名称:酸化バナジウム(III)
CAS番号:1314-34-7
物質ID: | 22A4005 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成22年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(GESTIS(Access on Apr. 2010))である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(GESTIS(Access on Apr. 2010))である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(GESTIS(Access on Apr. 2010))である。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 金属(V)を含むが水溶解度について0.01 g/100 ml(20℃)(非常に溶けにくい)(ICSC(J)(2006))というデータがあり、水と急激な反応はしないと考えられる。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 酸素を含む無機化合物で、炭素、水素以外の元素と化学結合しているが、バナジウム(III)は強力な還元物質である(EHC(J)81(1997))との記載があるため区分外とした。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 無機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットLD50値は5639 mg/kg bw(OECD TG 401、GLP準拠)(IUCLID(2000))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ラットLD50値は>2500 mg/kg bw(OECD TG 402、GLP準拠)(IUCLID(2000))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5または区分外)とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
ラットLC50値は4 mg/L/4h(OECD TG 403、GLP準拠)(IUCLID(2000))に基づき区分4とした。なお、本物質は固体(powder)(Merck(14th, 2006))であり、粉塵で試験が行なわれたと思われることから粉塵/ミストの基準値を適用した。 | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足。なお、List 3の情報として、ウサギの眼に5 uLを適用した試験(Standard Draize test)で刺激性は中等度(Moderate)との結果(RTECS(2003))があるが、詳細は不明である。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | 本物質と五酸化バナジウムを含む粉塵に職業ばく露した120人を調査した結果、うち3人がばく露後1-5年で気管支喘息を発症し、動物試験でもウサギの反復吸入ばく露試験で、喘息反応の症状を示したことから本物質は感作性物質である(以上NIOSH Publications 77-222(1977))としている報告があるが、情報はこの1件のみであり、また、List2であることから「分類できない」とした。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | In vivo試験のデータがないので分類できない。なお、CHO細胞を用いた染色体異常試験で陽性の結果(CICADs 29(2001))が報告されている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(気道刺激性) | 警告 | H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
酸化バナジウム類に関して粉塵の急性ばく露で上および下気道に刺激性を示し、鼻炎、咽頭炎の症状がばく露後30分から12時間で現れ、より過酷なばく露では咳、鼻水、くしゃみ、呼吸困難、胸腺下の痛みなどの症状を起こす(HSDB(2006))と記載され、また、本物質または五酸化バナジウムを2〜85 mg/m3の濃度でばく露された清掃作業員が気道刺激性を示した(HSDB(2006))との報告もあり、区分3(気道刺激性)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(呼吸器) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトへの影響としてスラグ(本物質16.9 %、五酸化バナジウム4.8-7.5 %含有)に2‐3年ばく露された36人に鼻炎、咳、喘鳴、運動時の動悸、倦怠感、気管支肺炎が見られたとの報告(DFGMAK-Doc. Vol.4(1992))がある。動物試験では、ウサギの9-12ヶ月間エアゾール(粉塵)による吸入ばく露試験の40-75 mg/m3/2h(6時間換算:0.013 - 0.025 mg/L)で、ばく露中にくしゃみや鼻分泌物を伴う重度の呼吸困難と呼吸促進の症状が現れ、死亡が発生したが(EHC 81(1988)、DFGMAK-Doc. Vol.4(1992))、生存例はばく露中止後4-5時間で回復した(NIOSH Publications 77-222(1977))との記載があることから、ヒトの情報および区分1のガイダンス値範囲で見られた動物の所見により区分1(呼吸器)とした。なお、その他の所見として肝細胞の部分的壊死を伴う脂肪変性が見られ、肝臓の変性はウサギと同様の試験条件でラットでも認められたとの記載(EHC 81(1988))がある。しかし、肝臓に関しての記載は1つの評価書でしか採用されていないため分類の根拠としなかった。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |