GHS分類結果 (過年度実施分類結果の再分類)

名称:固形パラフィン
CAS番号:8002-74-2

結果:
物質ID: 21B3029
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点が245℃(NFPA(13th, 2002))で70℃を越えている。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点が140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素及び塩素を含まない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50値>5000 mg/kg(IUCLID(2000))、>3750 mg/kg(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50>3600 mg/kg(IUCLID2000)に基づき、JIS分類の区分外(国連分類基準の区分5または区分外)とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いたDraize法による2試験において、24時間適用で「not irritating」と「slightly irritating」の結果があり(何れもIUCLID(2000))、また20人のボランティアでの皮膚刺激性試験の結果、1人にわずかな紅斑が認められた以外、他の19人は刺激性を示さなかったとの報告がある(IUCLID(2000))。以上の結果に基づき、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギを用いたDraize法類似試験において、軽度(slightly)の 刺激性(IUCLID(2000))およびウサギの標準Draize試験において軽度(mild)の記述(RTECS(2008);Journal of the American College of Toxicology. 3(3), 43, 1984)に基づき、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo 試験のデータがなく分類できないとした。なお、Ames試験(in vitro 変異原性試験)で陰性の結果がある(農薬安全情報(1992))。
6 発がん性 分類できない - - - - ラットに2年間経口投与した試験で、腫瘍の発生率は対照群と比較して差は認められなかったとの報告があり、長期毒性試験における、実験動物に対するパラフィンは非発がん性であるとの記述がある(JECFA(1993))。またウサギ・マウスの2年間経皮試験では、発がん性は認められていない(EHC20(1982))との報告もある。しかし、経口投与による試験では動物1種のみの試験データしかなく、区分外とするには疑義が残るため「分類できない」とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ワックスヒュームは眼・鼻・のどに軽度(mild)の刺激性(PATTY5th(2001))に基づき、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラット90日間経口投与試験(0, 160, 1600 mg/kg/day)において、赤血球と血小板の減少、肝細胞の空包化、肉芽腫の発達、壊死、腸間膜リンパ節における肉芽腫の発現、細胞の過形成、頸部リンパ節における肉芽腫の発現、心臓僧坊帽弁の基部におけるリンパ球様細胞浸透の増加(JECFA 1056(2003))などの所見が用量依存的に見られたが、区分2のガイダンス値以下で試験が行われていないためデータ不足により分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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