼的または組織学的に病理学的変化も認められなかった(BUA 37(1989))。したがって、経口および吸入経路ではガイダンス値を超える用量で悪影響を示す記載がないことから、区分外と相当なる。しかし、吸入投与はList 2のデータであり、経皮投与についてはデータもなく影響の有無が不明のため、特定標的臓器毒性(反復暴露)の分類としては「分類できない」とした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 | - | - | - | - | 藻類(Scenedesmus subspicatus)、甲殻類(オオミジンコ)に対する毒性が > 100 mg/L(SIDS, 2002)から区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急性毒性区分外であり、難水溶性ではない(水溶解度:500000 mg/L(SRC, 2009))ことから区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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