GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

名称:シクロヘキセン
CAS番号:110-83-8

結果:
物質ID: 21B3133
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点-6℃(密閉式)、沸点83℃(いずれもICSC(1999))より区分2(GHS基準:引火点23℃未満および初留点35℃超)とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が244-310℃(ICSC(1999)、NFPA(13th, 2006)、ホンメル(1996))で70℃を超えている。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含んでいない有機化合物。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50値1000-2000 mg/kg(2000 mg/kgで雌雄とも3/5匹死亡)(OECD TG401;厚労省報告, access on June. 2009)に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - モルモットのLD50値>16220 mg/kg(SIDS(2002))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - ラットのLCLo値>6370ppm(SIDS(2002))は、区分4または区分外のどちらに該当するのか判断できないため分類できないとした。なお、飽和蒸気圧濃度は117105ppmV(蒸気圧89mmHg(25℃)(Howard(1997))より換算)であり、LCLo値はその90%より低いので気体と判断した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ヒトで発赤を生じるとの記載HSDB(2009))、「皮膚への直接接触は刺激性があり、皮膚を脱脂する」(PATTY(5th, 2001))との記載に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ヒトで発赤を生じるとの記載HSDB(2009))に基づき、区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivoの試験結果が無く、in vitroの試験で複数指標の強い陽性結果が無いことに基づき、ガイダンスに従い分類できないとした。なお、細菌を用いた復帰突然変異試験(OECD TG471)とCHL/IU細胞を用いた染色体異常試験(OECD TG473)(いずれも厚労省報告, access on June. 2009)において陰性である。
6 発がん性 区分外 - - - - ラット用いた104週間吸入暴露試験において、雄に肝細胞腺腫と肝細胞がんを合わせた発生の増加が認められたが、その増加はわずかであり、他の組織、臓器には腫瘍の発生増加は認められず、雌には腫瘍の発生増加は認められなかった(厚生労働省がん原性試験(2003))。マウスを用いた104週間吸入暴露試験においては、雌雄とも腫瘍の発生増加は認められなかった(厚生労働省がん原性試験(2003))。以上の結果より、発がん性を示す十分な証拠は認められず、区分外とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットを用いた反復経口投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG422)において親の生殖能力および仔の発生、発育に対していずれも有害な影響を認めないとの記載(厚労省報告(access on June. 2009)があるが、催奇形性データが不十分であり、他の試験データも無いことから、分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用、気道刺激性) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用、気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトにおいて一時的な中枢抑制作用を示すとの記載(PATTY(5th, 2001))、および中枢神経系に影響を与える可能性、および咳、し眠があるとの記載(HSDB(2009))がある。ラット、マウスを用いた経口投与試験およびラットを用いた吸入試験において、自発運動低下、眠気、運動失調がみられ(厚労省報告(access on June. 2009), SIDS(2002))、麻酔作用があるとの記載(PATTY(5th, 2001))がある。以上に基づき、区分3(麻酔作用)とした。ヒトで気道刺激性があるとの記載(HSDB(2009))に基づき、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットを用いた反復経口投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG422, 最高用量:265 mg/kg(換算値))(厚労省報告(access on June. 2009)、ラット、ウサギ、モルモットを用いた6ヶ月間吸入暴露試験(最高用量:2.02 mg/L(換算値))(SIDS(2002))において、区分2のガイダンス値よりも高用量でいずれも明かな毒性作用が記載されていないことに基づき、経口および吸入経路では区分外とした。しかし、経皮経路における試験データが無く、分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分1 危険 H304: 飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質の経口摂取は軽度から中等度の肺の吸引性呼吸器有害性を示す(PATTY(5th, 2001))、液体を飲み込むと、誤嚥により化学性肺炎を起こす危険がある(HSDB(2009))との記載に加え、液体であり、常温での動粘性率が0.77mm2/S(計算値)と20.5mm2/S以下であることに基づき、区分1とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50=2.1 mg/L(環境省生態影響試験, 2000, 他)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分2であり、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存点検, 2003))ことから、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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