名称:ニッケル
CAS番号:7440-02-0
物質ID: | 21C0012 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | 形状が特定されておらず、またデータがないので分類できない。また、ICSC(2004)では粉塵は引火性であるとしており、Sax (11th, 2004)では通常では金属は微粉末になるほど火災や爆発の危険度が大きいとしている。なお、国連危険物輸送勧告では、金属粉末(可燃性のもの)(他に品名が明示されているものを除く)はクラス・区分 4.1容器:等級II、III(国連番号3089)で、「区分1」または「区分2」に該当している。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性又は自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | Merck(13th, 2001)では、常温では空気中で安定としている。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 常温で空気中で安定、また、水と反応しないとしている(Merck 13th, 2001)。また、水と混合しない(ホンメル, 1996)より区分外とした。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素、フッ素、または塩素を含まない元素である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 元素である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットLD50> 9000 mg/kg(ECETOC TR 33(1989))は区分外である。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | 動物を用いた試験データがないことから分類できないとした。しかしながら、ヒトの疫学的症例として90分間に382 mg Ni/m3の濃度と見積もられる吸入暴露で13日後に呼吸窮迫症候群により死亡した例が報告されている(ATSDR(2005))。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 呼吸器感作性 | 区分1 | 危険 | H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ |
P304+P341: 吸入した場合:呼吸が困難な場合には、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P285: 換気が十分でない場合には、呼吸用保護具を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告(2008)で気道感作性物質(第2群)に、日本職業アレルギー学会(2004)及びDFG(MAK/BAT No43(2007))で気道感作性物質に分類されていることから、区分1とした。 | |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトの症例として、湿疹(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69, 2008; EHC No. 108, 1991)、接触皮膚炎(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69, 2008; EHC No. 108, 1991; IARC vol. 49, 1990)、パッチテストにおける陽性反応(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69, 2008; EHC No.108, 1991)が報告されている。また、日本産業衛生学会の許容濃度等の勧告(2008)で皮膚感作性物質(第1群)に、日本職業アレルギー学会(2004)及びDFG(2007)で皮膚感作性物質に分類されていることから、区分1とした。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットの吸入ばく露による肺胞マクロファージにおける染色体異常の結果が陽性(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69(2008))との結果があるが特殊な試験系である。他にin vivoの試験データがなく分類できないとした。なお、in vitro変異原性試験:ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験(IARC vol. 49,(1990))、ヒトリンパ芽球TK6を用いた突然変異試験(詳細リスク評価書シリーズ19(2006))は陰性である。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
既存分類においてIARCが2B(IARC(1990))、NTPがR(NTP(2005))、そしてEUがCarc. cat. 3; R40(EU(2007))に区分していることから区分2とした。また、ラットの吸入、皮下、筋肉内、胸腔内、腹腔内投与による発がん性試験においていずれもがんや肉腫の発生が見られている(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69(2008); IARC vol. 49(1990); 詳細リスク評価書シリーズ19(2006))。 | |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データ不足で分類できない。なお、ラットの妊娠前7ヵ月間および妊娠期間中の経口投与(飲水)により、着床前死亡がやや増加し、奇形仔がいくらか認められたとの記載(Teratogenic(12th, 2007))があるが、それ以上の記述はなく詳細は不明である。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(呼吸器、腎臓) | 危険 | H370: 臓器の障害(呼吸器、腎臓) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
雄ラットの吸入(単回気管内投与)ばく露試験において、0.5 mg以上の投与量において肺胞上皮細胞の障害を引き起こした(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69(2008))。また、ヒトにおいて吸入暴露によって「肺胞領域での肺胞壁への障害及び水腫、腎臓における顕著な尿細管壊死」(ATSDR(2005))を引き起こした記述があることから区分1(呼吸器, 腎臓)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(呼吸器) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
厚生労働省報告では、職業的にニッケル酸化物や金属ニッケルの0.04mg/m3以上の濃度にばく露している労働者は、呼吸器疾患で死亡する確率が高いとされ、また、ニッケル精錬とニッケルメッキ作業者に鼻炎、副鼻腔炎、鼻中隔穿孔、鼻粘膜異形成の報告がある(厚生労働省報告:ニッケルおよびその化合物有害性評価書(2009))。これにより区分1(呼吸器)とした。ラットを用いた13週間の吸入ばく露試験(OECD TG 413)のガイダンスの区分1に相当する1mg/m3(0.001 mg/L)以上の用量において、雌で肺胞タンパク症、肺肉芽腫性炎症が見られ、雄で肺単核細胞湿潤が見られた(NITE初期リスク評価書 ver. 1.0, No. 69(2008))。また、ラットの21ヶ月間の吸入ばく露試験においても、ガイダンスの区分1に相当する15mg/m3(0.015 mg/L)の用量で胸膜炎、肺炎、うっ血及び水腫が見られ(CaPSAR(1994))、さらにウサギを用いた6ヶ月間の吸入ばく露試験においても1mg/m3(0.001 mg/L)で肺炎をおこす。なお、EU分類においてはT; R48/23に区分されている。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分4 | - | - | H413: 長期継続的影響によって水生生物に有害のおそれ |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
L(E)C50≦100 mg/Lデータが存在するものの、金属であり水中での挙動が不明であるため、区分4とした。 |
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