名称:サチライシン
CAS番号:9014-01-1,1395-21-7
物質ID: | 21B3032 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | アミノ酸のペプチド結合からなる酵素蛋白質であるので、分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | 常温で固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 常温で固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 常温で固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 常温で固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | アミノ酸のペプチド結合からなる酵素蛋白質であるので、分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 常温で固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | アミノ酸のペプチド結合からなる酵素蛋白質であるので、分子内に金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 常温で固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | アミノ酸のペプチド結合からなる酵素蛋白質であり分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値、370 mg aep/kg、510 mg aep/kg、830 mg aep/kg(aep: active enzyme proteinの略で理論上の活性のある純酵素タンパク質量)(以上、HERA(2007):Human & Environmental Risk Assessment on ingredients of household cleaning products, Edition 2.0 February 2007)に基づき、区分4とした。 [ズブチリシンは分子量約27 kDaの球状タンパク質で、一次構造、特に中心部は相同性66-99%のよく保存されたセリンプロテアーゼであることから、ズブチリシン酵素類としてデータを採用した。] | |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、ズブチリシン酵素類は相対的に分子量が大きいので無傷の皮膚を浸透可能とは考えられず、経皮暴露により急性の全身毒性を惹起しないと想定される(HERA(2007))との記述がある。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | 常温で固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分1 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLC50値、0.0177 mg aep/L、0.1〜 0.4 mg aep/L(以上、HERA(2007))に基づき、危険性の高い方の区分1とした。なおズブチリシン酵素類としてデータを採用し、「タンパク質分解酵素粉末の吸入」との記述から粉塵の基準値により分類した。 | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いたDraize試験で、PII(primary irritation index)が、1.1、1.3、1.7、2(以上、HERA(2007))であり、2.3以下で刺激性評価は軽度(mildまたはslightly)であったことから、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分3)とした。ズブチリシン酵素類のひとつのSavinaseを被験物質にした試験でPIIが2.6との報告(HERA(2007))もあるが、溶媒コントロールのPIIが2.9であり、有意差がないと考え採用しなかった。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ウサギの改良Draize試験で、結膜の軽度の浮腫を伴う発赤が広がり、処置後24時間でピークに達したが、処置後7日目には症状は消失した(HERA(2007))との記述に基づき、区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 区分1 | 危険 | H334: 吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ |
P304+P341: 吸入した場合:呼吸が困難な場合には、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P342+P311: 呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P285: 換気が十分でない場合には、呼吸用保護具を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ズブチリシン酵素類は気管支収縮および呼吸器アレルギーを惹起した(ACGIH(2001))との記述およびズブチリシン酵素類に起因する重大な有害性は、タイプI呼吸器アレルギーであるこがよく知られている(HERA(2007))との記述に基づき、区分1とした。 | |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | モルモットを用いた皮膚感作性試験(Maximization試験およびBuehler試験)では陰性の結果が報告されている(食品安全委員会(2006)、HERA(2007))。また、ボランティアのパッチテストによる皮膚感作性試験、ばく露を受けた労働者や消費者のパッチテストによる調査が幾度も実施されている(HERA(2007))が、ズブチリシン酵素類が皮膚感作を引き起こす証拠は見られず、これらのヒトにおける証拠から、ズブチリシン酵素類は皮膚感作性物質とは見なせないと述べられている(HERA(2007))。一方、ズブチリシンのばく露を受けた121名の労働者の皮膚パッチテストで、アトピー性の労働者(64%(16/25))の方が正常な労働者(33%(32/96))より感作率が高かったこと(ACGIH(2001))、また、酵素調製に係わり呼吸器疾患を有する患者3名が皮膚試験で陽性が報告されている(ACGIH(2001))が、詳細不明でACGIHの評価ではSENに区分されていないので、これらのヒト皮膚パッチ試験の結果のみでは分類できない。また、逆に上述のヒトおよび動物の陰性情報(食品安全委員会(2006)、HERA(2007))に基づき、区分外とするにも疑義があるため「分類できない」とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | 雄マウスの経口投与による優性致死試験(生殖細胞in vivo経世代変異原生試験)で陰性(HERA(2007))、チャイニーズハムスターの骨髄細胞を用いた経口投与による染色体異常試験(OECD TG475)(体細胞in vivo変異原生試験)で陰性(HERA(2007))、以上の結果に基づき区分外とした。なお、in vitro変異原生試験として、Ames試験・ヒト末梢血リンパ球やV79細胞を用いた染色体異常試験などでも陰性(以上、HERA(2007))の結果が得られている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。なお、洗剤に含まれる酵素に発がん性があるとする公表された文献は無く、洗剤添加酵素が全身性に生体内に残留する量は極めて低く毒性学的に重要でないことが示されており、また、酵素はタンパク質として消化管ですみやかに生分解されることなどを理由に「一般に酵素製剤における発がん性は想定されない」とする記述がある(HERA(2007))。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットにズブチリシン酵素類のひとつのEsperaseを交尾後6日から16日(器官形成期)に経口投与した試験(OECD TG414: GLP準拠)において催奇形性は認められず、CDラットの妊娠2日目にAlcalase(36〜240 mg aep/kg/day)を経口投与した別の試験では、母獣および仔の体重変化も無く発生毒性影響は認められず、同様に妊娠1日目にAlcalase(54〜540 mg aep/kg/day)を経口投与した試験では、用量540 mg aep/kgで母獣1匹が死亡し、他の母獣では用量依存性にストレス兆候・体重や摂飼量の減少などの一般毒性影響が見られ、わずかに仔の頭蓋骨骨化遅延がみられたが、催奇形性の証拠は認められなかった(両試験ともOECD TG414に準拠)(以上、HERA(2007))、以上の結果に基づきズブチリシン酵素類による発生毒性影響はないと考えられるが、生殖毒性影響に関する記述がなく、データ不足で分類できない。なお、酵素はタンパク質として消化管ですみやかに生分解されること、また、分子量が大きいため容易に皮膚や粘膜を浸透しないので全身の循環系に持続的な濃度を維持し得ない、さらに、ズブチリシン酵素類は既知の内分泌かく乱物質とは構造的に相関しない、などの理由から「ズブチリシンが生殖に有害である可能性は想定されない」との記述もある(HERA(2007))。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(呼吸器系) | 危険 | H370: 臓器の障害(呼吸器系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
モルモットの試験で12%溶液の吸入暴露(1 mg/m3/6h, (4時間換算値:0.0058 mg/L))において、肺水腫がみられ〔ACGIH(2001)〕、ラット5匹にズブチリシン酵素類の1つのAlcalaseを吸入暴露(0.1 to 0.4 mg aep/L/4h)した試験(OECD TG403)では、肺のうっ血と出血を伴う浮腫が認められた〔HERA (2007)〕こと、また、ヒトでは「ズブチリシンは既知の気道刺激性物質である」との記述〔ACGIH(2001)〕、以上を総合して区分1(呼吸器)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | 経口投与によるラットの試験(OECD TG408)・イヌの試験(OECD TG409)、吸入暴露によるサルの試験・モルモットの試験、経皮投与によるウサギの試験(OECD TG410に類似)などの報告(HERA(2007))がある。ところが、いずれの報告にも有意な有害性を示す証拠の記述は無く、区分外に分類される可能性もあるがリスト2のデータであり、分類できないとした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 | - | - | - | - | 魚類(ゼブラフィッシュ)での96時間LC50 = 200-400mg/L(NICNAS, 1993)であることから、区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急性毒性区分外であり、難水溶性でない(readily soluble in water(NICNAS, 1993))ことから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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