GHS分類結果

名称:エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム
CAS番号:64-02-8

結果:
物質ID: 22A4024
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成22年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - 所定の試験データがなく分類できない。なお、可燃性(Combustible;ICSC(2006))という情報と、容易に発火しない(nicht leichtentzuendlich)(IUCLID(2000))という情報がある。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点が260℃(Selbstentzuendung rnit Luft bei 260 Grad C.)(IUCLID(2000),元文献:BASF AG Ludwigshafen)であり、常温では発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 所定の試験データがなく分類できない。なお、可燃性(Combustible;ICSC(2006))という情報と、容易に発火しない(nicht leichtentzuendlich)(IUCLID(2000))という情報がある。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 金属(Na)を含むが水溶解度は103 g/100 mL(Merck(14th, 2006))というデータがあり、水と急激な反応をしないと考えられる。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 酸素を含む有機化合物であり、この酸素が炭素・水素以外の元素(Na)と化学結合しているが、データが無く分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
List 1のデータとして5件のラットのLD50値(2700、3200、1700、1780-1913、1210-2150mg/kg)(EU-RAR(2004))が対象となり、2件が区分4、2件が区分外(国連分類基準の区分5)、1件が区分4または区分5に該当し、区分4と区分外が同数となったため、危険性の高い方の区分4を採用した。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データ不足。なお、ラットを用い、粉塵として8時間ばく露して死亡の発生はなかった(EU-RAR(2004))とあるが、ばく露濃度が不明である。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギに80%水溶液を4時間適用した試験(OECD TG 404)で、適用後24、48、72時間における紅斑の平均スコアはそれぞれ1、0、0.3であり、8日後には消失、浮腫は認められなかったとの結果(EU-RAR(2004))に基づき区分外とした。なお、ウサギに80%水溶液を20時間適用した別の試験では、24時間後に重度の紅斑、8日後に落屑が観察されたが、浮腫は認められなかった(EU-RAR(2004))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギ1匹に88%水溶液50 mgを適用後1〜24時間で強い刺激性を示し、極度の浮腫、軽度の角膜混濁、膿形成を起こし、8日後には軽度の角膜混濁が見られた(EU-RAR(2004))との報告、およびウサギ3匹に40%水溶液0.1 mLを適用した試験で、適用後72時間の刺激性スコアが全例で角膜混濁 1、虹彩炎 1、結膜発赤 3、結膜浮腫 2〜3であった(EU-RAR(2004))との報告に基づき、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足。なお、再発性の下腿潰瘍を有する78歳女性が当該物質の水溶液に2回の接触で陽性反応を示した(EU-RAR(2004))とする報告がある。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo試験のデータがないので分類できない。なお、in vitro試験としてはエームス試験で陰性(HSDB(2004))、また、CHO細胞を用いた染色体異常試験およびシリアンハムスターの胚細胞を用いた形質変換試験でいずれも陰性の結果(IUCLID(2000))が報告されている。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットを用い妊娠7〜14日に経口投与した発生毒性試験で、母動物が下痢、行動低下、体重増加抑制など一般毒性を示したが、着床後胚損失による胎児死亡率、同腹仔数、胎仔重量には対照群と比べ有意な差はなく、胎仔の外表、内臓、骨格検査においても催奇形性を示す証拠は見出されなかった(EU-RAR(2004))。しかし、親動物の性機能・生殖能に及ぼす影響についてはデータがなく、不明のため「分類できない」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(全身毒性) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(全身毒性) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた複数の急性経口毒性試験(LD50: 1210〜3200 mg/kg)のデータがあり、最も顕著な症状として呼吸困難、運動失調、歩行異常、振戦、立毛、死亡例の剖検では胃腺部の赤色化と出血性潰瘍、腸粘膜の赤色化、全身性充血、腸の弛緩が報告されている(EU-RAR(2004))。上記の所見から標的臓器の特定は困難と判断され、また、影響はガイダンス値区分2相当の用量以上で認められているので区分2(全身毒性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データなし。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類 (Scenedesmus subspicatus) の72時間EC50 = 1.01 mg/L (EU-RAR, 2004、IUCLID, 2000) であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分2であるが、急性毒性の分類に使った毒性値はOECD-ガイダンス文書No.23からも真の毒性ではなく、本物質の慢性分類にこの急性毒性値を適用するべきではないとの専門家判断により、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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