GHS分類結果(過年度実施分類結果の再分類)

名称:ロジン
CAS番号:8050-09-7

結果:
物質ID: 21B3063
分類実施者: 厚生労働省、環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点140℃以下(70-130℃(IUCLID(2000)))の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値7600, 8400, ca.7600 mg/kg(IUCLID, 2000)に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギLD50>2500 mg/kgおよびラットLD50 = 2500 mg/kg(IUCLID(2000))の結果から、JISの分類基準に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
ラットLC50(6時間)値約1.5mg/L(4時間換算値:約2.3mg/L)(IUCLID,2000)に基づき、区分4とした。なお、当該物質の蒸気圧データは無いが、固体であり蒸気圧が0.1hPa未満(IUCLID(2000))と記載されていることから粉塵での試験と判断した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ラットを用いた試験において、軽度の刺激性(IUCLID(2000))との情報から、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ラットを用いた試験において、軽度の刺激性(IUCLID(2000))との情報から、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 区分1 危険 H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ P304+P341: 吸入した場合:呼吸が困難な場合には、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P285: 換気が十分でない場合には、呼吸用保護具を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ほとんどが職業ばく露の場合であるが、当該物質を含む松やに、はんだ融剤、樹脂酸などを扱う作業者が喘息あるいは喘息様症状を呈した症例報告が数多く出ている(ACGIH(7th, 2001)、DFGOT vol.11(1998))。その他に作業に関連した呼吸器症状の訴え(ACGIH(7th, 2001))、呼気流量の低下、気管支炎、さらに症状持続や重度の喘息発作が報告され(ACGIH(7th, 2001))、症状の発生と程度がばく露レベルに関連していることを示す記述もある(ACGIH(7th, 2001)、DFGOT vol.11(1998))。以上の知見に加え、日本産業衛生学会で気道感作性物質の第1群に分類されていること(産衛学会勧告(2008))に基づき区分1とした。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットを用いたマキシマイゼーション試験で陽性結果(IUCLID(2000))があること、ヒトで当該物質あるいは当該物質を含む産物に起因するとされるアレルギー性接触皮膚炎の報告が複数ある(ACGIH(7th, 2001)、DFGOT vol.11(1998))こと、さらにEU分類がR43であること(EU-Annex I(access on May, 2009))に基づき区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスに経口投与後の骨髄を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陰性結果(栗田年代:平成9年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、財団法人残留農薬研究所)に基づき区分外とした。なお、in vitro試験では、細菌を用いた復帰突然変異試験と哺乳類培養細胞(CHL/IU)を用いた染色体異常試験の結果が報告されている(既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究平成15年度(H.16))が、いずれも陰性である。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットに90日間混餌投与により、飼料中濃度0.5%(約239〜282 mg/kg/day)では、血液あるいは血液化学など一部の検査項目で変化が認められたものの病理組織学的毒性変化はなく、重大な毒性影響の記述はない(既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究平成15年度(H.16);渡辺敦光:平成10年度食品添加物規格基準作成等の試験検査、広島大学)。したがって、本試験の結果から経口投与では区分外に該当するが、他経路のデータがないため「分類できない」とする。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50=4.5 mg/L(IUCLID, 2000)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分2であり、急速分解性がない(BODによる分解度:36-46%(IUCLID、2000)ことから、区分2とした。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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