GHS分類結果

名称:パラ-トリルアルデヒド
CAS番号:104-87-0

結果:
物質ID: 22A4035
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点71.5℃ [密閉式](GESTIS(Access on June 2010))は > 60℃ かつ ≦93℃ であることから、区分4に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点は395℃であり(GESTIS(Access on June 2010))、常温では発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値:1600 mg/kg(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足。なおラットのLD50値 2500 mg/kg(RTECS(2000))とのデータがあるが、詳細は不明である。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ラット:LC50値 >2.2mg/L/6hr(4時間換算値:>3.3mg/L/4hr)(PATTY(5th, 2001))があるが、このデータのみでは、区分が特定できないので分類できない。なお、試験濃度(2.2 mg/L)が飽和蒸気圧(1.61mg/L)より高いので、分類には粉塵/ミストの基準値を適用した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギを用いた試験で中等度の刺激性(moderate irritation)との結果(PATTY(5th, 2001))があり、さらにモルモットに24時間閉塞適用した試験では、浮腫、紅斑および散在性の壊死を伴う中等度の刺激性(moderate irritation)を示した(HSDB(2009))との報告もあることから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験で中等度の刺激性(moderate irritation)との結果(PATTY(5th, 2001))があり、さらにウサギを用いた別の試験では3匹中2匹が虹彩炎を伴う中等度の刺激性(moderate irritation)、残りの1匹は軽度の刺激性(slight irritation)を示したとの報告(HSDB(2009))に基づき、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足。標準化されたモルモットの皮膚感作性試験で試験物質は感作性を示さなかった(HSDB(2009))との結果、また、ヒトのボランティアを用いた試験で皮膚感作性は見出されなかった(HSDB(2009))との結果がそれぞれ報告されているが、試験方法および結果の詳細が不明である
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo 試験のデータがなく分類できない。なお、in vitro 試験では、Ames 試験で陰性(PATTY(5th, 2001))の報告がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用、気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット及びマウスの急性経口投与試験で、毒性症状として嗜眠の記述(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分3(麻酔作用)、また、ヒトへの影響として、鼻粘膜、上気道粘膜に影響し灼熱感、気管支収縮、息つまり、咳を引き起こしたとの記述(PATTY(5th, 2001))から、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットを用いた17日間強制経口投与試験(100-1000mg/kg/day、90日換算値:18.8-188mg/kg/day)で、摂餌量、体重増加、血液学的検査、臨床化学検査、剖検、病理組織的検査が正常であった(PATTY(5th, 2001))こと、およびラットに50〜500 mg/kgを13週間経口投与した試験では、高用量群の雌における下垂体の相対重量低下を除き悪影響が見られなかった(HSDB(2009))ことから、経口経路では区分外に該当するが他経路(吸入、経皮)の報告がないので、特定標的臓器毒性(反復暴露)の分類としては「分類できない」とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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