名称:オルト-フェニレンジアミン
CAS番号:95-54-5
物質ID: | 21B3164 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性、あるいは自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点が540℃、>400℃(いずれもIUCLID(2000))で70℃を超えている。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 融点が140℃以下の固体に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値510 mg/kg(環境省リスク評価第3巻(2004))、660 mg/kg、1284 mg/kg(ACGIH(2001))、500-1300 mg/kg(DFGOT vol.21(2005))に基づき、区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値は>5000 mg/kg(ACGIH(2001))、ウサギのLD50値は5000 mg/kg(許容濃度提案理由書:産衛誌第41巻(1999))であり、ウサギのLD50値に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | ラット及びマウスのLC50値(1時間)は>0.056 mg/L(4時間換算値:>0.014 mg/L)、LC50値(4時間)は>0.091 mg/L(ACGIH(2001)、DFGOT vol.13(1999))であり、いずれも区分を特定できず、分類できないとした。なお、蒸気と粉塵の混合暴露との記載があり(DFGOT vol.13(1999))、粉塵と判断した。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた4時間適用試験(OECD準拠)において「刺激性なし」(DFGOT vol.13(1999))との報告が得られているが、環境省リスク評価第3巻(2004)のヒトへの健康影響の記載において「皮膚を軽く刺激する」とあり、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ヒトへの健康影響について「眼を刺激する」(環境省リスク評価第3巻(2004))との記載があり、ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD準拠)においては、発赤、結膜の腫れ、角膜混濁、虹彩の炎症がみられ、適用後14日以内に回復したとの記載(DFGOT vol.13(1999))がある。その他ウサギを用いた試験においても「中等度の刺激性(moderate irritation)」(ACGIH(2001))との記載があるため、以上の結果より区分2Aとした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、「反復または長期の吸入暴露により喘息様アレルギーを生じる可能性がある」(SITTIG(5th, 2008))との記載がある。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトでは、本物質に数週間暴露された化学者が皮膚炎を発症したとの報告があり(DFGOT vol.13(1999))、加えて、産業衛生学会で「皮膚:第1群」(提案年度:1999年、産衛誌第50巻(2008))、DFGでSh(MAK/BAT(2008))、EUリスク警句でR43(EU-Annex I(access on Jul. 2009))に分類されていることから、区分1とした。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
in vivoにおいて、マウス、チャイニーズハムスター、モルモットを用いた小核試験及びマウスの骨髄を用いた染色体異常試験で陽性であり(許容濃度提案理由書:産衛誌第41巻(1999))、EUリスク警句においてもR68、カテゴリー3に分類されているため、区分2とした。なお、その他in vivoでは、ラットを用いた優性致死試験およびマウススポット試験で陰性(DFGOT vol.21(2005))、マウスの精巣を用いたDNA合成阻害試験で陽性(ACGIH(2001))であり、in vitroでは、すべての試験(エームス試験、CHO細胞及びCHL細胞を用いた染色体異常試験、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験、前進突然変異試験)において陽性である(NTP DB(access on Jul. 2009)、ACGIH(2001)、許容濃度提案理由書:産衛誌第41巻(1999))。 | |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ACGIHでA3(1988;ACGIH-TLV(2009))に分類されていることから、区分2とした。厚生労働省がん原性試験(2003)においては、「o-フェニレンジアミン二塩酸塩の投与によって、F344/DuCrj(Fischer)ラットでは、雌雄とも肝細胞腺腫及び肝細胞がんの顕著な発生増加、雄の膀胱に移行上皮乳頭腫及び移行上皮がんの発生増加が認められ、がん原性を示す明らかな証拠であると考えられた。Crj:BDF1マウスでは、雄に肝細胞腺腫の発生増加、雌に肝細胞腺腫及び肝細胞がんの顕著な発生増加、雌雄の胆嚢に乳頭状腺腫の発生増加が認められ、雄に対するがん原性を示す証拠と雌に対するがん原性を示す明らかな証拠であると考えられた。」との記述がある。 | |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットを用いた3つの発生毒性試験において、経口投与による2試験のうち、一方は母動物、胎仔ともに影響は認められず、もう一方は胎仔への影響を認めたという報告があるが、詳細は不明である(いずれも環境省リスク評価第3巻(2004))。経皮投与による試験では、黄体数、着床数、生存胎仔数、吸収胚数に有意な影響はなく、奇形の発生もみられないが、試験物質として本物質を1、2、3、4%含む毛染剤を使用しており(環境省リスク評価第3巻(2004))、以上の結果から本物質の生殖毒性の有無を判断できないため、分類できないとした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(血液系)、区分2(呼吸器、神経系) |
警告 危険 |
H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器、神経系) H370: 臓器の障害(血液系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
単回ばく露によりメトヘモグロビンに影響を及ぼす(DFGOT vol.21(2005))との記述があり、ネコを用いた経口投与試験においては用量25-50 mg/kgでメトヘモグロビンの形成がみられた(ACGIH(2001))。ラットを用いた経口投与試験において、用量510-800 mg/kgで興奮、無力、痙攣、感覚異常、呼吸障害がみられた(BUA Report No.97(1992))。以上より、血液系、神経系、呼吸器が標的臓器と考えられ、血液に関しての影響が認められた用量は区分1のガイダンス値内であるため区分1(血液)、神経系、呼吸器に関しては区分2のガイダンス値範囲の用量であるため区分2(神経系、呼吸器)とした。なお本物質を経口摂取したヒト2例では、横紋筋融解症、肝臓逸脱酵素の上昇、急性腎不全、膝窩変色、尿細管変性、腎間質水腫、肝細胞壊死、気管支肺炎等がみられた(IUCLID(2000))との記述があるが、他の物質との混合ばく露の可能性があるため分類の根拠としなかった。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(血液) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトについては、「本物質は気道を軽く刺激する。血液に影響を与え、メトヘモグロビンを生成することがある」(環境省リスク評価第3巻(2004))との記述があり、単回ばく露か反復ばく露か不明ではあるが、ヒトに対して血液に影響が認められるため区分2(血液)とした。なお工場で1〜20年間着色剤の蒸気(粉塵が混在)に暴露された労働者34人に、鼻づまり、鼻腔刺激、呼吸困難、血中ハインツ小体がみられるが(IUCLID(2000))、暴露された物質について詳細不明であり、混合暴露の可能性を否定できないため、分類の根拠としなかった。また本物質を含む毛染剤を使用した女性に、脈管炎、右冠状動脈梗塞、肺鬱血、腎肥大、糸球体腎炎がみられている(IUCLID(2000))。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
藻類(セレナストラム)の72時間ErC50=0.82 mg/L(環境省生態影響試験、2001)から、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存点検, 2002))ことから、区分1とした。 | |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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