GHS分類結果

名称:6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン(別名:エトキシキン)
CAS番号:91-53-2

結果:
物質ID: 22A4102
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 分類できない - - - - データなし。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データなし。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属および半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素は含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この元素は炭素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値が1700mg/kg bw(JMPR(1998))の報告に基づき区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットLD50値が2000 mg/kg bw超(JMPR(1998))の報告に基づきJIS分類基準の区分外とした。(国連分類基準の区分5または区分外に相当する。)
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足により分類できない。 なお、ラットLC50値が2.0mg/l超(JMPR(1998))の報告があるが、暴露時間の記載が無い。また常温に於ける飽和蒸気圧濃度は0.0015mg/lであるためミストの基準値の適用となる。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験で、僅かな紅斑があり、浮腫はなく7日目に落屑が見られた(JMPR(1998))との報告より区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギを用いた試験で一過性の結膜の発赤、及び浮腫が認められたが4日以内に消失した(JMPR(1998))との報告より区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は動物飼料で酸化防止剤として使用され、飼料製粉作業者に接触皮膚炎が引き起こしたと報告され、Contact Dermatitis(Frosch)(4th, 2006)に感作性物質として掲載されていることから、区分1とした。なお、多くの報告では、本物質を含む飼料取い作業者がしばしば発症する重度の皮膚炎の原因はおそらく本物質であるとされ、作業者のパッチテストでも陽性反応が記録されている(JMPR(1998))。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 経口投与したマウスの骨髄細胞を使用した小核試験(JMPR(1998))、及び腹腔投与したマウスの骨髄細胞を使用した小核試験(NTP DB(Access on Oct. 2010))(体細胞を用いるin vivo 変異原性試験)においていずれも陰性の報告があり区分外とした。なお、in vitro 試験であるエームス試験で陰性、及びCHO細胞を用いた染色体異常試験で陰性(NTP DB(Access on Oct. 2010))及び陽性(JMPR(1998))の報告もある。
6 発がん性 分類できない - - - - データ不足で分類できない。なお、ラットに2年間混餌投与した試験において200日後の雄の腎臓皮質に病理的な変化が見られ、700日後に1部臓器に発がん性が見られたが、用量依存性はなく、対照群にも認められた。また、ラットに30週間、又は1年間混餌投与した試験(JMPR(1998))の報告があるが発がん性については明確ではない。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットを用い混餌投与による多世代試験において、妊娠、同腹仔数、生存仔に反映された繁殖に対する影響は認められなかった。イヌを用いた混餌投与による2世代試験において投与による体重減少は見られたが、交尾、分娩、授乳指数、精子パラメーター、臨床指標、生存仔数、同腹仔数、仔の体重、成長に影響は認められなかった。また、妊娠ラットの妊娠6〜19日間経口投与した試験において親動物の体重減少は認められたが、子宮重量、同腹仔数、吸収、着床前後の喪失、雌雄比、胎児重量に影響は無く、奇形、異常の所見はコントロールの背景データ以内であった(JMPR(1998))。以上の報告より区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(肝臓) 危険 H370: 臓器の障害(肝臓) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
イヌに単回経口投与した試験(用量:50、100、200 mg/kg)において、血液検査、剖検で投与に関連する影響は認められなかったが、全投与群の雌雄で血清総ビリルビンの高値と尿素窒素の低値、鏡検で軽度の胆汁鬱滞が認められ、200 mg/kgの投与群では胆汁鬱滞に加え肝細胞のグリコーゲン沈着が枯渇し、観察期間終了後も全投与群でわずかに胆汁鬱滞が認められた(JMPR(2005))ことに基づき、用量は区分1のガイダンス値内であることから区分1(肝臓)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
イヌに90日間経口投与した試験において、20mg/kg/day以上の投与群で総ビリルビン濃度、ALP、GPT、GOT、γGT活性の上昇、鏡検では肝臓の色素沈着、肝細胞壊死、細胞質空胞化、胆管の過形成が認められ、4 mg/kg/day投与群でもALPの上昇、軽微ではあるが色素沈着と肝細胞壊死・空胞化が認められた(JMPR(1998))。別にイヌの28日間経口投与試験で、25 mg/kg/day(90日換算:8.3 mg/kg/day)以上の用量で、肝障害を示唆する血清酵素活性の上昇や肝臓の色素沈着が認められた(JMPR(1998))。また、ラットでも28日間経口投与試験の250 mg/kg/day(90日換算:77.7 mg/kg/day)以上で総ビリルビン濃度やγGT活性の上昇が報告されている(JMPR(1998))。以上より、イヌでは試験用量がガイダンス値区分1の範囲にあることから区分1(肝臓)とした。なお、ラットの28日間および13週間経口投与試験で腎臓への影響が認められた(JMPR(1998))が、いずれもガイダンス値範囲の上限を超えた用量のため分類の根拠とならない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間ErC50 = 0.70 mg/L(環境庁生態影響試験, 1998)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(難分解、BODによる分解度:3%(既存点検, 1982))ことから区分1とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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