GHS分類結果 (過年度実施分類結果の再分類)

名称:ニトロセルローズ
CAS番号:9004-70-0

結果:
物質ID: 21B3064
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 等級1.1 危険 H201: 爆発物:大量爆発危険性 P370+P380: 火災の場合:区域から退避させること。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P230: ...にて湿らせておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P250: 粉砕/衝撃/.../摩擦のような取扱いをしないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P372: 火災の場合に爆発する危険性あり。
P374: 適当な距離から注意して消火すること。
P401: ...に保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
十分なニトロ基を含む乾性のものはUN0340に分類されているので等級1.1とした。なお、規定量以上のアルコールまたは可塑剤を含むものは等級1.3(UN0342、UN0343)となる。窒素含有量12.6%未満のものは区分外(UN2557)。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 火薬類に分類されている。(UN0340、UN0341クラス1.1D)
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点が160-170℃(Chapman(Ver.16.2, 2008))で70℃超である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - 窒素と結合する酸素原子を含むがデータがないので分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50>5000 mg/kg(PATTY(5th, 2001)に基づき区分外とした。なお、ヒトの想定致死量が500〜5000 mg/kgとの記載(HSDB(2003))もある。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足。なお、アレルギーを持たない1人の男性が足に怪我をして本物質を浸したリントで包んだところ、12日後に包んだ下の皮膚に紅斑、水疱および落屑を生じたが、閉塞適用が感作性を起こし得ることを示唆するものである述べられている(PATTY(5th, 2001))。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 分類できない - - - - データ不足。なお、プラスティック生産工場の労働者を対象としたケース・コントロール研究(PATTY(5th, 2001))において、直腸がんと本物質ばく露との関連の可能性が確認され、さらに調査を継続するに値する結果であったことが報告されている。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
経口摂取による中毒は、発現が速く持続時間が短いことを除きエタノールと類似しており(HSDB(2003))、吸入した場合はめまい、多幸感、中枢神経系の抑制、または、呼吸困難、意識喪失を起こす可能性があるとの記載(HSDB(2003))に基づき、区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データなし。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)での96時間EC50=579000μg/L(AQUIRE, 2010)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急性毒性区分外であり、難水溶性ではない(水溶解度=1000000 mg/L(PHYSPROP Database、2009))ことから、区分外とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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