名称:N-フェニル-1,4-ベンゼンジアミン
CAS番号:101-54-2
物質ID: | 22A4025 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点は>500℃であり(NITE総合検索(Access on May. 2010))、常温では発火しないと考えられる。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 融点140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素、フッ素および塩素を含まない有機化合物である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットLD50値が5件(1000、870、847、720、464 mg/kg bw)(SIDS(2004))得られ、いずれも区分4に該当することから区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギLD50値は>5000 mg/kg bw(SIDS(2004))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | 複数の動物種を用い各少数例に4時間エアゾールばく露を2度行い、ほとんど毒性影響が見られなかった(IUCLID(2000))ことが報告されているが、詳細も不明で分類には不十分なデータである。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギの皮膚に試験物質0.5 gを4時間適用した試験(OECD TG 404)において、紅斑および浮腫のいずれも平均スコアは全ての観察時点で0であり、刺激性なし(not irritating)との結果(SIDS(2004))に基づき区分外とした。なお、ヒトでボランティアに適用した試験では、2時間ばく露で明らかな刺激性はなく、4時間のばく露で半数の被験者に軽度で一過性の刺激が見られ、24時間ばく露では明らかな紅斑が生じたが1週間後には消失した(BUA 131(1993))と報告されている。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ウサギの結膜嚢に試験物質100 mgを適用した試験(OECD TG 405)において刺激性あり(irritating)との評価であったが、症状は全て72時間後には回復した(SIDS(2004))ことから区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において、陽性率95%(19/20)で感作性あり(sensitizing)との評価(SIDS(2004))に基づき区分1とした。なお、皮膚炎や発疹を有するヒトが本物質のパッチテストで陽性反応を示した症例報告(IUCLID(2000)、BUA 131(1993))が複数あり、また、皮膚疾患を有する患者を対象とした複数の疫学調査において明らかな陽性結果(SIDS(2004)、IUCLID(2000)、BUA 131(1993))が認められているが、その多くに類似化合物との交差反応も含まれている(SIDS(2004))と報告されている。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | マウスに腹腔内投与後の骨髄細胞を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)において、陰性の結果(SIDS(2004))に基づき区分外とした。なお、ラットに経口投与による肝細胞を用いたUDS試験(体細胞in vivo遺伝毒性試験)で陽性、in vitro試験としては、エームス試験で概ね陰性(SIDS(2004)、NTP DB(Access on July. 2010))、CHO細胞を用いたHGPRT試験で陰性(SIDS(2004))、培養細胞を用いた染色体異常試験で陰性または陽性(SIDS(2004)、NTP DB(Access on July. 2010))、マウスリンフォーマ試験で陽性(NTP DB(Access on July. 2010))の結果がそれぞれ報告されている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットに78週間混餌投与後26週間の観察期間を経て104週目に検査した試験において、試験物質投与群の腫瘍発生率は対照群との間に有意な差はなかった(NTP TR 82(1978))。また、マウスに48週間混餌投与後43週間の観察期間を経て91週目に検査した試験おいては、雄の低用量群で肝細胞の腺腫と癌腫の発生率の合計が対照群と比べ有意に高かったが、用量相関性がなく発生率は背景対照の範囲を超えるものではなかった(NTP TR 82(1978))。以上の結果から、F344ラットおよびB6C3F1マウスにおいて発がん性の証拠は見出されなかった(NTP TR 82(1978))が、ラットで78週、マウスで41〜48週と両動物種とも投与期間が短く、発がん性を評価するには不十分と判断されるので「分類できない」とした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
妊娠ラットの器官形成期に経口投与した試験において、体重増加抑制、著しい流涎など母動物に一般毒性が見られた100 mg/kg以上の用量で骨格、内臓および外表の奇形発生率の増加、とりわけ骨格奇形(波状肋骨、肋骨の癒合、椎骨欠損)の有意な増加が報告されている(SIDS(2004))ことから、区分2とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(血液) | 警告 | H371: 臓器の障害のおそれ(血液) |
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ネコに経口投与により、100 mg/kgでは1時間後に著しいチアノーゼと47%のメトヘモグロビン増加を引き起こし3日後に死亡した。25 mg/kgでは1時間後に一時的なチアノーゼとともに19%のメトヘモグロビン増加を示し、10 mg/kgではメトヘモグロビン形成も毒性症状の発現も見られなかった(SIDS(2004))。また、ネコに経口投与した別の試験でも25 mg/kgで全身脱力、食欲不振、呼吸困難などの症状とともに軽度ながらメトヘモグロビン濃度の増加が認められた(SIDS(2004))。以上より、ガイダンス値から判断すると区分1相当であるが、動物数が1群1〜2例と少ないネコのみで得られた所見のため、証拠の重みを考慮して区分2(血液)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ラットおよびマウスに7週間混餌投与した試験でガイダンス値範囲を超えた用量で毒性影響の記載はない(NTP TR 82(1978))が、検査項目の限定された予備試験である。引き続き実施されたラットの78週間、マウスの48週間混餌投与試験では、ラットにおいて試験物質投与に帰せられる影響はなく、マウスにおいては試験物質投与と関連している可能性のある炎症またはその他の病変が肝臓に発生したと報告されている(NTP TR 82(1978))が、ラットの場合は全てガイダンス値範囲内の用量であり、マウスの場合は全てガイダンス値範囲を超えた用量であり分類の根拠とならない。さらに、ラットに90日間混餌投与した試験においてガイダンス値範囲の上限である1000 ppm(100 mg/kg bw/day相当)で影響がなかったと報告されている(SIDS(2004))が、雄のみの試験である。以上より、得られた複数の試験の結果はいずれも分類の根拠とするには不十分なため「分類できない」とした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50 = 0.37 mg/L(SIDS, 2007)であることから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(SIDS, 2007)ことから、区分1とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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