GHS分類結果

名称:6-メルカプトプリン
CAS番号:50-44-2

結果:
物質ID: 22A4116
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素および塩素を含んでいない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値 277 mg/kg(RTECS(2010):元文献 Gekkan Yakuji. Pharmaceuticals Monthly. 15, 1037, 1973)に基づき、元文献の記載を確認の上、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分1B 危険 H340: 遺伝性疾患のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスを用いた優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)の陽性結果(IARC 26(1981))に基づき区分1Bとした。さらに、in vivo試験として、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験、ラット、チャイニーズハムスターおよびマウスを用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)においていずれも陽性(IARC 26(1981))が報告されている。また、in vitro試験では、エームス試験、ヒトの末梢リンパ球を用いた染色体異常試験、CHO細胞を用いた染色体異常試験でいずれも陽性(IARC 26(1981))、NTP DB(Access on Oct 2010))が報告されている。
6 発がん性 分類できない - - - - IARCによる発がん性評価でグループ3に分類されている(IARC Supplement 7(1987))ことから、「分類できない」とした。なお、マウスおよびラットを用い、経皮、皮下、腹腔内または静脈内の各投与経路で試験が行われているが、いずれも限定的な条件下での試験のため、本物質の発がんの可能性については評価できない(IARC Supplement 7(1987))と述べられている。
7 生殖毒性 区分1B 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの妊娠7および8日目に5または10 mg/kgを経口投与により、胎児の吸収と死亡が高率に発生し、また、奇形発生として、ハムスターの妊娠9日目に5〜9 mg/animalを腹腔内投与により、四肢、口蓋、下顎骨などが観察され、ラットの妊娠5〜9日目の投与で無眼球、小眼球が報告されている(IARC 26(1981))。さらに、ラットの妊娠6〜12日目のばく露により、1 mg/kgの用量で胚の100%致死、0.5〜0.75 mg/kgで生存胎児の12〜14%が中枢神経系や眼の異常を示した(IARC 26(1981))。以上の生殖に及ぼす影響は、ラット経口LD50値(270 mg/kg)と比較すると極めて低用量の所見であり、一般毒性との関連性は低いと判断されることから区分1Bとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(骨髄、肝臓、小腸) 危険 H370: 臓器の障害(骨髄、肝臓、小腸) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットおよびマウスにおいて主な毒性は骨髄と腸上皮の傷害、肝臓壊死であり、イヌにおける主な毒性症状は小腸粘膜の顕著な損傷および骨髄枯渇であったと述べられている(IARC 26(1981))。また、肝臓障害の生化学的証拠があり、投与動物では黄疸が明瞭に認められたと記述されている(IARC 26(1981))。以上の知見に基づき、ラット経口LD50値として270 mg/kg(RTECS(2010):元文献 Gekkan Yakuji. Pharmaceuticals Monthly. 15, 1037, 1973))を考慮に入れ、区分1(骨髄、肝臓、小腸)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(造血系、肝臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(造血系、肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで主要な毒性影響は造血系にあり、主に白血球の低下をもたらし、また、高用量では肝細胞毒性に因る回復性の黄疸が発生し、一連の調査で患者38人中16人に認められたと報告されている(IARC 26(1981))。さらに、本物質は白血病の症状緩解のため服用される医薬品であり、添付文書に重大な副作用として、骨髄抑制、汎血球減少、無顆粒球症、白血球減少、血小板減少、貧血等の骨髄抑制が現れることがあると述べられ、その他の副作用として、肝障害、黄疸、AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等肝機能検査値異常が記載されている(医療用医薬品集(2010))。以上の知見に基づき区分1(造血系、肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ミジンコ)の48時間EC50 = 54.5 mg/L(AQUIRE, 2011)から区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分3であり、急速分解性がない(BIOWIN)ことから区分3とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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