GHS分類結果

名称:6-メチル-5-ヘプテン-2-オン
CAS番号:110-93-0

結果:
物質ID: 22A4038
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点56℃ [密閉式](IUCLID(2000))は ≧ 23℃ かつ ≦60℃ であることから、区分3に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点は250℃以上であり(IUCLID(2000))、常温では発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素を含む有機化合物であるが、この元素は炭素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値 3570 mg/kg bwおよび4100 mg/kg bw(SIDS(Access on June 2010)に基づき、分類JISによる基準の区分外(国連分類基準の区分5に相当)とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギLD50値 >5000 mg/kg bw(SIDS(Access on 6. 2010))により区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットLC50値 >13.96 mg/L/4h [ >6.98 mg/L/8hからの換算値](SIDS(Access on June. 2010))に基づき区分外とした。なお、試験濃度(6.98 mg/L)が飽和蒸気圧濃度(5.18 mg/L)より高いので、粉塵/ミストの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギに試験物質原液を20時間適用した試験で紅斑を認めたのみで48時間後には回復し、軽度の刺激性(slightly irritating)との報告(SIDS(Access on 6. 2010))より、分類JISによる基準の区分外(国連分類基準の区分3に相当)とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギの試験で適用24時間後のDraize scoreは角膜混濁1、結膜発赤1、結膜浮腫0であり、8日後には完全に回復した(SIDS(Access on June 2010))との報告より区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - 本物質はモルモットのmodified Draize TestおよびOpen Epicutaneous Testによる皮膚感作性試験、およびヒトでのマキシマイゼーション試験においていずれも感作性を示さず、感作性物質ではないと結論されている(SIDS(Access on June 2010))ことから区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスに腹腔内投与による骨髄細胞を用いた小核試験(in vivo体細胞変異原性試験)で陰性(SIDS(Access on 6. 2010))の結果に基づき区分外とした。なお、in vitro試験ではエームス試験で陰性(Access on 6. 2010))の報告がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 妊娠ラットの器官形成期に経口投与による発生毒性試験において、母動物の一般毒性が現れた高用量(1000 mg/kg/day)およびそれ以下の用量で妊娠および発生の指標に影響は認められず、催奇形性の兆候は見出されていない(SIDS(Access on June 2010))。一方、ラットに13週間反復経口投与により高用量(1000 mg/kg/day)で精子形成に影響を与え、精巣毒性を引き起こしたと報告されている(SIDS(Access on June 2010))ものの、親動物の性機能および生殖能に及ぼす影響に関してはデータ不十分のため「分類できない」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに1360 mg/kg以上の経口投与により、鈍麻、無緊張、呼吸困難、腹臥位および側臥位の症状が用量の増加とともに強くなったが、4650 mg/kg以下の生存動物では投与5日以内には症状は回復し、解剖の結果、異常は見られなかった(SIDS(Access on June. 2010))。また、ラットに2000〜5000 mg/kgを経口投与した別の試験で観察された主な症状は即座の興奮に続く運動失調であり(SIDS(Access on June. 2010))、さらに、高濃度の吸入ばく露直後に平衡障害が認められたが翌日には回復したと報告されている(SIDS(Access on June. 2010))。以上の症状は高用量で見られ、比較的速やかに回復することから区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットの3ヵ月間経口投与試験(OECD TG 408, GLP)において、全用量(50〜1000 mg/kg/day)で影響が見られ、標的臓器は腎臓、肝臓および精巣であると記載されている(SIDS(Access on June 2010))。腎臓についてはα-2μグロブリンの蓄積に因る影響で雄の全用量で発生したが、ヒトでの毒性学的関連性のないラット特有の現象であることが知られている。肝臓については肝重量増加と小葉中心性肝細胞肥大が高用量(1000 mg/kg/day)で認められ、さらに、精巣への影響は精巣萎縮が高用量(1000 mg/kg/day)で認められたが、対照群および他の投与群では見出されていない。以上より、肝臓と精巣については中用量(200 mg/kg/day)以下では認められず、また、中用量はガイダンス値範囲の上限を超えている。一方、腎臓の所見は雄ラット特有でヒトには当てはまらない変化とされている。したがって、経口では区分外に相当するが、他経路(吸入、経皮)についてはデータがなく影響が不明のため、特定標的臓器毒性(反復暴露)の分類としては「分類できない」とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類 (ゴールデンオルフェ) による96時間LC50 = 68 mg/L (SIDS, 2005) より、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分3であるが、急速分解性があり (OECD TG301FでのBOD分解度:91% (SIDS, 2005))、かつ生物蓄積性が低いと推定される (log Kow = 2.4 (SIDS, 2005)) ことから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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