GHS分類結果 (過年度実施分類結果の再分類)

名称:クロロメチルメチルエーテル
CAS番号:107-30-2

結果:
物質ID: 21B3025
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成21年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点(-17.8℃(Merck(14th, 2006)、0℃(HSDB(2005))、-17.8℃(HSDB(2005))<23℃、初留点(59℃(Merck(14th, 2006)、Weiss(2nd, 1986))、59.9℃(Chapman(Ver.13:1, 2009))>35℃であり、区分2とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性・自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データなし。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素原子を含まず、酸素、塩素原子を含むが、いずれも炭素原子とのみ化学結合している。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
[分類根拠とした以下の試験では、不純物として約1-8%のビスクロロメチルエーテルを含む工業用原体が使用されている] ラットLD50値:817 mg/kg(EHC 201(1998))に基づき、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLC50:0.181 mg/L/7h, 4h換算値:0.239 mg/L(72.2ppmV))(EHC 201(1998))により区分1とした。(飽和蒸気圧濃度の90%以下で実施、ガスの基準値を用いて分類した)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物の皮膚への適用で紅班と壊死を引き起こしたとの記載(EHC 201(1998))およびヒトで当該物質への接触で薬傷または壊死の危険性の記載(ACGIH(2001))に基づき区分1とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
動物の眼への適用で角膜壊死(corneal necrosis)を引き起こしたとの記載(EHC No.201(1998))および皮膚の分類が区分1であることから区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスを用いた小核試験では複数回実施され、陽性及び陰性の結果が得られており結論は「inconclusive」としている(Mutat Res., 389, 3-122, 1997)が、疫学調査で本物質のばく露を受けた77人の作業者において、末梢リンパ球の染色体異常発生率が25人から成る非ばく露の対照群に比べほぼ2倍に増加した(体細胞in vivo変異原性試験)との報告(CaPSAR(1993)、EHC(1998))がある。またAmes試験、MLA試験で陽性結果が得られており(Mutat Res., 389, 3-122, 1997)、ヒト疫学調査知見ならびに、Ames試験、MLA試験での陽性結果を加味し区分2とした。なお、ヒトのリンパ球を用いた不定期DNA合成試験(in vitro遺伝毒性試験)で不定期DNAを増加させた(EHC No.201(1998))との報告がある。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARCによるグループ1(IARC Suppl.7(1987))、EPAによるA(IRIS(2005))の分類に基づき区分1Aとした。 なお、日本産業衛生学会は2A(工業用)(産衛学会勧告 許容濃度の勧告(2008))、ACGIHではA2(ACGIH-TLV(2008))に分類している。またTechnical gradeの当該物質は不純物として発がん性物質として知られているビスクロロメチルエーテルが1-7%含まれており、当該物質の発がん作用は不純物に起因しているものである(産衛学会勧告:許容濃度提案理由書集(1994))との記載がある。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器) 危険 H370: 臓器の障害(呼吸器) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの吸入試験で、LC50値55ppm/7h(蒸気:4時間換算値0.239 mg/L)の所見として、肺のうっ血、水腫、出血、急性壊死性気管支炎の記載(EHC 201(1998))に基づき区分1(呼吸器)とした。なお、ヒトでは100ppm、4時間の蒸気によるばく露で生命が危険となり、肺水腫、肺炎で数日〜1週間で死に至るおそれがある(HSDB(2005))との情報もある。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラット雄を用いた30日間吸入ばく露(蒸気:ばく露の時間と頻度が不明)による試験で、3.3 mg/L以上で死亡が発生し、再生性過形成および気管支上皮の扁平化生が観察された((EHC 201(1998)))が、ばく露の時間と頻度が不明で対照群のデータも示されていないので分類できない。なお、ヒトで長期間の吸入ばく露で慢性気管支炎のおそれがある(HSDB(2005))との記載がある。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
12 オゾン層への有害性 分類できない - - - - 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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