名称:酢酸
CAS番号:64-19-7
物質ID: | 21B3030 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分3 | 警告 | H226: 引火性液体及び蒸気 |
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P233: 容器を密閉しておくこと。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。 P242: 火花を発生させない工具を使用すること。 P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
引火点39℃(密閉式)(Merck(14th, 2006)、ICSC(J)(1997))、および引火点43℃(開放式)(有機化合物辞典(1985))のデータから、区分3(GHS基準:引火点23℃以上、60℃以下)とした。なお、EUではC:R10(引火性である)に分類されている。 | |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点427℃(ICSC(J)(1997))より区分外とした。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素または塩素を含んでいない。酸素を含むが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を有しない。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50値=3310、3530 mg/kg(PATTY(5th, 2001))に基づき、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分4 | 警告 | H312: 皮膚に接触すると有害 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギのLD50値=1060 mg/kg(PATTY(5th, 2001))から区分4とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における液体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | ラットの LCLo=16000 ppm(PATTY(5th, 2001)は区分4あるいは区分外に相当することから分類できないとした。なお、飽和蒸気圧濃度の90%(20394.7ppmV * 0.90 = 18355ppmV)より低いので、分類にはガスの基準値を適用した。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分1 | 危険 | H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 |
P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ウサギあるいはモルモットを用いた試験(PATTY(5th, 2001)、ACGIH(2004))において、刺激性の程度はばく露の濃度と時間に依存し、特に50〜80%以上の濃度では重度の熱傷と痂皮形成が観察されている。かつ、EU分類ではC;R35であることから、区分1とした。なお、pHは1.0M=2.4(Merck(14th, 2006))、である。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分1 | 危険 | H318: 重篤な眼の損傷 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 |
ウサギ眼に氷酢酸を適用直後に破壊的損傷を生じた(ACGIH(2004))こと、別の試験で10%以上の濃度で永続的角膜損傷を伴う重度の刺激性を示した(IUCLID(2000))こと、ヒトで誤って眼に入れてしまった後直ちに洗浄したにも拘らず角膜混濁や虹彩炎を起こし、上皮の再生に何ヶ月も要し特に角膜混濁は永続的であったとの症例報告(PATTY(5th, 2001))もあり、区分1とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | 酢酸による惹起に陽性反応を示した気管支喘息の患者や、アルコールまたは酢酸にばく露されI型過敏性反応類似の反応を呈したヒトが報告されている(PATTY(5th, 2001))。またエタノールにアナフィラキシー反応と酢酸に即時型アレルギーを示したとの報告もある(HSDB(2005))。しかし、以上の報告は極めて稀な症例であり、またその他にヒトに対しての報告や動物による試験報告などはなくデータ不足のため分類できない。なお、当該物質と喘息発作の関連性は否定できないため、取り扱いには十分な注意を要する。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | in vivoの試験結果がないので分類できないとした。in vitro 変異原性試験ではエームス試験およびCHO細胞を用いた染色体異常試験でいずれも陰性の結果(PATTY(5th, 2001))が報告されている。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 酢酸・無水酢酸生産工場の大規模な疫学調査(PATTY(5th, 2001))が実施され、労働者1359人のコホートで癌による死亡を評価の結果、前立腺がんでの増加(6例)を除き全ての癌による死亡が減少した。前立腺がんによる死亡の解釈は困難と結論されている(PATTY(5th, 2001))が、いずれにしてもデータ不足のため分類できない。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットを用い出産から18日齢までばく露した試験(PATTY(5th, 2001))およびマウスの器官形成期に経口投与した試験(HSDB(2005))授乳影響あるいは仔の発生に対する悪影響の記載はない。しかし、交配前からのばく露による親動物の性機能および生殖能に及ぼす影響に関してはデータがないので分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(血液、呼吸器系) | 危険 | H370: 臓器の障害(血液、呼吸器系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトで氷酢酸または大量の酢酸を摂取後、播種性血管内凝固障害、重度の溶血、虚血性腎不全を起こした症例報告が複数あり(PATTY(5th, 2001)、ACGIH(2004))、区分1(血液)とした。また、ヒトで吸入暴露による鼻、上気道、肺に対する刺激性の記載(PATTY(5th, 2001))、「ヒトが蒸気を吸入すると気道腐食性, 肺水腫が見られることがある」との記述(ICSC(J)(1997))があり、実際に石油化学工場での事故によるばく露で気道閉塞と間質性肺炎を発症した報告(ACGIH(2004))があるので区分1(呼吸器系)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ラットに3%の被験物質を6ヶ月間胃内投与した試験で食道粘膜の慢性炎症がみられ(PATTY(5th, 2001))、また、職業ばく露により、労働者が胸焼けや便秘などの消化器症状の訴え(PATTY(5th, 2001))、また、女性労働者117人の横断研究においてばく露を受けた労働者が対照に比べ慢性咳嗽、胸部ひっ迫、鼻カタル、副鼻腔炎の有病率が有意に高かったとの報告(ACGIH(2004))もあるが、いずれもデータ不足で分類できない。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分3 | - | - | H402: 水生生物に有害 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50 = 65000μg/L(AQUIRE, 2010)であることから、区分3とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急速分解性があり(BODによる分解度:74%(既存点検, 1993))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=-0.17(PHYSPROP Database、2009))ことから、区分外とした。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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