名称:カーボンブラック
CAS番号:1333-86-4
物質ID: | 21B3024 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成21年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | 燃焼速度試験データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性・自己反応性に関連する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 発火点(> 600 ℃(IUCLID(2000)))が70℃超である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分1-2(動植物系原料)、分類できない(鉱物系原料) | 危険 | H251: 自己発熱:火災のおそれ(動植物系原料) |
P235+P410: 涼しいところに置き、日光を避けること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P407: 積荷/パレット間に隙間をあけること。 P413: ...kg以上の大量品は、...℃以下の温度で保管すること。 P420: 他の物質から離して保管すること。 |
動植物系原料:国連番号1361(CARBON, animal or vegetable origin、Class4.2、Packing Group II or III)に基づく。 鉱物系原料:データなし。 | |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 酸素、フッ素又は塩素を含まない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 無機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットLD0値 > 8000 mg/kg bw(IUCLID(2000))に基づき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | ウサギのLD50値 > 3 gm/kg(RTECS(2008):ATDAEI Acute Toxicity Data. Journal of the American College of Toxicology, Part B.)とあるが、他にLD50値の情報がなく、分類できないとした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた4試験(1試験はOECD TG 404準拠)のいずれも刺激性なし(IUCLID(2000))の結果から、区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた3試験でいずれも刺激性なしの結果(IUCLID(2002))に基づき、区分外とした。ヒトにおいて刺激性あり(irritating)の結果(IUCLID(2002))があるが、データの詳細不明であり、微粒による機械的刺激による可能性も示唆される(HSDB(2003))。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットの吸入及び気道内注入による肺胞細胞を用いたHPRT突然変異試験(体細胞 in vivo 変異原性試験)で陽性結果(DFGOT vol. 18(2002))がある。このように変異原性を示唆する知見もあるが、それらは、本物質に含まれた芳香族多環水素類あるいは炎症にともなう活性酸素種の発生による可能性があり、カーボンブラックの生殖細胞変異原性を示唆するものとは考え難い。標準的なin vivo変異原性試験が実施されておらず、データ不足で分類できないとした。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
IARCの分類が2Bであり、日本産業衛生学会の分類が2Bであることに基づき区分2とした。 なお、ラットを用いた24ヶ月間の吸入試験において、原発性肺腫瘍の発生率が用量に依存して有意に増加し、腫瘍の種類としては良性の腺腫、悪性の腺癌、扁平上皮癌と腺扁平上皮癌などが見られ(EHC No.171(1996))、また、ラットを用いた43〜86週間の吸入試験においては、43週間および86週間投与群の腫瘍発生率がそれぞれ18%, 8%であり、対照群においては腫瘍の発生は認められなかったと報告されている(IARC vol. 65(1996))。 | |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ラットに経口投与(15400 mg/kg)による症状として傾眠状態(Behavioral somnolence)が記載されている(RTECS(2008))が、それ以上の詳しい記述もなくデータ不足で分類できないとした。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(肺) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肺) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
カーボンブラック生産に携わる作業者を対象とした疫学調査は数多く実施されており、特に長期間(10年以上)ばく露されたヒトにおいて咳、痰、慢性気管支炎、肺機能障害、塵肺、肺気腫、肺血流障害、閉塞性呼吸障害、気管支過敏症、気道抵抗と呼気流の低下など肺に特徴的な多くの症状が現れ(IARC vol. 65(1996))、さらに胸部X線写真で微細なびまん性変化を示し、組織学的検査ではカーボンブラック微粒子の沈着と気腫に関連する細網線維形成が明らかとなったこと(IARC vol. 65(1996))が報告されている。以上のように、カーボンブラックの有害影響として職業ばく露による肺の変化または障害が多く、かつ特徴的であることから、区分1(肺)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分外 | - | - | - | - | 藻類(セネデスムス)での72時間ErC50 > 10000mg/L(SIDS, 2006)、甲殻類(オオミジンコ)での24時間LC50 > 5600mg/L(SIDS, 2006)、魚類(ウグイ)での96時間LC50 > 1000mg/L(SIDS, 2006)であることから、本物質の水溶解度(不溶(HSDB、2009))において当該毒性を示さないことが示唆されるため、区分外とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | 難水溶性で水溶解度までの濃度で急性毒性が報告されておらず、水中での挙動および生物蓄積性も不明であるため、分類できない。 |
12 | オゾン層への有害性 | 分類できない | - | - | - | - | 当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。 |
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