GHS分類結果 (過年度実施分類結果の再分類)

名称:人造鉱物繊維
CAS番号:

結果:
物質ID: 21B3040
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性である(ICSC(2000)。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない物質である。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(2000))である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(2000))である。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に不溶性(HSDB(2005))である。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - データなし。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - 常温で固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - 作業中にばく露された作業者が、物理的刺激により皮膚にかゆみを生ずる場合があるが、その影響は一時的、かつ適切な作業の実践により管理可能であり(ACGIH(2001))、物理的刺激は主に試験物質が4.5-5 μm以上の場合に起きるが、ばく露を継続しながらしばしば消失する(EHC 77(1988))と記述されている。また、フィンランド労働衛生研究所における職業病登録データの分析結果によれば、刺激による接触皮膚炎の発生は作業者10万人当り数人(1〜9人)程度であり、職業ばく露による接触皮膚炎の共通の原因とは考えられない(HSDB(2005))と述べられている。以上よりJIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
特にばく露からの防備が不十分であった作業者において、一過性の眼の刺激性が個別に報告されているが、重篤または慢性的な問題との関連はない(ACGIH(2001))との記述に基づき区分2Bとした。また、眼をばく露された患者で刺激性、かゆみ、痛み、異物感が生じた(HSDB(2005))との報告もある。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivoの試験データがないので分類できない。なお、in vitro変異原性試験として、Ames試験で陽性(IARC(2002))、ヒト胚肺細胞を用いた染色体異常試験で陽性(IARC(2002))などの報告がある。
6 発がん性 区分外 - - - - IARCの発がん性評価でグループ3に分類されている(IARC 81(2002))ことに基づき区分外とした。さらにACGIHではA3に分類されている。なお、ラットに12〜24ヵ月間の吸入ばく露により特に肺腫瘍の発生増加は観察されていない(ACGIH(2001)、IARC 81(2002))。一方、米国および欧州で大規模なコホート研究が実施され、当初はロックウールのばく露により肺がん死亡率の全体的な増加が示唆された(ACGIH(2001))が、さらに喫煙や職業要因などの交絡因子、ばく露条件などを踏まえたケース・コントロール研究の結果も含め、呼吸器(肺)がんのリスクとロックウールばく露との間には関連性がないと報告されている(IARC 81(2002))。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで急性ばく露により、鼻の痒みとうっ血、鼻の出血、咳、咽頭痛などの上気道の刺激症状が見られているが、ばく露中止後速やかに消失しているとの報告(ATSDR(2008))に基づき区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた24ヵ月間の吸入ばく露試験(ATSDR(2004))において、3.1 mg/m3/6h以上の濃度で3ヵ月までに肺マクロファージの増加とばく露12ヵ月で気管支肺胞接合部のコラーゲン沈着が見られ、さらに16.1 mg/m3/6h以上では18〜24ヵ月までに肺に軽度の線維化が見出され、ばく露濃度がガイダンス値範囲区分1に相当していることから区分1(呼吸器)とした。なお、本物質に関連し複数の疫学調査の結果が報告されている(EHC 77(1988)、HSDB(2005))が、肺線維症を含め非腫瘍性病変の発生増加は認められていない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る